スキル『農業』はゴミだと追放されたが、実は植物の遺伝子を書き換える神スキル【神農】でした。荒野を楽園に変えて異世界万博を開催します!

黒崎隼人

文字の大きさ
12 / 16

第11話「前夜の攻防と、商人の切り札」

しおりを挟む
 騎士たちが放った魔法や矢は、畑の外周に植えられた【鏡面大豆(ミラー・ビーンズ)】の強固な反射障壁によって全て弾き返された。
 さらに、地面から伸びた【拘束カボチャの蔦】が、騎士たちの足を次々と絡め取る。
「な、なんだこれは!?植物が動くだと!?」
「うわああ!剣が通じない!」
 混乱する騎士団の中央に、フェンが躍り込んだ。
 彼が軽く咆哮しただけで、衝撃波が走り、鎧を着た大人たちが将棋倒しになる。
 ギルバートは腰を抜かし、這いずりながら後退した。
「ば、バカな……たかが農民一人に、王国の精鋭が……」
「農民だからこそ、ですよ。自分の畑を荒らす害虫には容赦しない」
 僕はゆっくりと彼に近づく。
 ギルバートは恐怖に顔を歪め、飛空艇へ逃げ込もうとした。
「覚えてろ!こうなれば、世界中に『この万博は詐欺だ』と触れ回ってやる!貴様の評判を地に落とし、誰も来ないようにしてやるからな!」
 捨て台詞を残し、飛空艇は逃げるように飛び去っていった。
 残された村人たちは不安げだ。
「カイル様……大丈夫でしょうか。あんなことを言われては」
「王国の影響力は侮れません。もし本当にお客さんが来なかったら……」
 ソフィアも心配そうに眉を寄せている。
 その時、ポンと手を叩く音が響いた。
 ベルナルドだ。彼は全く動じていないどころか、不敵な笑みさえ浮かべている。
「ご心配なく。あのような小物に、商人のネットワークは崩せませんよ」
「策があるのか?」
「ええ。実はですね、招待客のリストには、ギルバート殿下に恨みを持つ……もとい、彼の無能さを知る各国の重鎮がズラリと並んでおりまして」
 ベルナルドは髭を撫でながら、一枚の紙を取り出した。
「それに、今回の万博のメインスポンサーは、帝国の『美食ギルド』と、聖王国の『治癒院』です。彼らはすでにあなたの野菜のサンプルの虜。王国の妨害工作など、彼らの『もっと食べたい』という欲望の前には無力です」
 さすがは世界を股にかける商人だ。
 さらに彼は続けた。
「それに、最高の宣伝文句になりますよ。『王国が軍を出してまで奪おうとした伝説の味』。これ以上のキャッチコピーがありますか?」
「……たくましいな、君は」
 僕たちは顔を見合わせ、笑い合った。
 夜、僕は畑に出た。
 明日の本番に向け、虹色果実が最後の仕上げに入っている。
 淡い七色の光を放つその実を見つめていると、後ろからソフィアが近づいてきた。
「カイル様」
「ソフィア。眠れない?」
「はい……楽しみで、そして少し怖くて」
 彼女は僕の隣に立ち、夜空を見上げた。
 満天の星空が広がっている。
「私、ここに来て本当によかったです。泥にまみれて、美味しいものを食べて、笑い合って……王宮にいた頃より、ずっと人間らしい生き方ができている気がします」
「僕もだよ。君がいてくれてよかった」
 自然と手が重なる。
 彼女の手は、農作業で少し荒れていたけれど、どんな宝石よりも温かく、愛おしかった。
「明日は最高の一日にしよう」
「はい……!」
 そして、運命の朝がやってきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】

小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」  私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。  退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?  案の定、シャノーラはよく理解していなかった。  聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

「君の回復魔法は痛い」と追放されたので、国を浄化するのをやめました

希羽
恋愛
「君の回復魔法は痛いから」と婚約破棄され、国外追放された聖女エレナ。しかし彼女の魔法は、呪いを根こそぎ消滅させる最強の聖なる焼却だった。国を見限って辺境で薬草カフェを開くと、その技術に惚れ込んだ伝説の竜王やフェンリルが常連になり、悠々自適なスローライフが始まる。 一方、エレナを追放した王国はパニックに陥っていた。新しく迎えた聖女の魔法は、ただ痛みを麻痺させるだけの「痛み止め」に過ぎず、国中に蔓延する呪いを防ぐことができなかったのだ。 原因不明の奇病、腐り落ちる騎士の腕、そして復活する魔王の封印。 「頼む、戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、もう遅い。 私の店は世界最強の竜王様が警備しているので、王家の使いだろうと門前払いです。 ※本作は「小説家になろう」でも投稿しています。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

処理中です...