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15 偽りの聖女、その末路
アランが辺境に滞在し、リアムとの間で無益な交渉を続けている、まさにその最中。遠く離れた王都で、ついに恐れていた事態が発生した。
偽りの聖女、リリアナの力が完全に暴走したのだ。
国の凶作に焦った彼女は、残された大地の生命力を根こそぎ搾り取るかのように、無茶な祈りを繰り返した。その結果、王都周辺の大地は完全に生命力を失い、灰色の砂漠のように変貌してしまった。草木は枯れ果て、井戸は涸れ、人々は飲み水にさえ困る有様だった。
そして、大地の生命力が失われ、世界のバランスが崩れたことで、負のエネルギーが活性化した。闇に潜んでいた魔物たちが、次々と地上に溢れ出し、枯れた大地を闊歩し始めたのだ。王都は、魔物の群れに包囲されるという、建国以来の危機に瀕していた。
「いやぁぁぁ! 来ないで!」
王宮のバルコニーで祈りを捧げていたリリアナは、眼下に広がる絶望的な光景と、魔物たちの咆哮に恐れおののいた。もはや、彼女を「聖女」と崇める者など誰もいない。人々の信仰という糧を失い、さらに大地からの搾取も限界に達したことで、彼女の力は制御を失っていた。
「どうして……どうしてこうなるのよ! 私は聖女なのよ! みんな私を崇めなさいよ!」
パニックに陥ったリリアナは、残された魔力を無差別に解放し始めた。しかし、その力は魔物を浄化するどころか、負のエネルギーをさらに刺激し、事態を悪化させるだけだった。彼女の可憐な仮面は剥がれ落ち、嫉妬と自己愛にまみれた醜い本性が、叫び声とともに露わになる。
その醜態は、王宮にいるすべての人々の目に晒された。
彼女の力は、国を救うどころか、国を滅ぼしかけている。
彼女こそが、この国に災厄をもたらした元凶だったのだ。
その事実は、ついに白日の下に晒された。国王は激怒し、王国の騎士団にリリアナの身柄拘束を命じた。
「離して! 私はアラン様と結ばれるはずの聖女なのよ!」
見苦しく抵抗するリリアナだったが、魔力を失った彼女はもはやただの少女でしかない。騎士たちに両腕を掴まれ、みじめに引きずられていく。彼女が夢見た栄華と幸せは、自らが招いた破滅によって、脆くも崩れ去った。
偽りの聖女の、惨めな末路。その報せは、早馬によって、辺境に滞在するアランのもとへともたらされた。
「リリアナが……国を……?」
報告を聞いたアランは、血の気が引いたように顔面を蒼白にさせ、その場に崩れ落ちた。自分が信じ、愛した女が、国を滅ぼす災厄だった。そして、自分が断罪し、追放した女こそが、唯一の希望だった。
その残酷すぎる真実を、彼はようやく突きつけられたのだった。しかし、後悔するには、あまりにも遅すぎた。
偽りの聖女、リリアナの力が完全に暴走したのだ。
国の凶作に焦った彼女は、残された大地の生命力を根こそぎ搾り取るかのように、無茶な祈りを繰り返した。その結果、王都周辺の大地は完全に生命力を失い、灰色の砂漠のように変貌してしまった。草木は枯れ果て、井戸は涸れ、人々は飲み水にさえ困る有様だった。
そして、大地の生命力が失われ、世界のバランスが崩れたことで、負のエネルギーが活性化した。闇に潜んでいた魔物たちが、次々と地上に溢れ出し、枯れた大地を闊歩し始めたのだ。王都は、魔物の群れに包囲されるという、建国以来の危機に瀕していた。
「いやぁぁぁ! 来ないで!」
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「どうして……どうしてこうなるのよ! 私は聖女なのよ! みんな私を崇めなさいよ!」
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その醜態は、王宮にいるすべての人々の目に晒された。
彼女の力は、国を救うどころか、国を滅ぼしかけている。
彼女こそが、この国に災厄をもたらした元凶だったのだ。
その事実は、ついに白日の下に晒された。国王は激怒し、王国の騎士団にリリアナの身柄拘束を命じた。
「離して! 私はアラン様と結ばれるはずの聖女なのよ!」
見苦しく抵抗するリリアナだったが、魔力を失った彼女はもはやただの少女でしかない。騎士たちに両腕を掴まれ、みじめに引きずられていく。彼女が夢見た栄華と幸せは、自らが招いた破滅によって、脆くも崩れ去った。
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「リリアナが……国を……?」
報告を聞いたアランは、血の気が引いたように顔面を蒼白にさせ、その場に崩れ落ちた。自分が信じ、愛した女が、国を滅ぼす災厄だった。そして、自分が断罪し、追放した女こそが、唯一の希望だった。
その残酷すぎる真実を、彼はようやく突きつけられたのだった。しかし、後悔するには、あまりにも遅すぎた。
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