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第17話:勇者の卑劣な陰謀
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アストリアの街を救った英雄、ギルド『クローゼット』。その報せは、瞬く間に王国全土へと広まっていった。辺境のギルドが、魔王軍の幹部である魔将軍を討ち取った。それは、まさに快挙と呼ぶにふさわしい功績だった。
そして、その報せは、奈落の大迷宮でいまだに足止めを食らっている勇者アレスの耳にも、もちろん届いていた。
「……魔将軍を、カイが倒しただと……?」
アレスは、報告書を持つ手をわなわなと震わせた。信じられない。信じたくない。自分ですら苦戦は必至の魔将軍を、あの役立たずのカイが倒したというのか。
嫉妬の炎が、彼の心を焼き尽くす。
カイの名声が高まれば高まるほど、迷宮で停滞している自分の評価は地に落ちていく。勇者である自分よりも、追放した雑用係の方が、英雄として称えられている。この屈辱に、アレスは耐えられなかった。
「……許さない。絶対に、許さない」
彼の心に、どす黒く、卑劣な計画が浮かび上がった。
正攻法でカイに勝てないのなら、権力で、策謀で、彼を貶めてやればいい。
アレスは、すぐさま王都に使者を送った。彼の勇者という地位は、まだ失われてはいない。その地位を利用し、王国の騎士団を動かせるだけの権限を、彼は持っていた。
数日後、王都からアストリアの街へ、一隊の騎士団が派遣された。彼らを率いるのは、アレスに心酔している騎士団長だ。
騎士団は、ギルド『クローゼット』のハウスを包囲し、街中に衝撃的な布告を貼り出した。
『罪人カイを捕縛せよ。勇者アレス様からの報告により、カイが魔将軍ザルガスと内通し、アストリアの街を魔王軍に売り渡そうとしていたことが発覚した。魔将軍を討ち取ったのは、口封じのためである。カイは、王国への反逆者である』
あまりにも、荒唐無稽な言いがかりだった。
街の人々は、自分たちを救ってくれた英雄が、そんなことをするはずがないと反発した。
「馬鹿なことを言うな! カイさんたちが、俺たちを裏切るはずがない!」
「そうだ! 彼らは街の英雄だ!」
しかし、騎士団は聞く耳を持たない。
「これは、勇者アレス様からの正式な告発であり、王命である! 逆らう者は、同罪とみなす!」
騎士団長は、アレスが捏造した「カイと魔将軍が密会していた」という偽の目撃証言や、偽造された手紙を証拠として突きつけた。権威に弱い人々は、次第に「もしかしたら、本当に……」と疑心暗鬼に陥っていく。
「カイ殿、どういうことですか!?」
エリアナが、怒りに震えながらカイに詰め寄る。
カイもまた、突然の出来事に混乱していた。だが、すぐにこれがアレスの仕業だと気づいた。自分を追放しただけでは飽き足らず、今度は罪人に仕立て上げようとしているのだ。
「……アレスの、嫌がらせだ」
「ひどいです! 主様は、みんなのために戦ったのに!」
ルナが、涙目でカイの服を掴む。
騎士団が、家の扉を破って押し入ってきた。
「反逆者カイ! 大人しくしろ!」
カイは、抵抗しなかった。ここで争えば、エリアナやルナ、そして街の人々を巻き込んでしまう。
「……わかりました。おとなしく、ついて行きます。でも、一つだけ約束してください。僕の仲間には、手を出さないでいただきたい」
カイは、静かにそう言うと、自ら両手を差し出した。
こうして、アストリアの英雄カイは、一夜にして王国への反逆者という汚名を着せられ、王都へと連行されることになった。
その護送される後ろ姿を、エリアナは唇を噛み締めながら見送っていた。
(待っていてください、カイ殿。このまま、あなたの好きにはさせません。この借りは、必ず王都で返してみせます!)
彼女の瞳には、友を、そしてギルドのリーダーを救うための、静かなる闘志の炎が燃え上がっていた。
そして、その報せは、奈落の大迷宮でいまだに足止めを食らっている勇者アレスの耳にも、もちろん届いていた。
「……魔将軍を、カイが倒しただと……?」
アレスは、報告書を持つ手をわなわなと震わせた。信じられない。信じたくない。自分ですら苦戦は必至の魔将軍を、あの役立たずのカイが倒したというのか。
嫉妬の炎が、彼の心を焼き尽くす。
カイの名声が高まれば高まるほど、迷宮で停滞している自分の評価は地に落ちていく。勇者である自分よりも、追放した雑用係の方が、英雄として称えられている。この屈辱に、アレスは耐えられなかった。
「……許さない。絶対に、許さない」
彼の心に、どす黒く、卑劣な計画が浮かび上がった。
正攻法でカイに勝てないのなら、権力で、策謀で、彼を貶めてやればいい。
アレスは、すぐさま王都に使者を送った。彼の勇者という地位は、まだ失われてはいない。その地位を利用し、王国の騎士団を動かせるだけの権限を、彼は持っていた。
数日後、王都からアストリアの街へ、一隊の騎士団が派遣された。彼らを率いるのは、アレスに心酔している騎士団長だ。
騎士団は、ギルド『クローゼット』のハウスを包囲し、街中に衝撃的な布告を貼り出した。
『罪人カイを捕縛せよ。勇者アレス様からの報告により、カイが魔将軍ザルガスと内通し、アストリアの街を魔王軍に売り渡そうとしていたことが発覚した。魔将軍を討ち取ったのは、口封じのためである。カイは、王国への反逆者である』
あまりにも、荒唐無稽な言いがかりだった。
街の人々は、自分たちを救ってくれた英雄が、そんなことをするはずがないと反発した。
「馬鹿なことを言うな! カイさんたちが、俺たちを裏切るはずがない!」
「そうだ! 彼らは街の英雄だ!」
しかし、騎士団は聞く耳を持たない。
「これは、勇者アレス様からの正式な告発であり、王命である! 逆らう者は、同罪とみなす!」
騎士団長は、アレスが捏造した「カイと魔将軍が密会していた」という偽の目撃証言や、偽造された手紙を証拠として突きつけた。権威に弱い人々は、次第に「もしかしたら、本当に……」と疑心暗鬼に陥っていく。
「カイ殿、どういうことですか!?」
エリアナが、怒りに震えながらカイに詰め寄る。
カイもまた、突然の出来事に混乱していた。だが、すぐにこれがアレスの仕業だと気づいた。自分を追放しただけでは飽き足らず、今度は罪人に仕立て上げようとしているのだ。
「……アレスの、嫌がらせだ」
「ひどいです! 主様は、みんなのために戦ったのに!」
ルナが、涙目でカイの服を掴む。
騎士団が、家の扉を破って押し入ってきた。
「反逆者カイ! 大人しくしろ!」
カイは、抵抗しなかった。ここで争えば、エリアナやルナ、そして街の人々を巻き込んでしまう。
「……わかりました。おとなしく、ついて行きます。でも、一つだけ約束してください。僕の仲間には、手を出さないでいただきたい」
カイは、静かにそう言うと、自ら両手を差し出した。
こうして、アストリアの英雄カイは、一夜にして王国への反逆者という汚名を着せられ、王都へと連行されることになった。
その護送される後ろ姿を、エリアナは唇を噛み締めながら見送っていた。
(待っていてください、カイ殿。このまま、あなたの好きにはさせません。この借りは、必ず王都で返してみせます!)
彼女の瞳には、友を、そしてギルドのリーダーを救うための、静かなる闘志の炎が燃え上がっていた。
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