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第5話「独立の旗を掲げ、新生の王国を」
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「反逆者」の烙印を押された私とクロードは、皇国軍の執拗な追跡から逃れ続けていた。クロードはセシリアの罠に嵌ったことで深く落ち込み、一時は覇気を失いかけていたが、私が叱咤することでなんとか自我を保っている状態だった。
「いつまでも落ち込んでいないでください、元・皇帝陛下。あなたのその情けない顔を見ていると、こちらまで気が滅入ります」
「……元、は余計だ」
憎まれ口を叩きながらも、彼は私の隣で馬を駆る。皮肉なことに、この逃避行は私たちの間の奇妙な連帯感を強めていた。
私たちは追手から逃れつつ、散り散りになった仲間を集める必要があった。私にはノースガルドの民が、クロードには彼に忠誠を誓うわずかな臣下たちがいる。
その道中で、私たちは運命的な出会いを果たした。
最初の出会いは、敵国であるはずのキール王国の騎士団と遭遇した時だった。絶体絶命の状況。しかし、その騎士団を率いる若き騎士カイ・ランスターは我々に剣を向けることなく、馬上から降りて膝をついた。
「あなたが、ノースガルドのアリシア殿か。噂はかねがね。腐敗したレヴァント皇国を内側から変えようとする、あなたの気高さに心打たれた。どうか、我らキール騎士団をあなたの剣として使ってほしい」
彼はセシリアのやり方に疑問を抱き、真の正義を求めていたのだ。こうして、私は思いがけず強力な騎士団を手に入れた。
次に出会ったのは、大陸最大の商人ギルド『暁』の若きトップ、エリオットと名乗る男だった。飄々とした掴みどころのない男だが、その目は確かな情報と金銭の流れを読んでいた。
「いやあ、これは面白い賭けになりそうだ。追われる身の元皇太子妃と皇帝陛下に、全財産を賭けてみるってのも悪くない。いいでしょう、アリシア様。あなたの建国、資金面は俺が引き受けた」
彼はセシリアがもたらす経済の混乱を危惧し、新たな秩序を望んでいた。彼の加入は、我々にとって何よりの力となった。
そして、古代魔法の謎を追って旅をしていたという魔法学者のリナリアが、私の噂を聞きつけて自ら合流してきた。
「あなたが古代魔法を!?信じられない!是非、その研究を手伝わせてください!」
彼女の知識は、私が独学で解読していた古文書のさらなる秘密を解き明かす鍵となった。
元敵国の騎士、大商人のトップ、そして変わり者の魔法学者。立場も出自もバラバラな彼らが、私という旗印の下に集った。彼らは私の家臣ではない。目的のために手を取り合った、真の「仲間」だった。
追っ手はすぐそこまで迫っていた。私たちは、ノースガルドへ帰還し、そこで籠城するしかない。
「アリシア、ノースガルドに戻っても皇国の大軍を相手に持ちこたえるのは難しい」
クロードが厳しい表情で言う。だが、私には策があった。
ノースガルドの古代遺跡。その最深部には、まだ起動していない巨大な魔法装置があった。リナリアの助けを借りて古文書を解読した結果、それが領地全体を覆う強力な防御結界を張るためのものだと判明したのだ。
「やるしかないわ」
仲間たちと共に、私は遺跡の最深部へと向かった。追手の声が、もう遺跡の入り口まで聞こえている。
祭壇の中央に手を置き、私は全身全霊の魔力を注ぎ込む。血筋に刻まれた、星の王家の力を解放する。
「目覚めなさい、古の守護者よ!我が民と土地を、その大いなる力で守り給え!」
私の叫びに呼応するように遺跡全体が眩い光を放ち、大地が大きく震動した。ノースガルドの地平線の彼方から、天を突くほどの光の壁が立ち上り、領地全体をドーム状に覆っていく。
追撃してきた皇国軍の兵士たちは、その神々しくも圧倒的な光景に恐れおののき立ちすくむしかなかった。
光の壁が完全にノースガルドを覆い尽くした時、私は集まってくれた領民と仲間たち、そしてクロードの前で高らかに宣言した。
「これより、このノースガルドはレヴァント皇国の支配を受けない、独立した主権国家であることを宣言する!我が名はアリシア・ヴァンデルーク!今日この日より、この国は『新生ヴァンデルーク王国』である!」
私の声は、魔法の力で領地の隅々まで響き渡った。領民たちから、割れんばかりの歓声が上がる。
それは、追放された雌狼が自らの牙で運命を切り拓き、玉座へと続く道を歩み始めた瞬間だった。
結界の外では、セシリアに完全に洗脳され、私を「世界を脅かす魔女」だと信じ込まされたクロードの影武者と、彼を信じる軍が、大軍を率いて到着していた。彼女の筋書きでは、クロードは私を討伐し英雄として皇国へ凱旋するはずだった。
だが、現実は彼女の筋書きを大きく裏切ることになる。
本当のクロードは、私の隣にいる。そして、彼はセシリアという共通の敵を倒すため私と共に戦うことを決意していた。
宿命の戦いの火蓋が、今、切って落とされようとしていた。
「いつまでも落ち込んでいないでください、元・皇帝陛下。あなたのその情けない顔を見ていると、こちらまで気が滅入ります」
「……元、は余計だ」
憎まれ口を叩きながらも、彼は私の隣で馬を駆る。皮肉なことに、この逃避行は私たちの間の奇妙な連帯感を強めていた。
私たちは追手から逃れつつ、散り散りになった仲間を集める必要があった。私にはノースガルドの民が、クロードには彼に忠誠を誓うわずかな臣下たちがいる。
その道中で、私たちは運命的な出会いを果たした。
最初の出会いは、敵国であるはずのキール王国の騎士団と遭遇した時だった。絶体絶命の状況。しかし、その騎士団を率いる若き騎士カイ・ランスターは我々に剣を向けることなく、馬上から降りて膝をついた。
「あなたが、ノースガルドのアリシア殿か。噂はかねがね。腐敗したレヴァント皇国を内側から変えようとする、あなたの気高さに心打たれた。どうか、我らキール騎士団をあなたの剣として使ってほしい」
彼はセシリアのやり方に疑問を抱き、真の正義を求めていたのだ。こうして、私は思いがけず強力な騎士団を手に入れた。
次に出会ったのは、大陸最大の商人ギルド『暁』の若きトップ、エリオットと名乗る男だった。飄々とした掴みどころのない男だが、その目は確かな情報と金銭の流れを読んでいた。
「いやあ、これは面白い賭けになりそうだ。追われる身の元皇太子妃と皇帝陛下に、全財産を賭けてみるってのも悪くない。いいでしょう、アリシア様。あなたの建国、資金面は俺が引き受けた」
彼はセシリアがもたらす経済の混乱を危惧し、新たな秩序を望んでいた。彼の加入は、我々にとって何よりの力となった。
そして、古代魔法の謎を追って旅をしていたという魔法学者のリナリアが、私の噂を聞きつけて自ら合流してきた。
「あなたが古代魔法を!?信じられない!是非、その研究を手伝わせてください!」
彼女の知識は、私が独学で解読していた古文書のさらなる秘密を解き明かす鍵となった。
元敵国の騎士、大商人のトップ、そして変わり者の魔法学者。立場も出自もバラバラな彼らが、私という旗印の下に集った。彼らは私の家臣ではない。目的のために手を取り合った、真の「仲間」だった。
追っ手はすぐそこまで迫っていた。私たちは、ノースガルドへ帰還し、そこで籠城するしかない。
「アリシア、ノースガルドに戻っても皇国の大軍を相手に持ちこたえるのは難しい」
クロードが厳しい表情で言う。だが、私には策があった。
ノースガルドの古代遺跡。その最深部には、まだ起動していない巨大な魔法装置があった。リナリアの助けを借りて古文書を解読した結果、それが領地全体を覆う強力な防御結界を張るためのものだと判明したのだ。
「やるしかないわ」
仲間たちと共に、私は遺跡の最深部へと向かった。追手の声が、もう遺跡の入り口まで聞こえている。
祭壇の中央に手を置き、私は全身全霊の魔力を注ぎ込む。血筋に刻まれた、星の王家の力を解放する。
「目覚めなさい、古の守護者よ!我が民と土地を、その大いなる力で守り給え!」
私の叫びに呼応するように遺跡全体が眩い光を放ち、大地が大きく震動した。ノースガルドの地平線の彼方から、天を突くほどの光の壁が立ち上り、領地全体をドーム状に覆っていく。
追撃してきた皇国軍の兵士たちは、その神々しくも圧倒的な光景に恐れおののき立ちすくむしかなかった。
光の壁が完全にノースガルドを覆い尽くした時、私は集まってくれた領民と仲間たち、そしてクロードの前で高らかに宣言した。
「これより、このノースガルドはレヴァント皇国の支配を受けない、独立した主権国家であることを宣言する!我が名はアリシア・ヴァンデルーク!今日この日より、この国は『新生ヴァンデルーク王国』である!」
私の声は、魔法の力で領地の隅々まで響き渡った。領民たちから、割れんばかりの歓声が上がる。
それは、追放された雌狼が自らの牙で運命を切り拓き、玉座へと続く道を歩み始めた瞬間だった。
結界の外では、セシリアに完全に洗脳され、私を「世界を脅かす魔女」だと信じ込まされたクロードの影武者と、彼を信じる軍が、大軍を率いて到着していた。彼女の筋書きでは、クロードは私を討伐し英雄として皇国へ凱旋するはずだった。
だが、現実は彼女の筋書きを大きく裏切ることになる。
本当のクロードは、私の隣にいる。そして、彼はセシリアという共通の敵を倒すため私と共に戦うことを決意していた。
宿命の戦いの火蓋が、今、切って落とされようとしていた。
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