KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 8

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「そ、そうそう! そんな堅苦しくしないでもいいぜ、旦那! と……とりあえず、顔上げてくれ。な?」

世璋に促されると、善良は顔を上げて安堵の表情を浮かべた。

「あ、ありがとうございます。弟子のことが心配なあまり、ついお見苦しいところを見せてしまって申し訳ない。ハハハハッ……」

善良が苦笑いすると、守央は気を取り直して再び口を開いた。

「とりあえず、大体の経緯はわかりました。それで、具体的に真加さんを捜索するにあたっての質問なんですが、真加さんが行きそうな場所について何か心当たりはありませんか?」

「いえ。申し訳ございませんが、わたしには見当も……ただ、真加のご両親なら、何か知っていることがあるかもしれませんので、のちほどお二人にもご紹介を……」

「ありがとうございます。では、真加さんが行方をくらます理由として、何か思い当たることは……?」

守央がそう聞くと、善良は眉をひそめながらふと下を向き、首を傾げながら黙り込む。

しばらくすると、善良は再び顔を上げて表情を曇らせた。

「……1つだけ、心当たりがあります。真加がいなくなる前日のことでした。わたしがいつものように自宅の庭で真加にティーの型を指導していた時に、彼女が組手を教えてほしいと言ってきたのです。わたしは真加の申し出を断りました。彼女に組手を教えるのはまだ早いと思ったからです。それまでもわたしが弟子たちにティーを教える際は、例外なく型を中心に指導していましたので、真加にも約束組手やイリクミをやらせたことはありませんでした。唯一、型の応用として変手を稽古することはありましたが、それも練習頻度としてはほとんどないに等しいです。確かに、型稽古ばかりでは退屈かもしれません。ですが、ティーを修業する上で型は何よりも大切です。もちろん、組手の稽古をすることで具体的な技や戦術も学べば、より強くなることができます。しかし、技や戦術を自分のものとするためには、まず型稽古を通じて武術的な身体動作を体に叩き込んでおく必要があります。それを先にしておかなければ、いくら技や戦術を学んだところで生兵法にしかなりません。わたしはそのことを真加に理解してほしかったからこそ、組手の指導を断ったのです。しかしながら、彼女がその時とても残念そうな顔をしていたのは覚えています。もしかしたら真加は、わたしの指導が嫌になって家を出ていったのかもしれません。恐らく家にいれば、彼女はご両親から無理にでもわたしの指導を受けるよう言われると思いますから……」

善良は顔を俯かせ、さらに言葉を続ける。

「しかし、わたしは今一度真加に会って真意を伝えたい。型稽古の大切さを、そして武術家として強くあるために心掛けなければならない精神を……それでもなお、真加がわたしの指導を必要ないと言うのであれば、わたしはそのときこそ彼女への未練を断ち切る所存です」

善良が決意に満ちた眼差しを見せると、守央と世璋は少々驚いたような表情を浮かべ、互いにさりげなく横目で視線を合わせた。
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