追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人

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第2話:覚醒、これが俺の本当の力

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 脳内に流れ込んでくる膨大な情報に、カイは混乱していた。目の前のゴブリンたちの弱点が、手に取るようにわかる。リーダー格のゴブリンは右足に古傷があること。アーチャーは弦を張り替えたばかりで、まだ弓の扱いに慣れていないこと。そんな些細な情報まで、すべてが〝整理〟されてカイの頭に叩き込まれていた。

「――弱点は、頭……いや、心臓部か」

 ゴブリン・ソルジャーの一体が、棍棒を振りかぶって突進してくる。絶体絶命の状況。しかし、カイは不思議と冷静だった。覚醒したスキルがもたらす情報のおかげで、相手の動きがスローモーションのように見えたのだ。

 カイは咄嗟に地面に転がっていた、こぶし大の石を拾い上げる。そして、ソルジャーが棍棒を振り下ろす寸前、わずかにがら空きになった脇腹――その奥にある心臓をめがけて、全力で石を投げつけた。

 ゴッ! という鈍い音と共に、石は寸分の狂いもなくゴブリンの脇腹にめり込んだ。
「ギッ!?」
 断末魔の悲鳴を上げ、ゴブリン・ソルジャーは前のめりに倒れ、動かなくなった。

「……倒せた?」

 信じられない光景だった。ただの石ころ一つで、武装した魔物を一撃で倒してしまったのだ。他のゴブリンたちが、仲間の死に怯んで一瞬動きを止める。カイはその隙を逃さなかった。

(この力、使える……!)

 鑑定。これが【整理整頓】の真の能力の一つだと直感した。森羅万象の情報を〝整理〟し、理解する力。

 カイはすぐさま地面に落ちている石をいくつか拾い集めた。そして、ふと、邪魔になる石をどこかにしまっておこうと考えた。その瞬間、彼の目の前に、うっすらと光る四角いゲートのようなものが現れた。

「なっ……!?」

 まるで空間に亀裂が入ったかのような不思議な光景。恐る恐る、手に持った石をそのゲートに近づけると、石はすうっと吸い込まれるように消えていった。そして、カイが「石を出したい」と念じると、今度はゲートから同じ石がぽとりと手の中に現れた。

 無限収納(インベントリ)。アイテムを自由に出し入れできる異空間ストレージ。これもまた、【整理整頓】の能力だったのだ。アイテムをあるべき場所に〝整理〟する。その〝あるべき場所〟が、この異空間だったというわけだ。

「すごい……俺のスキルは、ゴミじゃなかったんだ……!」

 絶望の闇に、希望の光が差し込む。カイの目には、再び力が宿った。
 残りのゴブリンたちが、我に返って一斉に襲いかかってくる。しかし、もはやカイにとって彼らは脅威ではなかった。

「お前たちの動きも、弱点も、全部お見通しだ!」

 カイは無限収納から次々と石を取り出し、ゴブリンたちの急所へと正確に投げつけていく。鑑定能力で動きを完璧に予測し、急所を的確に狙う。その姿は、もはやパーティーの雑用係ではなく、熟練の戦士のようだった。

 数分後、そこには息絶えたゴブリンたちの亡骸だけが転がっていた。カイは肩で息をしながら、自分の両手を見つめる。信じられないことが立て続けに起こり、まだ頭が追いついていない。

「【整理整頓】……アイテムを並べるだけじゃなかった。情報を整理する『鑑定』と、アイテムを整理する『無限収納』。これが、俺の本当の力……」

 アレスたちは、この力の本当の価値に気づかなかったのだ。いや、カイ自身も今まで気づいていなかった。彼らに蔑まれ、追放されたからこそ、この力は覚醒した。皮肉なものだ。

 カイは、ゴブリンたちがドロップした魔石や粗末な剣を、無限収納に放り込んでいく。これなら、いくらアイテムがあっても持ち運びに困ることはない。

「とにかく、ここから脱出しよう」

 カイはダンジョンの出口を目指して歩き始めた。その足取りは、先ほどまでの絶望に打ちひしがれたものではなく、新たな人生への希望に満ちた、力強いものに変わっていた。

 彼を追放した勇者パーティーは、まだ知らない。自分たちが捨てた〝お荷物〟が、世界すらも〝整理〟するほどの、とんでもない至宝であったことを。そして、その代償を近いうちに支払わされることになるということを。
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