旅仲間の少女が、背伸びして大人の下着を履いていたことについてどう思う?

齋歳 うたかた

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怪物、黒い下着、そして剣

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 見惚れるほど綺麗な天の川。
 それも、新月となれば尚のこと、星々の輝きに鮮やかさが増す。

 しかし、岩陰に隠れている男女二人に、そのロマンティックな光景を楽しむ余裕は無かった。

 どしん、と地面が揺れる。
 少女が焦りと緊張を含んだ汗を拭いた。警戒しながら、ゆっくりと岩から顔を少しだけ出す。
 その視線の先にいたのは。

「グルゥゥ……」

 人肉をバリバリと音を立てながら貪る、漆黒の毛で覆われている巨獣だった。
 その身体はゴリラのように筋肉隆々で、しかし、顔つきは狼に似ていて。
 どういう原理か、その黒毛からは青白い稲妻が溢れ出ており、ばちばちと空気を震わせている。

「何よ、あれ……デカすぎでしょ」

 “怪物を見慣れている”少女でも、目の前の存在の異様さに思わず呟く。
 あれは明らかに、自然界の摂理というものを無視している。見つかれば、抗うこともできずに殺されてしまうに違いない。
 絶対に見つかりたくない少女は、すぐに顔を引っ込めて息を押し殺した。

「……っ」

 その少女の隣で。
 黒髪の青年も、また同様に焦りの表情を浮かべていた。
 しかし、彼が焦っている理由はどうやら少女と違うようで。

「な、なぁ、アマネ……」
「しっ……! 気づかれるじゃない」

 青年の声で気づかれてしまったか、少女は再び岩陰から顔を出して観察する。
 幸運にも、怪獣に気づいている様子はなく、人肉を夢中で貪っている。
 少女はほっと息をつくが、自分がどんな体勢を取っているかに気づいていないようだ。

 青年に向かって己の尻を突き出す少女。

 普通であれば、特に問題のない体勢だ。しかし、青年にとって、今はその体勢に問題しかない。
 こんな状況で声を出すのは愚かである。それを理解しながらも、青年は意を決して少女に出来るだけ小さな声で話しかけるのだった。

「あのな、アマネ……」
「馬鹿……今は喋るな……!」
「お前のスカート、破れてる……」
「っ!?」

 がばっと少女は己のスカートに目を向けた。
 青年の言う通り、スカートは大きく破れていて。
 本来なら隠れているはずの、柔肌を覆う黒い下着が露わになっていた。

「多分、急いで隠れたから、木の枝に引っかかって破れたんだと思う……」
「っ!」

 少女は今まで自分がどんな体勢を取っていたか気づいたのだろう。少女の顔がみるみる赤くなっていく。

「それを早く言いなさ、んぐっ!?」

 顔を真っ赤にした少女が声を出した瞬間、青年はその口を思わず塞いだ。
 羞恥の余りに出てしまった少女の声は、この状況で青年が安心して聞ける声量ではなく。
 驚いた青年は反射的に動いてしまったのだ。その結果、青年の勢いに少女が耐えれず、二人はそのまま倒れる。

「グゥ?」

 決して大きくはないが、この静寂の中では響いてしまう音が出た。
 血を口から滴らす怪物が音の聞こえた方向、二人の隠れている岩へと目を向けてしまう。

「「……っ」」

 青年は少女に顔を近づけたまま、動くことができない。指一本でも動かそうものなら、怪物に見つかり殺されてしまう、そんな異様な雰囲気を感じ取っていた。それは少女も同じようで、息をすることさえ堪えているのが分かる。

 鼻がぶつかりそうな距離で見つめ合う、青年と少女。

 少女の瞳が僅かに揺れたのを、青年は見逃さなかった。
 どしんどしんと近づいてくる怪獣の足音に、少女は怯えているのだろう。
 普段は強気な少女の弱々しい姿に、こんな状況下でもどきりとしてしまった青年は、何か策はないのかと思考を巡らす。しかし、解決策は簡単に思い浮かばない。

(最悪、俺が囮になって……!)

 怪物の黒毛で覆われた手が、二人の隠れている岩にかかる。

「……っ!」

 勝ち目は無くとも、少女が逃げる時間ぐらいなら稼いでみせる。命を失う覚悟をした青年が少女の口から手を離し、怪物に向かって飛びかかろうとした、その時。

「シャアァァァ!!」

 さらに巨大な白蛇が新たに現れ、青年の眼前で怪物をたった一口で飲み込んだ。
 飲み込まれた怪獣も十分に巨大だったというのに、それよりも遙かに巨格な白蛇。
 青年が言葉を失っている中、飲み込まれた怪獣が白蛇の腹の中で外から見ても分かるほど暴れる。
 白蛇はそんな抵抗は大したことじゃないと言わんばかりに、怪獣のいる腹の部分をぎゅっと引き締めた。バキバキと骨が潰れる音が聞こえたと思えば、飲み込まれた怪獣は動かなくなる。

 弱肉強食こそが世界の真理。そう感じずにはいられない光景だった。

 圧倒的な存在を前に、青年は死を覚悟する。しかし、白蛇は大きな獲物を喰らって満足したのか、二人のことを無視して森の奥へとすぐに姿を消した。

「た、助かった……?」

 青年が思わず安堵の言葉を溢す。ばくばく鳴る心臓が落ち着くまでしばらくかかった。
 そして、次第に冷静になった彼は、少女の怒りに満ちた視線を感じ、今の自分の状況にようやく気づく。

 スカートが破れて黒い下着が露わになっている少女に、覆いかぶさるような体勢。

 第三者が見れば、青年が少女を押し倒して襲いかかっていると誤解してもおかしくないだろう。いや、少女を押し倒したことに間違いない。そして、少女が怒っていることも間違いないのだ。
 普段から男に触られるのを極端に嫌う彼女が、押し倒されて怒らないわけがない。
 今回は特別だから許してほしい、と青年は殺気を溢れ出させる少女に向かって、説得を試みようとするが。

「あ、アマネ、落ち着け? 別に俺は」
「早くどけ、このバカぁ!!」

 話を聞く気がない少女の蹴りが、青年の股間にクリティカルヒットした。














 人類は絶滅の危機に瀕している。
 
 驚異的な再生能力を持つ『ゲノヴァ』という生物によって。
 
 どんなに傷つけても死なない怪物。その姿形は様々で、ネズミのように小さな個体もいれば、先ほど出会ったような巨大な個体もいる。
 謎多き生物だが、ゲノヴァは人類が誕生する前から存在していたという説があり、人類の歴史は、その脅威からどのように逃げてきたかが主に記されている。
 その圧倒的な存在に敵わない人類は、巨大な壁を作る、地下に潜るなどして生き残ってきた。
 
 しかし、全ての人間が、巨壁や地下空間の中で生活できるわけではない。
 人手も資源も足りない村では、ゲノヴァに対してロクな対策もとれずに人々が生活している。
 
 故郷に帰るために旅をするヨゾラが辿り着いた村もまた、そのうちの一つだった。
 時刻は深夜。
 村の店は全て閉まっており、どこかで食事をすることもできない。
 
「ったく、いつまでもじもじしているのよ。男のくせに情けない」
 
 ヨゾラにそう言ってきたのは、旅仲間である少女。
 少女の名はアマネ。ヨゾラよりも年下ではあるが、彼女は何年も商人として旅をしており、その経験を活かしてヨゾラの故郷への旅に協力してくれている。
 減った腹を満たすことができずにいらついたのか、アマネの元々悪かった機嫌はさらに悪くなったようで、その怒りの矛先をヨゾラに向けてきた。
 文句を言われたヨゾラは、先ほどの少女の一撃による股間の痛みで未だに悶えている。
 
「なぁ、アマネ……片方つぶれた気がするけど、気のせいだよな? 気のせいじゃないと困るんだけど……」
「もう片方も潰してあげようか?」
「勘弁して下さい……」
 
 アマネなら本気でやりかねない。
 アマネと共に旅をして彼女の性格をようやく理解してきたヨゾラは、なるべく距離を取る。特に今のアマネは機嫌が悪い。これ以上悪くならないように話題を変えてみる。
 
「と、とにかく宿を探そうぜ。せっかく村に着いたのに、また野宿なんてしたくないし」
「……それもそうね。はぁ、久しぶりにふかふかのベッドで寝たいわ」
「うんうん、そうだよな…………はぁ……」
 
 年下の少女に気を遣う自分を情けなく思ったヨゾラはため息をつき、空を見上げた。
 闇夜の中で、白い川を形成する星の群れが輝いている。
 
「知らない空か……」
 
 自分に言い聞かせるように呟いたヨゾラは、自分の左腕を見た。
 そこには、橙色に輝く腕輪が一つ。
 悲しげにそれを見つめたヨゾラは、自分を置いて先に行ってしまったアマネの背中を追いかけるのだった。
 
 
 
 やっとの思いで見つけた宿。
 受付はボロボロ。しかし、その横に飾られている絵画は手入れをされているのか、とても状態が良い。
 そんな宿で今夜は過ごすことになったのだが、問題が一つ発生した。
 
「一部屋しか空いてないですって!?」
 
 アマネの叫び声が響く。
 
「申し訳ありません。お二人で一つの部屋に泊まって頂くことになります」
 
 受付にいるのは、若い女性だった。疲れ顔で、目の下のクマがひどい。宿の経営で相当苦労しているのだろう。しかも、この宿に他の従業員の姿はなく、どうやら彼女一人で経営しているようだ。
 
「そんな……」
 
 ヨゾラはぐったりとした。
 宿に泊まる時は、ヨゾラとアマネはいつも別々の部屋で泊まっていた。
 アマネに手を出すことなど神に誓ってあり得ない、とヨゾラは自信を持って言える。だけど、アマネは信じてくれず、また、そもそも彼女は男性不信であるため、今まで同じ部屋で夜を過ごすことはなかった。
 普段なら、二部屋が空いている宿を見つけるまで探すのだが、今回は旅で疲れて、流石に他の宿を探す気力もない。
 それはアマネも同じだったようで。
 それ以上文句を言うこともなく、彼女はしぶしぶ部屋の鍵を受け取り、上の階へと向かっていった。
 
「あの、すみません。宜しければ、これを……」
 
 アマネに続こうとしたら、宿の女主人に呼び止められた。彼女の手には、パンと水が二つずつ乗った盆がある。どうやらそれを譲ってくれるようだ。
 あまりの彼女の親切な行動に、ヨゾラは驚く。
 
「いいんですか?」
「ええ、お疲れのご様子だったので」
「じゃあ……御厚意に甘えて。ありがとうございます、えっと……」
「サラと申します」
「ありがとうございます、サラさん。でも、俺たちみたいな奴にこんなことして大丈夫なんですか? 宿の経営に余裕ないように見えますけど」
「皆さんの健康の方が重要ですから。正直なところ、経営は大変ですけどね、えへへ。買い替えるお金がないので、ボロボロなのは許してください」
 
 魅力的な笑顔を浮かべるサラから、ヨゾラは盆を受け取った。
 確かにこの宿はボロボロではある。しかし、汚いわけではなく、むしろ清潔だ。彼女がどれだけ苦労して清掃しているかが分かる。
 
「ボロボロでも綺麗な宿だと思います。特に、あの絵はきちんと手入れしているんですね」
 
 サラの努力が最も感じられたのは、受付の横に飾られている絵画だった。額縁も輝くほど綺麗で、この宿の中で唯一の新品と言われても疑えないほどだ。
 
「あれは、両親の遺品なんです。宿を始めたばかりの時に、絵描きの客から頂いたようで」
 
 その絵画には、ゲノヴァと思われる怪物が倒れている姿と、その傍らに一本の剣が描かれていた。
 
「あの絵に描かれているのって……」
「ええ、ミトロアが描かれています」
 
 ミトロア。
 今では誰もが知っている、御伽話で出てくる武器だ。
 
「ミトロア、か……」
「はい、ゲノヴァを倒すことができるとされている幻の武器です。ゲノヴァの再生能力を無効にすることができると言われていますね」
 
 どんな傷もすぐに再生するゲノヴァ。その能力のせいで、人類は滅亡寸前まで追いやられた。
 ミトロアには、そんなゲノヴァの再生能力を無効にする力が存在すると言われている。
 
「サラさんは、ミトロアについて何か知っていることとかあります?」
「いえ、御伽噺のことぐらいしか……私はミトロアの存在をあまり信じていないので」
「そうですか……」
 
 サラのようにミトロアの存在を信じない人がほとんどである。もし存在しているなら、人類はここまで絶滅の危機に瀕していないはずなのだから。
 
「……もしかして、お二人が旅しているのは、ミトロアを探すためとか?」
「え? あー、いや、俺とあいつは、俺の故郷に向かっているだけですよ」
 
 そこで、ヨゾラの腹がぐうと鳴った。
 
「えっと、すみません、部屋でパンをありがたく頂きます」
「ふふっ、そうですね。おやすみなさい」
 
 サラと別れて、ヨゾラは二階に上がる。
 自分たちの部屋へと入ると、アマネが既にベッドを占領していた。
 
「あんたは床で寝なさい」
「ふざけんな」
 
 ヨゾラはアマネにパンを放り投げ、自分のパンにかぶりつく。水の入った容器を載せたお盆は、部屋に備え付けられている机の上に置いた。
 
「どうしたのよ、このパン」
「貰った」
「あっそ。そんなことより、ベッドで寝るのは私だから」
「いや俺だ」
 
 パンをすぐに食べ切ったヨゾラは、自分の意思を示す。
 
「は? 女の私に床で寝ろって? ありえないんだけど。男としてありえないんだけど」
「女? この部屋にいるのは男二人しかいないだろ」
「誰が男ですってぇ!!」
「いったぁ!? 手を出すのは卑怯だって!」
 
 平手打ちをしてきたアマネに抗議するが、彼女は謝る気配などない。
 彼女もパンを食べ終わる。
 
「うっさいわね、おとなしく床で寝なさい。一緒にベッドで寝たら、あんたが欲情して襲い掛かってくるでしょ」
「しねぇよ」
「どうだか、さっき押し倒してきたじゃない」
「まだそれを言うのか!? あの状況じゃ仕方なかっただろ」
「あんたがあのまま何かしてきてもおかしくなかったわ」
「はっ、無理に背伸びして大人の女性が着るような黒いパンツを履いている誰かさんには言われたくないね」
「な、な、なんですって……!」
 
 みるみる顔が赤くなっていくアマネ。
 あの黒いパンツを見られたことは彼女にとって、とても恥ずかしいことだったようだ。
 ヨゾラは隙ありと思い、ベッドに寝転がる。
 
「なに寝てるのよ!」
「悪いけど、俺はホモじゃないんで。お前に手を出すわけがないだろ」
「だから、誰が男だコラぁ!!」
「そういう所だよ!?」
 
 再び彼女から暴力を受けたが、ヨゾラは固い意思でベッドから退かない。
 それはそうだ。何日ぶりかのふかふかのベッド。明日にはこの村を出て、野宿の生活がまた始まる。次にふかふかのベッドを味わうことができるのはいつになることやら。
 
「俺はもう寝るので、床で寝るかベッドで寝るか好きにしてください」
「あ、あんたね……」
 
 ベッドの半分だけ占領し、アマネがベッドで寝れるスペースを確保する。
 怒りと呆れの混じった声が聞こえてきたが、ヨゾラは旅の疲れのあまり、すぐに夢の世界へと意識を落とすのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 その数刻後、まだ夜中の時間帯でヨゾラは目を覚ました。
 
「頭いてぇ……」
 
 明らかな寝不足による頭痛。
 旅をする前の生活でこの時間に起きることが多かったヨゾラは、今でもこの時間に起きてしまう。普段であれば、このまま二度寝をすればいいのだが、今夜はそうするわけにいかなかった。
 この時間に起きなければならない理由がある。
 とにかくベッドから起き上がろうと、ヨゾラが横を向いたら。
 
 あどけない寝顔を晒すアマネが目の前にいた。
 
 キメの整ったミルク色の肌、寝息をこぼす唇、そして、彼女の発育途中の控えめな双丘に思わず目が向いてしまう。ほんの少し近づけば、仄かに甘い匂いがふんわりと漂っていた。
 ヨゾラが寝た後、彼女はベッドで寝ることを選んだようだ。
 
「ほんと……喋らなければ可愛いのに……」
 
 少しだけ見惚れてしまったヨゾラはそう呟き、彼女に毛布をかけてから起き上がった。
 そして、そのまま部屋から出る。
 受付へと向かうが、そこには誰もいない。受付の奥の扉から光がこぼれている。
 その扉を開ければ、サラが電話機を片手に、どこかへ連絡をしようとしていた。
 
「こんな夜中に電話ですか?」
「っ!」
「相手もこの時間に電話がかかってきたら迷惑でしょ」
「どうして……」
 
 信じられないと言わんばかりにサラが目を見開いて、こちらを見てきた。
 なぜここまで彼女が驚いているのか。ヨゾラには見当がついている。
 
「水に睡眠薬を混ぜたはずなのに、なんで起きているのかって? そりゃ、パンは頂きましたが、水は飲んでいないので」
 
 サラが息をのむ。直接確かめたわけではなかったが、その態度から、パンと一緒に渡された水には睡眠薬が混ざっていたと分かる。
 
「なんで……分かったの?」
「昔、同じことをされて引っかかったことがあるんですよ。それ以来、宿の提供する飲み物は口にしないことにしているんです。それに……こんなにも経営に苦しんでいるように見えるのに、客にパンと水をタダで配るのはとても怪しくて」
「そう……最初からばれていたわけね」
 
 なぜ彼女が睡眠薬を混ぜた水を与えてきたのか。その理由もだいたい分かっている。だけど、問題はここからだ。彼女をどう説得すればいいのか。
 ここまで話したにも関わらず、一向に電話から手を放す気配がない彼女。その態度が、説得の難しさを物語っている。
 
「サラさん、電話から手を放して頂けませんか?」
「あなたが一緒に旅している女の子……彼女は、命勘定のアマネね? かの大商人カルロスが賞金首にしている商人でしょ」
 
 命勘定のアマネ。
 ヨゾラの旅仲間である彼女の通り名だ。
 サラの言う通り、アマネは問題を起こして大商人に追われている。しかし、まさかこの村の宿にまで知られているとは、とヨゾラは内心ため息をついた。
 つまり、これからの旅では宿に泊まることすらできないということで。ふかふかのベッドを味わうことができるのは、しばらくないのだろう。
 
「人違いですと言ったら信じてもらえます?」
「ごめんなさい、実はこんなものが配られているの」
 
 ヨゾラの予想していなかったものが出てきた。
 サラが見せてきたのは、アマネの顔がでかでかと描かれた手配書だ。まさかそんなものまで配られているとは。
 彼女の拘束に協力すれば、庶民が手に入れられないほどの金を払うと書かれている。おそらく、大商人の手下が配っているのだろう。
 
「ほら、彼女でしょ?」
「……うーん、どうだろ。本物よりも、その絵の女性の方が優しそうな気がするけど」
 
 彼女がアマネではないという嘘は通じないことを知り、ヨゾラは苦笑いを浮かべるしかなかった。
 
「とにかく、カルロスの手下に電話をするのはやめてもらえませんか? 今日だけでいいんです。‪明日の朝に‬はすぐにここから出ていくので」
「……そうしてあげたいけど、本当に経営が苦しいの。家族の思い出でもある宿を潰すわけにもいかない……」
 
 サラの声は震えていた。彼女も厳しい現実を抱えているということで。
 カルロスの賞金は彼女にとって希望の光とも言えるはずだ。
 
「私も今日を精一杯生きているの……本当に、ごめんなさい」
 
 サラが電話先を入力し始める。
 もはや説得は無理だった。
 ヨゾラは急いで二階の部屋へと駆け上がる。
 
「アマネ、起きろ! すぐにここから出るぞ!」
 
 ヨゾラは未だに寝ているアマネに叫びながら、荷物を手際よくまとめる。すぐに荷物の整理は終わったが、アマネが起きる気配はない。仕方なく肩を激しく揺さぶって起こす。
 
「アマネ、起きろ!」
「……うぅん? なによ、ヨゾラぁ……」
「早く起きろって!」
 
 寝ぼけている様子のアマネだったが、至近距離で目が合った途端。
 
「きゃあぁぁぁ!!」
「ごふっ!?」
 
 叫び声をあげながら、腹にグーパンをしてきた。
 
「やっぱり欲情して襲い掛かってきたじゃない! あんたも他の男どもと同じだったのね! 不潔、けだものっ!!」
 
 なんという濡れ衣だろう。
 
「違うって! カルロスの手下がすぐそこまで来ているんだよ!」
「はっ、そんなウソに私が騙されるとでも思っているの? あんたも遂に本性を現したわね」
「馬鹿なことを言ってる場合じゃないっ!」
 
 そんなやり取りをしていたら、一階からドタバタと足音が聞こえてきた。
 
「くそっ、もう来やがった!」
 
 扉の鍵を閉め、椅子や机で扉を急いで塞ぐ。これで、少しは時間が稼げるはず。
 
「え、嘘……もしかして本当のことなの?」
「さっきからそう言ってるだろっ!」
 
 窓を開けて、外を見る。
 ここは二階。直接飛び降りるには少し高い。しかし、逃げ道はここしかない。
 窓のすぐ近くに、足場となりそうな立派な木が生えている。
 
「アマネ、木に飛んで降りるぞ!」
「は!? 荷物はどうするのよっ!」
「もうまとめている! 重い物は諦めろっ!!」
 
 重い物を取り出して軽くなった荷物を背負って、ヨゾラは思い切りよく窓から飛び降りた。
 
「っと……荷物軽くしておいて良かった……」
 
 飛び降りた枝はミシミシと音を立てたが折れずに済んだ。あと少しでも荷物が重ければ、折れていただろう。ヨゾラはそのまま地面へと飛び降りる。
 周りに敵が潜んでいる様子はなく、ヨゾラは安堵の息を吐く。そしてすぐに、頭上から悲鳴が聞こえてきた。
 
「っ、きゃあぁぁ!?」
「ぐへっ!?」
 
 木の枝が折れて、アマネが落ちてきたのだ。
 ヨゾラは彼女と彼女の抱える荷物の下敷きになる。
 
「痛い……ん?」
「俺の方が痛いんだけど……」
「あらら……クッション役、ご苦労様」
「後で絶対に泣かす、こいつ……!」
 
 ムカついたヨゾラは、どいたアマネにすぐさま文句をぶつける。
 
「言ったよな、重い荷物は諦めろって! そりゃあ、太い枝も折れるに決まっているだろ!」
「うっさいわね! この子たちがどれだけ高価な商品か分からない!? あんたが一生働いても買えないほどよ!」
 
 アマネが大事そうに胸に抱える商品。
 それらは、ヨゾラが置いていくと判断した重い商品だった。
 商人であるアマネとしては、置いていくことがどうしてもできなかったのだろう。しかし、重量のあるそれらを抱えれば、ヨゾラの体重を耐えた枝でも折れてしまうのは当たり前だ。
 そんなことは考えたら分かるだろ、とヨゾラはムカつきが収まらず、アマネに反論する。
 
「あ、なんだと? じゃあ、凝りもせずにお前が今も履いている黒い下着も、さぞ高価なものなんだろうな?」
「あ、あんた、また見たの!?」
 
 アマネが顔を赤くして、スカートを慌てて押さえる。
 落ちてきた際に一瞬見えた黒い物体はやはりそうだったか。
 
「とにかく置いていけ。邪魔になるだけだ」
「嫌よ!」
「こんな時までわがままは――」
 
 そこでヨゾラの言葉は途切れることになる。
 ヨゾラたちの居た部屋が爆発したのだ。
 夜に響く轟音。それと共に、ガラスの破片が落ちてきて、ヨゾラは咄嗟にアマネに覆い被さる。幸い、大きなガラスの破片が落ちてくることはなく、小さな破片が背中に積もるだけで済んだ。
 
「えっと……あり、がと…ぅ」
「くそっ、奴ら正気か!? こんな夜中に大きな音を出したら、ゲノヴァを村に呼び寄せてしまうだろ!」
 
 アマネの呟きは小さくて聞き取れなかったが、爆発で頭が一杯だ。
 夜中に、遠くまで響く音を出してはいけない。それは常識だ。
 ゲノヴァの中には、夜中に活発に動く種類もいる。夜中に大きな音を出せば、そいつらに自分はここにいますと教えるようなもの。数体のゲノヴァが襲いに来れば、村はお終いだ。実際に、それが原因で壊滅したという村は珍しくない。
 
「それだけ、奴らも本気ってことよ」
 
 アマネがそう言い放ったところで、破れた窓から数人の男たちが飛び降りてきた。二階の高さでも怪我することなく地面に着地している。その様子から、彼らが訓練された人間であることが推測できる。
 彼らは全員、紋章が刻まれた赤いマントをしている。アマネを追っている大商人、カルロスの手下である証明だ。
 
「あんたら、分かっているのか? 爆発のせいで――」
「無論分かっている。だが、カルロス様の我慢も限界だ。ここでお前たちを逃してしまえば、結局、我々に命はない」
 
 ヨゾラの言葉を遮るように答えたのは一番歳を取っている中年の男だった。おそらく、この中でのリーダーなのだろう。
 
「あんたらの事情なんか知るかよ! 俺が言いたいのは、この村の人たちの安全を脅かすなってことだ!」
「村のことなど知らん。俺たちも自分のことで頭が一杯だ」
 
 中年の男は腰の短剣を抜き、その先をアマネへと向ける。
 
「命勘定のアマネ、お前をカルロス様の前に連れていく」
「私がそう言われて、大人しく捕まると思う?」
「抵抗するのであれば、殺してもいいと言われている」
「相変わらず、カルロスは物騒ねぇ。自分に逆らうものを許さないんだから」
 
 短剣を向けられても、アマネは不敵に笑う。
 アマネは相変わらずだなと思いながら、ヨゾラは周りを見る。
 完全に囲まれていて逃げ道を見つけることができない。
 戦うしかないかと諦めていたら、不意に地面が揺れた、気がした。
 いや、気のせいじゃない。地面が揺れている。最初は僅かだったが、どんどん大きくなっている。
 
「はぁ……やっぱり、こうなるか……」
 
 ヨゾラのため息交じりの呟きに、追っ手のリーダーは眉をひそめる。
 
「この揺れが何かわかるのか?」
「さっき言ったろ、ゲノヴァが近づいてきてる。こんなことをしている場合じゃない。村の皆を非難させないと」
「では、すぐに終わらせるとしよう」
 
 短剣を構えて、襲い掛かってくる追っ手たち。彼らの頭には、アマネを捕らえることしかないらしい。
 
「馬鹿っ! 今動くと――」
 
 ヨゾラが注意しようとした、その時。
 
「グガラァァァ!!」
 
 地面からゲノヴァが現れ、追っ手のリーダーを丸呑みした。
 
「やっぱ、ビッグワームか……!」
 
 巨大なミミズのような姿をしたゲノヴァ。
 目も耳もないそれは、地面の振動を感じ取り、獲物に襲い掛かる。普段は地中深くに生息しており、少しぐらいの振動なら奴らに気づかれることはない。
 追っ手が起こした爆発の振動は、奴らのところまで届いたのだろう。奴らが地表近くにいる時に歩けば、追っ手のリーダーのように地中から襲われる。
 旅をしているヨゾラたちはゲノヴァについて詳しいが、ゲノヴァの知識に乏しいであろう追っ手たちは、ビッグワームの特性を知らずにその場から逃げ去ろうとする。そんな彼らを、新たに現れたビッグワームが喰らった。
 
「なっ、三体も……!」
「しかも、大きいわね……人を丸呑みできるビッグワームは私も初めて見るわ」 
 
 ゲノヴァの襲撃に、村の人々は悲鳴を上げながら逃げ惑っている
 そんな彼らに襲い掛かる、三体のビッグワーム。
 
「逃げるわよ、ヨゾラ!」
「でも、村が……」
「あんたは生きて故郷に戻りたいんでしょ! こんな所で死んでどうするのよ!」
「っ、分かった……」
 
 どうにか自分を抑えて、ヨゾラは村から離れようと動く。
 村の人たちを助けたいと思う一方で、自分の命が惜しい。ヨゾラはどうしても故郷に生きて帰りたいのだ。ここで死ぬわけにはいかない。
 
「きゃあぁぁ! 誰かっ、誰か助けてぇ!!」
 
 自分を無理やり説得していたところで、叫び声が聞こえてきた。
 聞き覚えのある声に振り向けば、そこには、崩れた宿屋の瓦礫で身動きが取れないサラがいた。そして、そのすぐ側には、サラを狙って口を開くゲノヴァ。
 
「っ、サラさん!」
「バカヨゾラっ! 何をするつもりよ!」
 
 サラの元に向かおうとしたら、アマネに手首を掴まれた。
 
「まさか、私たちを売ったあの女を助けるつもり? 呆れた……それで死んだら、故郷に帰るって願いも果たせなくなるじゃない。それとも、なに、あんた自分のことを聖者とでも信じているの?」
 
 アマネの言っていることは正しい。自分たちを売った人間を助けるほど、自分が殊勝な人間じゃないことは分かっている。
 それでも、とヨゾラは掴まれている手首で橙色に輝く、己の腕輪を見つめた。
 
『いつか……俺たちみたいに、ゲノヴァで苦しんでいる人たちを救おうぜ』
 
 腕輪を作った時に、親友とした誓い。
 そう、これはヨゾラにとって人格どうこうの話じゃない。
 
「分かってる、どうせ俺は褒められた人間じゃないって。それでも……!」
 
 ヨゾラはアマネの手を振り払う。
 
「ここで逃げたら、俺は胸を張って故郷に帰れない!」
 
 覚悟を決め、ヨゾラはサラの元へと駆けた。
 
 
 
 

 
 
 
 
 己を捕食しようとするビッグワームを目の前にして、サラは自業自得だと心の底から思った。
 これは天罰だ。人を売って、それでお金を得て楽をしようとしていた自分に、天罰が下ったのだ。
 
 両親との思い出でもある宿は崩れ、今から自分はゲノヴァに食われる。
 最低な自分が迎えるには相応しい結末だ。
 
「グガァァァ!!」
「……」
 
 襲い掛かってくるゲノヴァの前にして、サラは自分の運命を受け入れるかのようにゆっくりと目を閉じた。
 
「…………?」
 
 しかし、いつまで待ってもゲノヴァに食われる感触は来ず、代わりに、何か大きなものが倒れる音が聞こえた。
 
 サラは恐る恐る瞼を上げる。
 そこには、血を流して横たわるゲノヴァと、ヨゾラがいた。
 ヨゾラの手には、どこから取り出したのか、派手な装飾の剣がある。
 ゲノヴァには斬撃の跡が残っている。おそらく、その剣でゲノヴァを斬ったのだろう。そして、再生能力を持っているはずのゲノヴァが倒れたまま動かない。
 
「え……?」
「サラさん」
 
 目の前の状況を理解できず、言葉を失っているサラに対して。
 
「ミトロアは、実在します」
 
 ヨゾラはそう告げた。
 
 
 
 



 
 
 
 ミトロアである剣を片手に、ヨゾラは、自分と同じくミトロアを所有しているアマネに叫ぶ。
 
「アマネ、一匹頼むぞ!」
「はぁ!? なんで私がっ!」
「今が稼ぎ時だろ、命勘定のアマネ!」
「っ……ああ、もうっ、仕方ないわね!」
 
 苛立つアマネの右手に、一本の剣が輝きを放って姿を現す。
 それが、アマネの所有するミトロアだ。
 ミトロアはゲノヴァの再生能力を阻害する性質以外に、所有者が望めば、どこからともなくその手に現れる性質を持っている。
 
 その後、残りのビッグワーム二匹を苦労しながらも倒したヨゾラたち。
 
 二人は村の人たちから感謝されることになる。
 代表である村長が頭を二人に下げた。
 
「なんとお礼を言ったら良いのか……貴方がたのおかげで村は滅びずに済みました」
「そんな、別に俺たちは――」
「それで? お礼として何が貰えるのかしら?」
「……」
「ん、何よ、その目は?」
 
 これこそ、アマネが命勘定のアマネと呼ばれる由縁だ。
 彼女のやり方は単純。ゲノヴァに襲われている人を助け、命を助けたのだから何かよこせと金品類を要求する。そのお礼が少ないと、自分の命と同等の価値を持つものをよこせと文句を言う姿から、彼女は命勘定のアマネと呼ばれているのだ。
 
「どうか、これを持って行って下さい。村でよく採れる野菜や果物が入っております」
「これだけ? 助けたんだから金を、へぶっ!?」
「ありがとうございます!! ちょうど食料を切らしていたんです!!」
 
 案の定文句を言うアマネを黙らして、ヨゾラは村長に礼を告げる。
 
「じゃあ、俺たちはこれで! 先を急いでいるので!」
「もうですか? 村でゆっくりなされば……行ってしまわれた」
 
 アマネの首を掴んで、すぐさま村から出る。
 あれ以上は良心が耐えられそうになかった。
 アマネが手から離れ、こちらをキッと睨んできた。
 
「何しているのよ、あんた! これだけで満足できるわけないでしょ!」
「あのな、今回の事件は俺たちにも原因があるんだぞ! 俺たちがカルロスと問題を起こさなかったら、村にゲノヴァが来ることなんてなかったんだから」
「そもそも論なんかに興味ないわ」
「お前な……」
「ヨゾラさーん!!」
 
 名を呼ばれ、ヨゾラは振り向く。
 
「サラさん……」
 
 サラが遠くから走ってくる。そして、彼女はヨゾラの元にたどり着いた途端、頭を深く下げた。
 
「本当にすみませんでした!! お二人を売るようなことをしてしまって!!」
「この女がカルロスの手下に連絡しなかったら、ゲノヴァも来なかったような気がするんだけど」
「アマネ、お願いだから黙っていてくれ……サラさん、頭を上げてください」
 
 ヨゾラがそう言っても、サラは頭を下げたままだった。
 
「……」
「気にすることはないです。俺もサラさんの立場だったら、そうしただろうから。それに、俺たちの問題に巻き込んでしまってすみません。そのせいで、サラさんの宿も壊れてしまいました」
「……宿は、一からやり直します。今度こそ成功させてみせます、真っ当なやり方で」
「そうですか、じゃあ、いつかまた泊まらせてください。それで今回の件はチャラってことで」
「っ、はいっ! 最高のサービスをさせてもらいます!」
「ははっ、それは楽しみです」
 
 サラと笑顔で別れて、ヨゾラたちは次の目的地に足を向ける。
 
「まったく、とんだ村だったわ」
「そうか? いい村だったと思うけど」
「あんたね、私たちは余計なことをしている暇はないのよ?」
「分かってるよ」
「あんたの故郷でもある、ミトロア所有者の都はまだまだ遠いんだから」
 
 ミトロアの謎を追い求めて、二人は旅は続く。
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