追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人

文字の大きさ
19 / 24

第18話:法廷での対決、暴かれる嘘

しおりを挟む
 王都の裁判所。その中央に、カイは枷をはめられて立たされていた。傍聴席は、貴族や民衆で埋め尽くされている。辺境の英雄から一転、国を裏切った大罪人として裁かれるカイの姿を、誰もが好奇の目で見つめていた。

 検察官役として、勇者アレスが勝ち誇った顔で証言台に立つ。

「ここにいるカイは、かつて私のパーティーに所属していましたが、その頃から魔族にシンパシーを感じるような言動が見られました。そして、私が集めたこれらの証拠が、彼と魔将軍ザルガスが内通していたことを明確に示しています!」

 アレスは、捏造した証拠の数々をさも本物であるかのように並べ立てる。偽の目撃者も用意周到に準備されており、次々とカイに不利な証言をしていった。法廷の空気は、完全にカイを有罪とする方向へと流れていく。

 裁判長が、重々しく口を開いた。
「被告人カイ。何か、反論はあるかね?」

 誰もが、カイは絶望して言葉も出ないだろうと思っていた。しかし、カイは落ち着き払っていた。

「はい、あります」

 その時、法廷の扉が勢いよく開かれた。
「異議あり!」

 現れたのは、ラングフォード家の正装に身を包んだ、凛々しいエリアナの姿だった。彼女は、カイが連行された後、すぐさま王都に駆けつけ、ラングフォード家のコネを使い、この公開裁判の場を設けさせたのだ。そして、彼女はカイの弁護人として、ここに立つことを許可されていた。

「エリアナさん……!」
「カイ殿、ご心配なく。ここからは、私たちの反撃の時間です」

 エリアナは、カイに力強く頷くと、アレスに向き直った。
「勇者アレス。あなたの証言と証拠には、数多くの矛盾点が存在します。それを、今から一つ一つ、明らかにしていきましょう」

 エリアナの言葉を合図に、カイが静かに口を開いた。
「【整理整頓】」

 カイは、スキルを発動し、アレスが提示した証拠と証言、そのすべてを〝情報〟として頭の中で整理し始めた。

「まず、一人目の証人。あなたは『カイと魔将軍が森の東で密会しているのを見た』と証言しましたね。ですが、その日、森の東は豪雨で川が氾濫し、人が立ち入れる状態ではありませんでした。これは、アストリアの天候記録を調べればすぐにわかることです。あなたは、本当にそこにいたのですか?」

 証人は、カイの的確な指摘に顔面蒼白になり、しどろもどろになる。

「次に、この手紙。筆跡鑑定では僕のものとされていますが、よく見てください。僕の名前『Kai』の『i』の点が、ほんの僅かに右にずれている。これは、僕の筆跡の癖ではありません。これは、左利きの人間が、右利きの僕の字を真似て書いた時に生じる、典型的な特徴です。勇者アレス、あなたは確か、左利きでしたよね?」

 ざわっ、と傍聴席がどよめく。アレスの顔から、余裕の笑みが消えた。

 カイの反論は、止まらない。彼は【整理整頓】によって、証拠や証言の中に含まれる、ほんの些細な〝矛盾〟や〝乱れ〟を完璧に見抜き、それを論理という名の剣で、次々と切り裂いていく。

 それはもはや、裁判ではなく、一方的な〝お掃除〟だった。アレスが積み上げた嘘の山が、カイのスキルによって綺麗さっぱりと片付けられていく。

「……そ、そんなはずは……俺の計画は、完璧だったはずだ……!」

 アレスは、自分の嘘が次々と暴かれていく様に、狼狽を隠せない。
 カイの【整理整頓】は、物理的なものだけでなく、情報や論理といった、目に見えないものすらも〝整理〟し、真実を炙り出す力を持っていたのだ。

 法廷の空気は、完全に逆転した。カイに向けられていた疑惑の目は、今や、嘘で人を陥れようとした卑劣な勇者アレスへと向けられていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

神罰カウントが見える追放技師は、兵器開発を断って辺境港で遺物工房をひらく

蒼月よる
ファンタジー
反宗教国家の遺物管理局で働いていた技師ジンは、危険な接続実験を止めたせいで「臆病者」として追放された。 彼には遺物の危険度――神罰までの目盛りが見える。 流れ着いた辺境港アルヴァスで、壊れたポンプを直し、止まった航路灯を点け、生活道具だけを作る小さな工房を始めるが、評判はすぐに軍と闇市場へ届いてしまう。 「兵器にしろ」と迫る圧力。 「便利なら危険でもいい」と進める上層。 数字が赤くなる前に、守るべきは誰の暮らしか。 追放技師の逆転工房譚。 この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり
ファンタジー
10歳で『ルゥ』というギフトを得た僕。 どんなギフトかわからないまま、義理の兄たちとダンジョンに潜ったけど、役立たずと言われ取り残されてしまった。 一人きりで動くこともできない僕を助けてくれたのは一匹のフェンリルだった。僕のギルト『ルゥ』で出来たスープは、フェンリルの古傷を直すほどのとんでもないギフトだった。 その頃、母も僕のせいで離婚をされた。僕のギフトを理解できない義兄たちの報告のせいだった。 これは、母と僕と妹が、そこから幸せになるまでの、大切な人々との出会いのファンタジーです。 カクヨムにもサブタイ違いで載せています。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

処理中です...