11 / 15
第10話「悪役令嬢から未来の女王へ」
しおりを挟む
すべての事件が解決し、王都が落ち着きを取り戻した数日後。王宮前の広場には大勢の民衆が集まっていた。彼らは偽りの聖女の裏切りに怒り、そして国を救った英雄たちの姿を一目見ようと詰めかけていたのだ。
王宮のバルコニーに、王族となぜか私も共に立つことを許された。私の隣には、アルフォンス殿下が緊張した面持ちで立っている。
やがて、国王陛下が民衆の前に進み出て事件の収束を宣言した。そして彼の合図で、アルフォンス殿下が私の前に進み出た。
会場が静まり返る。誰もが、これから何が起こるのかを固唾をのんで見守っていた。
アルフォンス殿下は、集まったすべての国民の前で、私の前に深く、深くひざまずいたのだ。
王太子が、一人の令嬢にひざまずく。前代未聞の光景に、民衆は息を呑んだ。
「スカーレット・ヴァレンティナ嬢」
アルフォンス殿下は顔を上げ、真摯な瞳で私を見つめながら、はっきりとした声で言った。
「私は一度君を信じることができず、君に無実の罪を着せ断罪するという、取り返しのつかない過ちを犯した。この罪は決して許されるものではない。王太子として、そして一人の男として、君に心から謝罪する。本当に、申し訳なかった」
彼は再び深く頭を下げた。その姿は、映像を映す魔法を通じて国中に伝えられていた。
1度目の人生の記憶が、私の脳裏をよぎる。断頭台の上で彼に憎まれながら死んでいった、あの日の私。その無念が、彼のこの行動によって静かに浄化されていくのを感じた。
彼はゆっくりと立ち上がると、懐から小さな箱を取り出した。その中に入っていたのは、王家に代々伝わる王太子妃の証である指輪だった。
「そして、私はこの過ちを生涯かけて償いたい。スカーレット」
彼はもう一度、私の名前を呼んだ。その声は愛しさに満ちていた。
「君こそが私の隣に立つべき、唯一の女性だ。君の知性、強さ、そして誰にも見せない優しさ。そのすべてを、私は愛している。どうか私と共に、この国を導いてほしい。私と、結婚してください」
公開プロポーズ。あまりに劇的な展開に民衆は静まり返り、そして次の瞬間、爆発的な歓声となって応えた。
私は、目の前で差し出された指輪とアルフォンス殿下の真剣な顔を、ただ見つめていた。
復讐のためだけに生きてきたはずだった。彼のことも、一度は憎んだはずだった。けれど2度目の人生で、彼もまた苦しみ、過ちを認め、変わろうと足掻く姿をこの目で見てきた。そして何より、この復讐の旅は私一人では成し遂げられなかった。ゼノンが、カイエンが、レオが、そしてアルフォンスがいてくれたからこそ、ここまで来られたのだ。
私の孤独な復讐は、いつしか多くの仲間と、そして新たな愛によって救われていたのだ。
私は、そっとアルフォンス殿下の手に自分の手を重ねた。
「……はい、喜んで」
その答えに、彼は心の底から安堵したような、幸せそうな笑顔を浮かべ、私の指にそっと指輪をはめてくれた。
再び、割れんばかりの歓声が広場を包み込む。
悪役令嬢と呼ばれた少女は、その汚名を自らの力で濯ぎ、王国の未来を照らす緋色の光となった。
未来の女王への道を、私は今、確かに歩み始めたのだった。
王宮のバルコニーに、王族となぜか私も共に立つことを許された。私の隣には、アルフォンス殿下が緊張した面持ちで立っている。
やがて、国王陛下が民衆の前に進み出て事件の収束を宣言した。そして彼の合図で、アルフォンス殿下が私の前に進み出た。
会場が静まり返る。誰もが、これから何が起こるのかを固唾をのんで見守っていた。
アルフォンス殿下は、集まったすべての国民の前で、私の前に深く、深くひざまずいたのだ。
王太子が、一人の令嬢にひざまずく。前代未聞の光景に、民衆は息を呑んだ。
「スカーレット・ヴァレンティナ嬢」
アルフォンス殿下は顔を上げ、真摯な瞳で私を見つめながら、はっきりとした声で言った。
「私は一度君を信じることができず、君に無実の罪を着せ断罪するという、取り返しのつかない過ちを犯した。この罪は決して許されるものではない。王太子として、そして一人の男として、君に心から謝罪する。本当に、申し訳なかった」
彼は再び深く頭を下げた。その姿は、映像を映す魔法を通じて国中に伝えられていた。
1度目の人生の記憶が、私の脳裏をよぎる。断頭台の上で彼に憎まれながら死んでいった、あの日の私。その無念が、彼のこの行動によって静かに浄化されていくのを感じた。
彼はゆっくりと立ち上がると、懐から小さな箱を取り出した。その中に入っていたのは、王家に代々伝わる王太子妃の証である指輪だった。
「そして、私はこの過ちを生涯かけて償いたい。スカーレット」
彼はもう一度、私の名前を呼んだ。その声は愛しさに満ちていた。
「君こそが私の隣に立つべき、唯一の女性だ。君の知性、強さ、そして誰にも見せない優しさ。そのすべてを、私は愛している。どうか私と共に、この国を導いてほしい。私と、結婚してください」
公開プロポーズ。あまりに劇的な展開に民衆は静まり返り、そして次の瞬間、爆発的な歓声となって応えた。
私は、目の前で差し出された指輪とアルフォンス殿下の真剣な顔を、ただ見つめていた。
復讐のためだけに生きてきたはずだった。彼のことも、一度は憎んだはずだった。けれど2度目の人生で、彼もまた苦しみ、過ちを認め、変わろうと足掻く姿をこの目で見てきた。そして何より、この復讐の旅は私一人では成し遂げられなかった。ゼノンが、カイエンが、レオが、そしてアルフォンスがいてくれたからこそ、ここまで来られたのだ。
私の孤独な復讐は、いつしか多くの仲間と、そして新たな愛によって救われていたのだ。
私は、そっとアルフォンス殿下の手に自分の手を重ねた。
「……はい、喜んで」
その答えに、彼は心の底から安堵したような、幸せそうな笑顔を浮かべ、私の指にそっと指輪をはめてくれた。
再び、割れんばかりの歓声が広場を包み込む。
悪役令嬢と呼ばれた少女は、その汚名を自らの力で濯ぎ、王国の未来を照らす緋色の光となった。
未来の女王への道を、私は今、確かに歩み始めたのだった。
4
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』
メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる