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第16話:暴かれる悪行
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僕の復讐は、次の段階へ移行した。
「紅蓮の剣」を、社会的に失墜させる段階だ。
僕は、ギルドの資料室に忍び込んだ。クロとしてではなく、気配を完全に消して。目的は、海斗の過去の活動記録だ。
僕が模倣したスキルの中には、解錠や隠密行動に特化したものも数多くストックされている。ギルドの厳重な警備を突破することなど造作もなかった。
資料室の奥深く。過去のパーティー結成と解散の記録を調べていくと、案の定、おかしな点が見つかった。
海斗が「紅蓮の剣」を結成する前、彼はいくつもの新人パーティーを渡り歩いていた。そして、そのどれもが短期間で解散している。
共通しているのは、解散後、海斗以外のメンバーが皆、何らかの理由で探索者を引退していることだ。
「……こいつらも、海斗にスキルを奪われた被害者か」
僕は、その記録を魔法の複写機で全てコピーした。中には、有望なスキルを持ちながら、突然「自信を失った」として引退した者たちの痛々しい記録も残されていた。
僕は手に入れた証拠をまとめ、匿名の情報提供者を装い、ギルド上層部と王都で最も影響力のある新聞社に情報を流した。
手紙には、こう書き添えておいた。
『英雄・海斗の栄光は、数多の犠牲の上に成り立っている偽りのものである』と。
数日後、僕が投じた爆弾は王都で大きな波紋を呼んだ。
新聞の一面に、『英雄パーティー「紅蓮の剣」リーダー、海斗に"新人潰し"の疑惑!』という衝撃的な見出しが躍ったのだ。
記事には、僕が提供した資料を元に、海斗の過去の不可解なパーティー遍歴と、彼と組んだ新人が次々と引退している事実が詳細に記されていた。そして、彼の固有スキルが【スキル略奪】ではないかという、核心に迫る疑惑も。
街は、このスキャンダルで持ちきりになった。
「おい、これ本当か? 海斗様が、そんなことを……」
「いや、しかし、この記事には証拠もある。言われてみれば、彼の急激な成長は不自然だった」
「もしこれが本当なら、俺たちは偽物の英雄を讃えていたってことか……?」
今まで海斗を英雄と崇めていた人々は、手のひらを返したように疑惑の目を彼に向けるようになった。ギルドも、この事態を重く見て海斗に対する公式な調査を開始することを発表した。
「紅蓮の剣」のメンバーは、当然ギルドに呼び出され、厳しい尋問を受けた。
「海斗! これはどういうことだ! 説明しろ!」
ギルドマスターの怒声が飛ぶ。
「……事実無根です。俺を陥れるための、誰かの悪質なデマに違いありません」
海斗は、顔色一つ変えずにそう言い切った。証拠はあくまで状況証拠。彼が【スキル略奪】を使ったという直接的な証拠はない。彼は、それで逃げ切れると考えていた。
しかし、玲奈と吾郎の心境は違った。
彼らは記事の内容を見て、クロの言葉の意味を理解した。
『借り物の力』
クロは、全てを知っていたのだ。海斗が湊だけでなく、過去にも同じようなことを繰り返していたということを。
(私たちは……犯罪者の片棒を担いでいたっていうの……?)
玲奈は、血の気が引くのを感じていた。
吾郎もまた、自分が使っている力が誰かの犠牲の上に成り立っているという事実に、罪悪感を覚え始めていた。
ギルドからの帰り道、三人の間にはもはや会話はなかった。
人々は、彼らに疑惑と侮蔑の視線を向ける。昨日までの賞賛が、嘘のようだ。
海斗の悪行は暴かれ、公のものとなった。
僕の復讐は、最終段階へと着実に駒を進めていた。
「紅蓮の剣」を、社会的に失墜させる段階だ。
僕は、ギルドの資料室に忍び込んだ。クロとしてではなく、気配を完全に消して。目的は、海斗の過去の活動記録だ。
僕が模倣したスキルの中には、解錠や隠密行動に特化したものも数多くストックされている。ギルドの厳重な警備を突破することなど造作もなかった。
資料室の奥深く。過去のパーティー結成と解散の記録を調べていくと、案の定、おかしな点が見つかった。
海斗が「紅蓮の剣」を結成する前、彼はいくつもの新人パーティーを渡り歩いていた。そして、そのどれもが短期間で解散している。
共通しているのは、解散後、海斗以外のメンバーが皆、何らかの理由で探索者を引退していることだ。
「……こいつらも、海斗にスキルを奪われた被害者か」
僕は、その記録を魔法の複写機で全てコピーした。中には、有望なスキルを持ちながら、突然「自信を失った」として引退した者たちの痛々しい記録も残されていた。
僕は手に入れた証拠をまとめ、匿名の情報提供者を装い、ギルド上層部と王都で最も影響力のある新聞社に情報を流した。
手紙には、こう書き添えておいた。
『英雄・海斗の栄光は、数多の犠牲の上に成り立っている偽りのものである』と。
数日後、僕が投じた爆弾は王都で大きな波紋を呼んだ。
新聞の一面に、『英雄パーティー「紅蓮の剣」リーダー、海斗に"新人潰し"の疑惑!』という衝撃的な見出しが躍ったのだ。
記事には、僕が提供した資料を元に、海斗の過去の不可解なパーティー遍歴と、彼と組んだ新人が次々と引退している事実が詳細に記されていた。そして、彼の固有スキルが【スキル略奪】ではないかという、核心に迫る疑惑も。
街は、このスキャンダルで持ちきりになった。
「おい、これ本当か? 海斗様が、そんなことを……」
「いや、しかし、この記事には証拠もある。言われてみれば、彼の急激な成長は不自然だった」
「もしこれが本当なら、俺たちは偽物の英雄を讃えていたってことか……?」
今まで海斗を英雄と崇めていた人々は、手のひらを返したように疑惑の目を彼に向けるようになった。ギルドも、この事態を重く見て海斗に対する公式な調査を開始することを発表した。
「紅蓮の剣」のメンバーは、当然ギルドに呼び出され、厳しい尋問を受けた。
「海斗! これはどういうことだ! 説明しろ!」
ギルドマスターの怒声が飛ぶ。
「……事実無根です。俺を陥れるための、誰かの悪質なデマに違いありません」
海斗は、顔色一つ変えずにそう言い切った。証拠はあくまで状況証拠。彼が【スキル略奪】を使ったという直接的な証拠はない。彼は、それで逃げ切れると考えていた。
しかし、玲奈と吾郎の心境は違った。
彼らは記事の内容を見て、クロの言葉の意味を理解した。
『借り物の力』
クロは、全てを知っていたのだ。海斗が湊だけでなく、過去にも同じようなことを繰り返していたということを。
(私たちは……犯罪者の片棒を担いでいたっていうの……?)
玲奈は、血の気が引くのを感じていた。
吾郎もまた、自分が使っている力が誰かの犠牲の上に成り立っているという事実に、罪悪感を覚え始めていた。
ギルドからの帰り道、三人の間にはもはや会話はなかった。
人々は、彼らに疑惑と侮蔑の視線を向ける。昨日までの賞賛が、嘘のようだ。
海斗の悪行は暴かれ、公のものとなった。
僕の復讐は、最終段階へと着実に駒を進めていた。
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