神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた

黒崎隼人

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第15話「チートスキルは神の領域」

 俺が両手を大地にかざした瞬間、体中の魔力、いや、生命力そのものが奔流となって溢れ出した。手のひらから放たれたのはもはや緑色ではない。全ての色を内包したかのような、暖かくそして神々しい黄金の光だった。

 光は大地に吸い込まれ、凄まじい速度で広がっていく。

 聖女ライラの呪いによって黒く変色し、死の気を放っていた土が黄金の光に触れた途端、浄化されていく。黒は消え、代わりに現れたのはこれまでの黒土とは比べ物にならないほど生命力に満ち溢れた、光り輝く土壌だった。

 だが奇跡はそれだけでは終わらない。

 浄化された大地から無数の光の粒が立ち上り、そして一斉に芽吹き始めた。枯れ果てたはずの小麦が以前よりも力強く再生し、瞬く間に成長していく。その穂は陽の光を浴びた黄金よりもなお、まばゆく輝いていた。腐り落ちた果実は再び枝に戻り、宝石のような瑞々しさを取り戻す。萎れていた野菜は生命力に満ち溢れ、生き生きと葉を広げた。

 ライラの呪いは完全に打ち破られた。

 いや、違う。打ち破られたどころか、俺の力の「養分」とされたのだ。呪いに込められた負のエネルギーは俺の【絶対育成】によって生命力へと変換され、この土地を以前の何倍も何十倍も肥沃な大地へと変貌させてしまった。

 それはもはやただの肥沃な土地ではない。生命の力が満ち溢れ、いるだけで心と体が癒やされるような神聖な気を放つ「聖地」と化していた。

 アルカディアの住民たちは目の前で起きた奇跡を、声も出せずに見つめていた。やがて誰かが膝から崩れ落ち、祈るように手を合わせた。

「おお……神よ……」

「アラン様は、生き神様だったのか……」

 信仰が確信に変わる瞬間だった。

 ***

 その頃、王都の神殿では。

「ぐっ……うぅっ……!」

 ライラは祭壇の前で胸を押さえ苦しみにもだえていた。彼女が放った呪いの力が、何者かの次元の違う巨大な力によって跳ね返され、術者である彼女自身に襲いかかってきたのだ。

「ありえない……私の力が、破られるなんて……! それどころか、この魔力の消耗は……!?」

 彼女の力は他人の精神に干渉し、負の感情を増幅させることで成り立っている。しかしアランの力は純粋な生命と創造の力だ。水が火を消すように、ライラの邪悪な術はアランの神聖な力の前にあまりにも無力だった。

 呪いを完全に破られただけでなくその反動で、ライラは自身の魔力の大部分を失ってしまった。

 彼女の最大の武器は今や風前の灯火となっていた。

 ***

 アルカディアに住民たちの歓声が響き渡った。

 セラフィーナが俺の隣に駆け寄ってきた。彼女の瞳は畏敬と、そして熱を帯びた愛情で俺を真っ直ぐに見つめていた。

「アラン……あなたという人は、本当に……」

「言ったろ? 俺の畑で好き勝手はさせないって」

 俺はそう言って、黄金色に輝く小麦の穂を一本優しく撫でた。

 さあ、反撃開始だ。王国軍とやらがもうすぐそこまで来ている。

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