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第三話
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だけど、現実は甘くない。
魔王軍から逃げることができても、地獄から逃げることができたわけじゃなかった。
当時は魔王軍と人類の戦争中で、資源は圧倒的に足りなかった。
誰もよそ者の俺たちを受け入れる余裕はなかったのだ。
俺たちを受け入れてくれると思えば、俺たちを奴隷として売ろうとしてきた奴もいた。
誰も信用できない。生きていくには、他人を当てにしてはいけない。
そんなことを思いながら、俺とリーナは路地裏で丸まって寝ていた。
そして、リーナは、この村に逃げてきてからずっと無反応なままだった。
人形のように全く動く気配がなく、問いかけても何も返事をしない。食べ物を口に運んでやらないと食べようともしない。酷い時は排泄でさえ……
村の皆が死んだことに心が耐え切れなかったのだろう。
俺たちが雇ってもらえない主な原因は、このリーナの無気力だった。
どの仕事でも彼女は何もしない。俺たちはすぐにクビになった。何度もクビになって、終いには、俺たちは雇ってもらえなくなった。
彼女を見捨てることを考えたことが何度もあった。
路地裏で彼女が寝ている間に、俺一人なら受け入れてくれると言ってくれた人の所に向かおうとした。
でも、彼女の寝顔を見ると、死んでいった皆を思い出して、彼女を捨てることができなかった。彼女と一緒に皆の分まで生きていこうと生き残った時に覚悟したから。
「リーナ……」
リーナを置いていこうとした俺は罪悪感で胸がいっぱいになった。許しが欲しくて、寝ている彼女を泣きながら抱きしめた。
もう二度と彼女を見捨てようとしないことを、寝ている彼女に誓った。
魔王軍から逃げることができても、地獄から逃げることができたわけじゃなかった。
当時は魔王軍と人類の戦争中で、資源は圧倒的に足りなかった。
誰もよそ者の俺たちを受け入れる余裕はなかったのだ。
俺たちを受け入れてくれると思えば、俺たちを奴隷として売ろうとしてきた奴もいた。
誰も信用できない。生きていくには、他人を当てにしてはいけない。
そんなことを思いながら、俺とリーナは路地裏で丸まって寝ていた。
そして、リーナは、この村に逃げてきてからずっと無反応なままだった。
人形のように全く動く気配がなく、問いかけても何も返事をしない。食べ物を口に運んでやらないと食べようともしない。酷い時は排泄でさえ……
村の皆が死んだことに心が耐え切れなかったのだろう。
俺たちが雇ってもらえない主な原因は、このリーナの無気力だった。
どの仕事でも彼女は何もしない。俺たちはすぐにクビになった。何度もクビになって、終いには、俺たちは雇ってもらえなくなった。
彼女を見捨てることを考えたことが何度もあった。
路地裏で彼女が寝ている間に、俺一人なら受け入れてくれると言ってくれた人の所に向かおうとした。
でも、彼女の寝顔を見ると、死んでいった皆を思い出して、彼女を捨てることができなかった。彼女と一緒に皆の分まで生きていこうと生き残った時に覚悟したから。
「リーナ……」
リーナを置いていこうとした俺は罪悪感で胸がいっぱいになった。許しが欲しくて、寝ている彼女を泣きながら抱きしめた。
もう二度と彼女を見捨てようとしないことを、寝ている彼女に誓った。
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