追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました

黒崎隼人

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第04話「堅物騎士と甘いジャガイモ」

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 翌日、ジャガイモを収穫していると、背後から声がかかった。
「…何をしているんですか?」
 振り返ると、昨日の騎士、レオン様が呆然とした顔で立っていた。彼の視線は、私がたった一日で掘り起こしたジャガイモの山に注がれている。
「これは…あなた一人が?」
「はい。私のスキルのおかげです」
 私がにこやかに答えると、彼はますます訝しげな顔をした。
「よろしければ、一ついかがですか? とても美味しいんですよ」
 差し出された特大のジャガイモを、彼は戸惑いながらも受け取った。
「…ありがとうございます。それと、その白い生き物は…昨日より一匹、増えていませんか?」
 私が「ええ、家族が増えたんです」と笑うと、彼は何か言いたげな顔をしながらも、ジャガイモを一つ手に去っていった。

 その夜、再び家の扉がノックされた。そこに立っていたのは、昼間会った、あの堅物な騎士様でした。
「…あの、このジャガイモは、どう調理すればいいのでしょうか?」
 彼は困り果てた顔でそう尋ねた。聞けば、騎士団では食事は全て用意されるため、自分で料理などしたことがないらしい。
「あはは! そうなんですね! よかったら、私が作ったものを食べていきませんか?」

 家の中に招き入れると、彼は私の足元でじゃれあうコロとコロスケを見て、わずかに目を見開いた。
「…このもふもふ達は?」
「私の相棒のコロとコロスケです」
 二匹が彼の足元にすり寄ると、レオン様は警戒しながらも、そっとその頭を撫でた。
「…可愛らしいな」
 そう呟いた彼の口元が、ほんの少しだけ綻んだのを見逃さなかった。

 彼にジャガイモの煮物を差し出すと、一口食べた瞬間、その青い瞳が驚きに見開かれた。
「…っ! 美味しい…!」
「でしょう? このジャガイモ、すごく甘いんですよ」
「ええ、こんなに美味しいものは、生まれて初めて食べました」
 彼は夢中で煮物を平らげると、少し恥ずかしそうに切り出した。
「あの、もしよろしければ、また作っていただけませんか?」

 それから、レオン様は毎日のように私の家へやってくるようになった。私の作るジャガイモ料理を食べ、コロとコロスケと遊んで帰っていく。
 そしてある日、彼は騎士団の隊員たちを大勢引き連れてやってきた。
「エリナ殿、この者たちも、あなたのジャガイモを食べてみたいと…」

 家の前には騎士たちがずらりと行列を作っている。
「なんだか、もふもふの行列みたいですね」
 私が笑うと、騎士たちもつられて笑った。彼らの間では、いつの間にかコロとコロスケは「もふもふ様」と呼ばれているらしい。
 こうして私の畑は、村だけでなく、騎士団の胃袋まで支えることになったのだった。
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