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第18話「悪役令嬢の逆転劇」
王国軍の瓦解。そして聖女の呪いの失敗。
この二つの衝撃的な報せは王都の貴族たちを大きく動揺させた。特にアルフレッド王太子と聖女ライラの暴政に、以前から不満を抱いていた者たちにとってはまたとない好機だった。
セラフィーナは投降した討伐軍の指揮官を通じて、父であるヴェルリオン公爵や、かつての味方であった貴族たちに密かに連絡を取った。
手紙にはアルカディアの現状とライラが偽りの聖女である可能性、そして彼女の精神感応能力に関する俺の推測が記されていた。
ヴェルリオン公爵は娘からの手紙を読み、己の愚かさを恥じた。彼はライラの能力によって思考を誘導され、実の娘を疑ってしまったことを深く後悔した。そして娘の名誉を回復するため、彼は行動を起こすことを決意する。
公爵は味方の貴族たちと連携し、セラフィーナが無実であるという証拠を次々と集め始めた。ライラが夜会で自ら階段から落ちるのを見たという侍女の証言。ライラが王太子を篭絡し、国庫を私的に流用している証拠。それらはこれまでライラの能力によって握り潰されてきたものだったが、彼女の魔力が弱まった今、次々と明るみに出てきた。
そして王城で貴族院会議が開かれる日。
ヴェルリオン公爵は全ての証拠を手に、王と貴族たちの前で王太子アルフレッドと聖女ライラの罪を告発した。
「聖女ライラは、その不思議な力で王太子殿下の心を惑わし国政を壟断する偽りの聖女! そして我が娘セラフィーナは、その策略にはめられた無実の罪人である!」
騒然となる議場。アルフレッドは激昂する。
「父上! この男の戯言をお聞きなさいますな! 全ては聖女様を陥れるための嘘偽り!」
ライラも涙を浮かべて被害者を演じようとする。だが魔力が弱まった彼女の能力は、もはや貴族たちの疑念を覆い隠すことはできなかった。
そこに王国の魔術師団長がライラの魔力を鑑定した結果を報告する。
「……聖女ライラ様の魔力からは神聖な力は一切感じられません。むしろ、人の精神に干渉する極めて邪悪で特殊な系統のものです」
その報告が決定打となった。
ライラの化けの皮は完全にはがされた。彼女の精神感応能力は暴かれ、これまでの悪行が全て白日の下に晒される。そして彼女に操られるままに国政を顧みずセラフィーナを不当に追放し、無謀な討伐軍を派遣して国力を疲弊させたアルフレッド王太子もまた、その愚かさを断罪された。
アルフレッドは王太子の位を剥奪され幽閉された。ライラは魔力を封じられ、国を欺いた大罪人として北の塔に終生幽閉されることとなった。
セラフィーナの名誉は完全に回復された。
数日後、王都からの正式な使節団がアルカディアを訪れた。彼らはこれまでの非礼を詫び、セラフィーナに王都への帰還を促した。
だがセラフィーナは首を横に振った。
「私の帰る場所は、もはや王都にはありません。私の居場所は、このアルカディアです」
そして王国との交渉の結果、アルカディアは王国から完全に独立し新たな自治国家として認められることになった。
国の名は『ヴェリタス公国』。古の言葉で『真実』を意味する。嘘偽りによって傷つけられた少女が、真実の楽園を築いた証として。
その建国式典の日。公国の初代元首――大公に選ばれた俺は満場の国民を前に、高らかに宣言した。
「俺は、アラン・フォン・ヴェリタスは、ここにヴェリタス公国の建国を宣言する! そして、俺の妃としてセラフィーナ・ド・ヴェルリオンを迎えることを、ここに誓う!」
国民から割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こる。
俺の隣に立つセラフィーナは目に涙を浮かべながら、人生で一番美しい笑顔を浮かべていた。
「アラン……」
「セラフィーナ、愛してる。俺と、結婚してくれ」
「……はい、喜んで。私の大公様」
大歓声の中、俺たちは誓いの口づけを交わした。
追放された悪役令嬢の長い物語は最高のハッピーエンドで幕を閉じた。そして俺たちの新しい物語がここから始まるのだ。
この二つの衝撃的な報せは王都の貴族たちを大きく動揺させた。特にアルフレッド王太子と聖女ライラの暴政に、以前から不満を抱いていた者たちにとってはまたとない好機だった。
セラフィーナは投降した討伐軍の指揮官を通じて、父であるヴェルリオン公爵や、かつての味方であった貴族たちに密かに連絡を取った。
手紙にはアルカディアの現状とライラが偽りの聖女である可能性、そして彼女の精神感応能力に関する俺の推測が記されていた。
ヴェルリオン公爵は娘からの手紙を読み、己の愚かさを恥じた。彼はライラの能力によって思考を誘導され、実の娘を疑ってしまったことを深く後悔した。そして娘の名誉を回復するため、彼は行動を起こすことを決意する。
公爵は味方の貴族たちと連携し、セラフィーナが無実であるという証拠を次々と集め始めた。ライラが夜会で自ら階段から落ちるのを見たという侍女の証言。ライラが王太子を篭絡し、国庫を私的に流用している証拠。それらはこれまでライラの能力によって握り潰されてきたものだったが、彼女の魔力が弱まった今、次々と明るみに出てきた。
そして王城で貴族院会議が開かれる日。
ヴェルリオン公爵は全ての証拠を手に、王と貴族たちの前で王太子アルフレッドと聖女ライラの罪を告発した。
「聖女ライラは、その不思議な力で王太子殿下の心を惑わし国政を壟断する偽りの聖女! そして我が娘セラフィーナは、その策略にはめられた無実の罪人である!」
騒然となる議場。アルフレッドは激昂する。
「父上! この男の戯言をお聞きなさいますな! 全ては聖女様を陥れるための嘘偽り!」
ライラも涙を浮かべて被害者を演じようとする。だが魔力が弱まった彼女の能力は、もはや貴族たちの疑念を覆い隠すことはできなかった。
そこに王国の魔術師団長がライラの魔力を鑑定した結果を報告する。
「……聖女ライラ様の魔力からは神聖な力は一切感じられません。むしろ、人の精神に干渉する極めて邪悪で特殊な系統のものです」
その報告が決定打となった。
ライラの化けの皮は完全にはがされた。彼女の精神感応能力は暴かれ、これまでの悪行が全て白日の下に晒される。そして彼女に操られるままに国政を顧みずセラフィーナを不当に追放し、無謀な討伐軍を派遣して国力を疲弊させたアルフレッド王太子もまた、その愚かさを断罪された。
アルフレッドは王太子の位を剥奪され幽閉された。ライラは魔力を封じられ、国を欺いた大罪人として北の塔に終生幽閉されることとなった。
セラフィーナの名誉は完全に回復された。
数日後、王都からの正式な使節団がアルカディアを訪れた。彼らはこれまでの非礼を詫び、セラフィーナに王都への帰還を促した。
だがセラフィーナは首を横に振った。
「私の帰る場所は、もはや王都にはありません。私の居場所は、このアルカディアです」
そして王国との交渉の結果、アルカディアは王国から完全に独立し新たな自治国家として認められることになった。
国の名は『ヴェリタス公国』。古の言葉で『真実』を意味する。嘘偽りによって傷つけられた少女が、真実の楽園を築いた証として。
その建国式典の日。公国の初代元首――大公に選ばれた俺は満場の国民を前に、高らかに宣言した。
「俺は、アラン・フォン・ヴェリタスは、ここにヴェリタス公国の建国を宣言する! そして、俺の妃としてセラフィーナ・ド・ヴェルリオンを迎えることを、ここに誓う!」
国民から割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こる。
俺の隣に立つセラフィーナは目に涙を浮かべながら、人生で一番美しい笑顔を浮かべていた。
「アラン……」
「セラフィーナ、愛してる。俺と、結婚してくれ」
「……はい、喜んで。私の大公様」
大歓声の中、俺たちは誓いの口づけを交わした。
追放された悪役令嬢の長い物語は最高のハッピーエンドで幕を閉じた。そして俺たちの新しい物語がここから始まるのだ。
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