追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人

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第5話:辺境の街とギルド登録

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「わーい! 主様、速いですー!」
「ルナ、あんまりはしゃぐと転ぶぞ」

 カイとルナは、森を抜け、辺境の街「アストリア」へと向かっていた。ルナは呪いが解けて本来の力を取り戻したのか、人間の姿でも驚くほど身軽で、楽しそうにカイの周りを駆け回っている。その無邪気な姿に、カイの口元も自然と緩んだ。

 アストリアは、石畳の道とレンガ造りの家々が並ぶ、活気がありながらもどこか落ち着いた雰囲気の街だった。カイとルナは、まず冒険者ギルドを訪れることにした。この世界で生きていくためには、ギルドに登録して仕事を得るのが一番手っ取り早い。

 ギルドの扉を開けると、酒と汗の匂いが混じった熱気が二人を迎えた。屈強な戦士や、胡散臭い魔術師、身軽そうな盗賊など、様々な冒険者たちが酒を酌み交わし、談笑している。

 カイは少し気圧されながらも、受付カウンターへと向かった。受付には、気だるそうな表情を浮かべた女性職員が座っていた。

「あの、冒険者の登録をお願いしたいんですが」
「はいはい、新規登録ね。名前と、スキルをこの用紙に書いて」

 受付嬢は、面倒くさそうに一枚の羊皮紙を差し出した。カイはペンをとり、自分の名前を書き込む。そして、スキルの欄に、正直に【整理整頓】と記入した。ルナも隣で、自分の名前とスキル【聖獣化】を書き込む。

 用紙を受け取った受付嬢は、カイのスキルの欄を見て、一瞬眉をひそめた。

「……整理整頓? なにそれ、掃除のスキル?」
「えっと、まあ、そんな感じのものです」

 カイが曖昧に答えると、受付嬢はぷっと吹き出した。その声を聞きつけ、近くにいた冒険者たちがゲラゲラと笑い出す。

「おいおい聞いたかよ! 整理整頓スキルだってよ!」
「そんなスキルで冒険者になろうってのか? おままごとのつもりか、坊主!」
「隣のかわいい嬢ちゃんはともかく、そんなゴミスキル持ちは足手まといになるだけだぜ。やめとけやめとけ」

 嘲笑の渦に、カイは顔を赤らめて俯いた。まただ。勇者パーティーにいた時と同じ。このスキルは、誰にも理解されない。ゴミスキルだと、役立たずだと、また馬鹿にされる。

 悔しさに唇を噛みしめていると、カイの手がぎゅっと握られた。見ると、ルナが心配そうな顔でカイを見上げている。

「主様……」
「……大丈夫だ、ルナ」

 カイはルナに微笑みかけると、顔を上げて毅然とした態度で言った。

「それでも、僕たちは冒険者になります。どんな仕事でもやります。お願いします」

 その真摯な態度に、受付嬢は少しだけ表情を和らげた。
「……まあ、登録自体は誰でもできるからね。はい、これが君たちのギルドカード。ランクは一番下のFから。頑張ることね、お掃除スキル君」

 皮肉交じりに渡された銅のプレート。それが、カイとルナの新たな人生の始まりを告げる証だった。

 ギルドを出ると、カイは大きくため息をついた。
「ごめんな、ルナ。僕のせいで、馬鹿にされちゃって……」
「ううん! ルナは全然気にしてないです! 主様のスキルは、世界一すごいスキルだって、ルナが知ってますから!」

 ルナはぶんぶんと首を振り、カイの手を両手で包み込んだ。その温かさと、真っ直ぐな信頼が、カイの心を救ってくれる。

「ありがとう、ルナ」

 そうだ、もう独りじゃない。隣には、自分を信じてくれる大切な仲間がいる。彼らに馬鹿にされたままで終わるものか。

「見てろよ。いつか絶対に、僕のスキルでみんなをあっと言わせてやる」

 カイは、手の中のギルドカードを強く握りしめた。ルナを守るため、そして自分自身の価値を証明するため、彼はこの辺境の街で、地道に、しかし着実に成り上がっていくことを固く誓ったのだった。
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