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【ミーラン編】
第2話 レッドルア家発展の礎 ②
しおりを挟む「暇だな」
カロスタークは空を見上げて、呟きを零していた。
リヴィエール伯爵領の端、『亜人の町』にカロスタークはいる。
女伯爵とその夫とを捕らえ、王国政府から官吏が来るのを待っているところだ。
官吏が来て、何らかの結論なり指示が出ないと身動きが取れない。
「え?!」
なにかが空を横切った。
鳥?
いや、鳥にしてはデカすぎる。
それに、脚が異常に長い。
まるで、人間のような足。
足?
「翼人族か?!」
『翼人族』は亜人の種族の一つだ。
翼をもつことが特徴の者たちである。
あとは個体差で嘴があったり、鉤爪付きの脚をしていたり、頭がまんま鳥だったりすると聞いた。
話に聞いていただけで、目にするのは初めてのことだ。
「想像を超えてくるな」
思っていた以上に滑らかに飛ぶ。
速度もある。
人間と同程度の大きさがある体でと考えると脅威だ。
「『ファルケ』、『ミーラン』姉妹ですな」
側にいた『亜人の町』の長である長耳族――エルフが、カロスタークの視線を追って口を開いた。
姉妹?
慌てて目を向けると、飛んでいるのは2羽——いや二人だった。
「この辺りにいる翼人族の長となる娘たちですよ。この町が襲撃されたことを聞きつけて、様子を見に来たのでしょう。彼女らの住処は森の中なので」
「姉妹で、彼女。もしかして、女なのか?」
「ええ。翼人族は女性優位の種族ですのでな。お会いになりますか?」
「会えるのか?」
「様子を見て戦闘がもう終わっているとわかれば、話を聞きに来るでしょう。その時、ご一緒にお会いになればよろしい」
「なるほどな」
——じゃ、降りてくるのを待つか。
そう思って視線を切ったのが間違いだった。
ドン!
重い音がしたかと思うと、カロスタークはその場で横倒しに倒れた。
肩に衝撃を受けて前のめりになったところで、腰にも打撃を受けた結果だ。
そして——。
背中に何かが乗っている。
いや、『何か』などと言う必要はあるまい。
翼の生えた女が、カロスタークの背中で仁王立ちしていた。
顔は逆光で見えないが、腕組みをしているせいか胸元の隆起がやたらと目を引く。
「お、お姉ちゃん?! いきなりはマズいよー!」
慌てた声とともに、カロスタークの眼前に誰かが降り立った。
言葉からすると、翼人族の長となるべき姉妹の妹の方ってことになる。
つまり、背中に乗っているのは姉『ファルケ』だ。
「構うもんか。人間など、どうなろうが誰も気になんてしないさ」
冷笑しているらしい響きが感じられる。
同時に、背中をなにかに引っかかれる感触があった。
「やめんか!」
ここでようやく、隣にいたエルフの長が声を上げた。
このまま放置する気かと恨みかけていたが、単に呆然としていただけらしい。
「とっとと降りよ!」
怒声とともに、背中の重みが消えた。
ただし——。
「つッ!」
絶対わざとだろうが、背中をもう一度思い切り引っかかれた。
カチ!
妹の横に下りたらしい姉の脚が視界に入った。
足ではなく、脚だ。
鉤爪がある鳥の脚。
道理で痛いわけだよ。
人間の指ほどもある太さの鉤爪が付いているのだ。
こんなので引っかかれたら背中の皮なんてすぐに剥ぎ取られてしまうだろう。
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