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第1話:ゴミスキルと追放宣告
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「カイ、お前はここでクビだ」
ひやりとした空気が肌を刺す、ダンジョン最深部。勇者アレスの言葉は、まるで鋭い氷の刃のようにカイの胸に突き刺さった。
「え……?」
カイは、背負っていた巨大なバックパックを下ろしながら、信じられないという顔でアレスを見上げた。バックパックの中には、パーティーメンバー全員のポーションや食料、予備の装備、そして今まで倒してきた魔物の素材がぎっしりと詰まっている。これを運ぶのが、カイの主な仕事だった。
パーティーのリーダーである勇者アレスは、黄金の鎧を輝かせながら、蔑むような視線をカイに向ける。その隣では、魔術師のソフィアと僧侶のマルコが、冷笑を浮かべていた。
「聞こえなかったのか? お前はクビだと言ったんだ。もうお前の力は必要ない」
「で、でも、俺は今までみんなのために……」
「お前のスキル【整理整頓】が何の役に立った? アイテムを綺麗に並べるだけじゃないか。戦闘じゃ役立たず、ただのお荷物だ」
【整理整頓】。それがカイに与えられたユニークスキルだった。発動すれば、散らかったアイテムを綺麗に並べ替えることができる。ただ、それだけ。戦闘スキルを持たないカイは、パーティーの雑用を一手に引き受けることで、なんとか自分の居場所を保ってきたつもりだった。
「そんな……。俺がいなくなったら、荷物持ちやキャンプの準備は誰が……」
「そんなものは、金でいくらでも雇える。お前のようなゴミスキル持ちに、分け前を払う方が無駄なんだよ」
アレスはそう吐き捨てると、カイが持っていたなけなしの金貨袋を奪い取り、使い古した剣や革鎧まで剥ぎ取った。
「ああ、それから、このダンジョンの最深部だ。魔物もうじゃうじゃいる。生きて帰れると思うなよ」
まるでゴミを捨てるかのような、無慈悲な宣告。ソフィアもマルコも、助けようとはしない。むしろ、厄介払いができてせいせいした、とでも言いたげな顔をしていた。
「待ってくれ、アレス! 俺たち、仲間じゃなかったのか!?」
「仲間? 笑わせるな。お前はただの便利な道具だっただけだ」
背を向け、ダンジョンの出口へと歩き出す三人の後ろ姿に、カイは声を枯らして懇願したが、彼らが振り返ることは二度となかった。
静寂が訪れる。残されたのは、布の服一枚になったカイと、ダンジョンの奥から響いてくる不気味な魔物の咆哮だけ。装備も、金も、食料も、仲間も、すべてを失った。
「……どうして」
涙が溢れ、地面に落ちて染みを作っていく。信じていた。勇者パーティーの一員として、いつか魔王を倒す旅に貢献できると。だが、現実は非情だった。
グルルル……。
背後から、低い唸り声が聞こえた。振り返ると、そこには涎を垂らし、飢えた目でカイを睨みつけるゴブリンの群れがいた。武器も防具もないカイでは、一瞬で引き裂かれてお終いだ。
(ああ、俺はここで死ぬのか……)
絶望が心を支配する。あまりにも理不尽で、あまりにも惨めな最期。だが、その死の淵で、カイの心に小さな怒りの炎が灯った。
(こんなところで、死んでたまるか……!)
生きることを諦めたくない。ただ、それだけの思いだった。無我夢中で、彼は震える両手をゴブリンたちに向け、叫んだ。
「僕の邪魔をするなあああッ!」
その瞬間、カイの脳内に膨大な情報が流れ込んできた。
【ゴブリン・ソルジャー】
【ゴブリン・アーチャー】
【ゴブリン・リーダー】
目の前のゴブリン一体一体の名称、ステータス、弱点、そしてドロップする可能性のあるアイテムまでが、まるで整頓された書庫の目録のように、完璧な情報として頭の中に表示されたのだ。
「――なんだ、これ……?」
これが、カイの人生を、いや、世界そのものを〝整理整頓〟していくことになる、本当の力の覚醒の瞬間だった。
ひやりとした空気が肌を刺す、ダンジョン最深部。勇者アレスの言葉は、まるで鋭い氷の刃のようにカイの胸に突き刺さった。
「え……?」
カイは、背負っていた巨大なバックパックを下ろしながら、信じられないという顔でアレスを見上げた。バックパックの中には、パーティーメンバー全員のポーションや食料、予備の装備、そして今まで倒してきた魔物の素材がぎっしりと詰まっている。これを運ぶのが、カイの主な仕事だった。
パーティーのリーダーである勇者アレスは、黄金の鎧を輝かせながら、蔑むような視線をカイに向ける。その隣では、魔術師のソフィアと僧侶のマルコが、冷笑を浮かべていた。
「聞こえなかったのか? お前はクビだと言ったんだ。もうお前の力は必要ない」
「で、でも、俺は今までみんなのために……」
「お前のスキル【整理整頓】が何の役に立った? アイテムを綺麗に並べるだけじゃないか。戦闘じゃ役立たず、ただのお荷物だ」
【整理整頓】。それがカイに与えられたユニークスキルだった。発動すれば、散らかったアイテムを綺麗に並べ替えることができる。ただ、それだけ。戦闘スキルを持たないカイは、パーティーの雑用を一手に引き受けることで、なんとか自分の居場所を保ってきたつもりだった。
「そんな……。俺がいなくなったら、荷物持ちやキャンプの準備は誰が……」
「そんなものは、金でいくらでも雇える。お前のようなゴミスキル持ちに、分け前を払う方が無駄なんだよ」
アレスはそう吐き捨てると、カイが持っていたなけなしの金貨袋を奪い取り、使い古した剣や革鎧まで剥ぎ取った。
「ああ、それから、このダンジョンの最深部だ。魔物もうじゃうじゃいる。生きて帰れると思うなよ」
まるでゴミを捨てるかのような、無慈悲な宣告。ソフィアもマルコも、助けようとはしない。むしろ、厄介払いができてせいせいした、とでも言いたげな顔をしていた。
「待ってくれ、アレス! 俺たち、仲間じゃなかったのか!?」
「仲間? 笑わせるな。お前はただの便利な道具だっただけだ」
背を向け、ダンジョンの出口へと歩き出す三人の後ろ姿に、カイは声を枯らして懇願したが、彼らが振り返ることは二度となかった。
静寂が訪れる。残されたのは、布の服一枚になったカイと、ダンジョンの奥から響いてくる不気味な魔物の咆哮だけ。装備も、金も、食料も、仲間も、すべてを失った。
「……どうして」
涙が溢れ、地面に落ちて染みを作っていく。信じていた。勇者パーティーの一員として、いつか魔王を倒す旅に貢献できると。だが、現実は非情だった。
グルルル……。
背後から、低い唸り声が聞こえた。振り返ると、そこには涎を垂らし、飢えた目でカイを睨みつけるゴブリンの群れがいた。武器も防具もないカイでは、一瞬で引き裂かれてお終いだ。
(ああ、俺はここで死ぬのか……)
絶望が心を支配する。あまりにも理不尽で、あまりにも惨めな最期。だが、その死の淵で、カイの心に小さな怒りの炎が灯った。
(こんなところで、死んでたまるか……!)
生きることを諦めたくない。ただ、それだけの思いだった。無我夢中で、彼は震える両手をゴブリンたちに向け、叫んだ。
「僕の邪魔をするなあああッ!」
その瞬間、カイの脳内に膨大な情報が流れ込んできた。
【ゴブリン・ソルジャー】
【ゴブリン・アーチャー】
【ゴブリン・リーダー】
目の前のゴブリン一体一体の名称、ステータス、弱点、そしてドロップする可能性のあるアイテムまでが、まるで整頓された書庫の目録のように、完璧な情報として頭の中に表示されたのだ。
「――なんだ、これ……?」
これが、カイの人生を、いや、世界そのものを〝整理整頓〟していくことになる、本当の力の覚醒の瞬間だった。
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