ゴミスキルと追放された俺の【模倣】が【完全模倣】に覚醒したので、最高の仲間たちと偽りの英雄パーティーに復讐することにした

黒崎隼人

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第10話:噂の新人

 新パーティー「アヴァロン」の快進撃は、ギルドの誰もが目を見張るものだった。
 僕たちは、B級、A級の依頼を次々と達成していく。

 前衛には、王国騎士団最強と謳われた防御力を誇る重戦士・龍司。彼のタワーシールドは、もはや移動要塞だ。
 後衛には、伝説級の始祖精霊を操り広範囲を殲滅する力を持つ精霊使い・楓。彼女の魔法は、戦場の状況を一変させた。
 そして、遊撃手兼指揮官としてあらゆるスキルを使いこなし、回復から攻撃まで全てをこなす僕、クロ。

 三人の連携は完璧だった。龍司が敵の攻撃を全て引きつけている間に、楓が詠唱を完了させる。僕が【完全模倣】で手に入れた様々なスキルを駆使して二人をサポートし、敵陣をかく乱する。どんなに格上の魔物だろうと、僕たちの敵ではなかった。

 瞬く間に、「アヴァロン」の名はギルド内で知らぬ者がいないほどの存在となった。
 特に、謎に包まれた僕の存在は、探索者たちの間で様々な憶測を呼んでいた。

「おい、アヴァロンのリーダーの『クロ』って奴、見たか?」
「ああ。あいつ、一体何者なんだ? 剣も魔法も、回復も強化も、全部超一流じゃないか」
「固有スキルが全くの不明なんだとよ。ギルドに問い合わせても、非公開の一点張りらしい」
「もしかしたら、複数の固有スキルを持つ『特異者(イレギュラー)』なんじゃないか?」

 そんな噂が飛び交う中、僕はただ黙々と依頼をこなし、力を蓄え続けていた。僕の【完全模倣】スキルは、高難易度ダンジョンに挑むたびに新たなスキルをストックし、その強さを増していく。楓と龍司も、僕との連携の中で日に日にその実力を開花させていった。

 一方で、僕がかつて所属していたパーティー「紅蓮の剣」もまた、英雄としてその名を馳せていた。
 海斗は、僕から奪った多彩なスキルをあたかも自分の力であるかのように使いこなし、次々と手柄を立てていた。吾郎は【金剛力】で敵を粉砕し、玲奈は高位の攻撃魔法で貢献しているらしい。

 ギルドの酒場では、彼らの武勇伝が吟遊詩人によって語られていた。
「英雄カイト様は、その卓越した剣技と魔法で魔物の軍勢を薙ぎ払った!」
「カイト様万歳!」「『紅蓮の剣』こそ王国最強のパーティーだ!」

 人々が熱狂するその光景を、僕は酒場の隅でフードを目深に被ったまま静かに見つめていた。
 僕の努力を踏みにじって手に入れた偽りの名声。
 僕が本来いるべきだった場所に立ち、英雄と讃えられる裏切り者たち。

(せいぜい、今のうちにいい夢を見ておくんだな、海斗)

 僕の胸に宿る復讐の炎は、少しも衰えてはいなかった。むしろ、彼らの名声が高まるほどに、その炎はより一層激しく燃え上がる。

「クロさん、大丈夫ですか?」
 隣に座っていた楓が、心配そうに僕の顔を覗き込む。
「……ああ、何でもない」

「クロ殿が気に病むことはない。我々は、我々の道を征くだけだ」
 龍司が、ジョッキを傾けながら静かに言った。

 そうだ。僕にはもう、信頼できる仲間がいる。
 一人で抱え込んでいた憎しみも、今は二人と分かち合っている。
 僕がクロとして生きる理由、そして「アヴァロン」を結成した本当の目的も、二人は全て理解してくれている。

「ありがとう、二人とも」
 僕は小さくつぶやいた。

 準備は、着々と進んでいる。
 僕たちの名声が「紅蓮の剣」の耳に届くのも、時間の問題だろう。
 偽りの英雄たちがその栄光の座から引きずり下ろされる日は、もうすぐそこまで迫っていた。復讐の舞台は、整いつつあった。

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