ゴミスキルと追放された俺の【模倣】が【完全模倣】に覚醒したので、最高の仲間たちと偽りの英雄パーティーに復讐することにした

黒崎隼人

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第17話:海斗の焦り

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 英雄から一転、疑惑の渦中の人物となった海斗は焦っていた。
 ギルドからの依頼は激減し、街を歩けば人々から指をさされる。あれほど心地よかった名声と賞賛は、今や非難と侮蔑に変わっていた。

「クソッ……! なぜだ……! なぜこうなる!」
 宿屋で、海斗は荒れ狂っていた。
 新聞記事が出回ってから、玲奈と吾郎の態度もよそよそしくなった。彼らが自分に疑いの目を向けていることにも気づいている。パーティーは、もはや崩壊寸前だった。

(これも全て、あの『クロ』という男の仕業だ……!)

 海斗は、クロが全ての元凶だと確信していた。
 自分たちの秘密を知り、それをリークして社会的に追い詰める。実に計画的で、陰湿なやり方だ。

(このままでは、ジリ貧だ。ギルドの調査が進めば、いずれボロが出るかもしれない。その前に、この状況を覆す何かデカい手柄を立てなければ……!)

 失墜した名声を回復し、人々の疑惑を払拭するための起死回生の一手。
 海斗の脳裏に、一つのダンジョンが思い浮かんだ。

『奈落の魔城』

 かつて、彼が湊を置き去りにした因縁の場所。
 現在、S級ダンジョンに指定され、未だに最深部まで到達した者はいない、王国最難関のダンジョン。

(そうだ……。『奈落の魔城』を、俺たち『紅蓮の剣』が完全攻略する。前人未到の偉業を成し遂げれば、世間は俺への疑惑など忘れ、再び俺を英雄と讃えるはずだ……!)

 それは、あまりにも短絡的で危険な賭けだった。だが、追い詰められた海斗にはもはやそれしか道は残されていないように思えた。

 彼は、玲奈と吾郎を呼び集め、一方的に宣言した。
「『奈落の魔城』を攻略する。準備しろ」
「なっ……!? S級ダンジョンですって!? 無茶よ、海斗さん!」
 玲奈が悲鳴に近い声を上げる。

「今の私たちじゃ、無理に決まってるだろ!」
 吾郎も、その無謀な計画に反対した。
 今のパーティーの雰囲気は最悪だ。連携もままならないこの状態でS級ダンジョンに挑むなど、自殺行為に等しい。

 しかし、海斗は彼らの反対意見に耳を貸さなかった。
「うるさい! 俺の命令が聞けないのか! これは、俺たちの名誉を回復するための唯一の道なんだ!」
 その目は、もはや正気ではなかった。名声への執着が、彼を狂わせていた。

「……もし、行かないと言ったら?」
 玲奈が、震える声で尋ねる。
 海斗は、そんな彼女を冷たい目で見下ろし、言い放った。

「お前たちも、俺と同じ共犯者だということを忘れるな。俺が失墜すれば、お前たちも終わりだ。……それに、湊からスキルを奪う時、お前たちも賛同しただろう?」

 その言葉は、玲奈と吾郎にとって決定的な一撃だった。
 そうだ。自分たちは、もう引き返せないところまで来てしまっている。海斗の船から降りることは、許されないのだ。

 二人は、絶望的な表情で黙ってうなずくことしかできなかった。

 翌日。
 海斗は、ギルドで高らかに宣言した。
「我々『紅蓮の剣』は、全ての疑惑を払拭するため、未踏破ダンジョン『奈落の魔城』の完全攻略に挑む!」

 その宣言は、ギルドにいる全ての探索者たちを驚かせた。
 その中には、僕たち「アヴァロン」の姿もあった。

 海斗の宣言を聞いた僕は、静かに口元を歪めた。
(自分から、墓穴を掘りに来たか……)

 好都合だ。
 あの場所は、僕の全てが始まり、そして僕の復讐が終わる場所にふさわしい。
 僕は、隣に立つ楓と龍司に告げた。

「俺たちも行くぞ。過去との、決着をつけに」

 二人は、僕の覚悟を理解し、力強くうなずいた。
 舞台は整った。
 復讐の最終幕が、今、上がろうとしていた。
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