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11、破壊の女王
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林の中を歩くことしばらく。僕達はようやく歩道へと出た。
「貴之!」
「亜里沙っち!」
声が響く。見ると、智樹と智歌さんが僕達に向かって走って来る。
「ようやく見つけたぜ」
「探したんだからね」
一息ついてから、二人は僕達を詰問する。
「貴之、一体どうしたんだ? いきなり大声を上げたかと思ったら店を飛び出したりして」
「亜里沙っちも何? 貴之クンをセンター送りにするとか何とか言って。穏やじゃないよ」
僕は返答に困る。天宮さんがスペ☆ギフの犠牲者にならなかった今、できれば二人には本当のことは知られたくない。
「ごめんなさい。実は誤解だったの」
天宮さんが口を開いた。
「実は三浦先生から事前に高倉クンのスペ☆ギフがどんななのか聞いていて。それで何気なくインターネットで調べたらスペ☆ギフの覚醒者が起こした事件のことが載っていて」
天宮さんは僕のスペ☆ギフについて洗いざらい話すのだろうと思った。
それも仕方がないかなと、半ば諦めもする。僕は静かに瞳を閉じた。
「私、誤解をしてしまったの。高倉君が、質の悪い放火犯だって」
(ええっ!?)
僕は目を見開いた。
「もちろん高倉君は無実よ。でも、スペ☆ギフのせいで故郷でもたくさんの人に疑われてて、トラウマになってたみたいなの。私が疑ってるってことに耐えられなくなってお店を飛び出してしまったのよ」
軽く息を吐きだし、天宮さんは続けた。
「高倉君には悪いことをしてしまったわ。本当にごめんなさい」
天宮さんが僕に顔を向けると頭を下げる。
(僕のスペ☆ギフのことを秘密にするために、お芝居をしてくれてるんだ)
さすがの僕でも理解する。
「え、ああ、うん。別に…いいから。うん、誤解も…解けたんだし…ね」
錆びたロボットよりもぎこちなく、僕は返事をする。
「何だ、そうだったのかよ」
「もー、亜里沙っちってばおかしな誤解しすぎ。そんな人が学園に入学できるはずないじゃない。すぐにセンター送りだってば」
智樹と智歌さんも納得してくれる。
「じゃ、二人とも見つかったしお店に戻ろ。荷持置きっぱだし、それにアタシまだ何も食べてないんだから~」
「俺も、安心したら少し腹が減ってきたぜ」
二人がクルリと背を向けメイド喫茶に向かって歩き出す。僕と天宮さんもその後に続く。
「高倉君、もうちょっと上手に返してくれない? 私、ヒヤヒヤしてしまったわ」
「御免、慣れてなくって。でも、天宮さん。どうして秘密にしてくれるの?」
「自分がどんなスペ☆ギフを持っているのかは、秘密にする権利があるの。あなた自身が秘密にしたいなら、私の口から言うべきことじゃないわ。余計な騒動を起こしたくないって理由もあるけれどね」
天宮さんが小声で囁く。
「ありがとう」
天宮さんに深く感謝しながら、僕は小声で答える。
一時は終わったかに思えたスペ☆ギフ学園での学園生活だが、どうやら無事に続けられそうだ。もちろん、スペ☆ギフを封印し続けるという前提があっての話だけど。
(今度、特能対策庁の人に連絡して眼鏡を調整してもらった方がいいかな? 少しぐらい痛くてもかまなわいから、こめかみのとこもっとキツくしてもらって。転んでも外れないぐらいに)
そんなことを考えていた僕は、不意に鼻がムズムズするのを感じた。風邪気味とかではなく、何となくくすぐったくなったのだ。
「ヘックション!」
僕は特大のクシャミをした。大きく頭を振ってしまう程のクシャミだった。
カランという音が聞こえた。
まさかと思い目元に手を当てる。しっかりと固い感触があった。眼鏡を落とした訳ではなかった。
ホッとする僕に声がかけられる。
「あれ!? 貴之クンひょっとして風邪?」
智歌さんだ。僕のクシャミを心配してくれたのだろう。
僕は顔を上げると笑顔で答える。
「大丈夫、そんなんじゃないから」
智歌さんは前方に立っていた。足を止め振り向きこちらを見ていた。
何故かそのままの体勢で固まっている。口をポカンと半開きにし、瞬きもせず僕を見ていた。
「姉ちゃん、どうしたんだ? メイド喫茶に戻ろうぜ」
隣の智樹の声も、何故か届いていない様子だ。
僕は背筋がゾワゾワとした。悪い予感がむくむくと膨れ上がる。
今の智歌さんのような表情を、僕は一月程前に見たことがあった。
僕が通っていた前の高校。僕のスペ☆ギフが覚醒したあの日に。
(いいや、そんなはずない! だって眼鏡はちゃんと着けてるし)
両手で自分の眼鏡の存在を確認する。右手の人差し指が目蓋に触れた。そこで、僕は何が起こったのかを察する。
眼鏡の右目のレンズが抜け落ちてしまっていたのだ。
先程のクシャミの時に違いない。カランという音はレンズが舗装された歩道に落ちた音だったのだ。
天宮さんが緊迫した声を上げる。
「高倉君! 逃げるわ!」
そう言うが否や、僕の腕を掴み智歌さんとは反対方向に走り出す。
「貴之ク~~~ン!」
背後から僕を呼ぶ智歌さんの声が聞こえた。完全に甘ったるい口調になってしまっている。紛れもなく、僕のスペ☆ギフの影響下だ。
「高倉君、智歌が元に戻るまでどれぐらいかかるの!」
天宮さんが僕に質問する。
決して至近距離で見つめ合った訳ではない。5メートルは開いていた。そのことから僕のスペ☆ギフの持続時間を推測する。
「多分、30分ぐらいだと思う」
「30分も続くのね……」
天宮さんは絶望的な表情を見せた。
と、次の瞬間だった。僕達の隣に智樹が姿を現す。彼のスペ☆ギフ、フラッシュムーブ…もとい、パシリスペシャルの成せる技だ。
「おい、どーなってんだよ!? 姉ちゃんがいきなり愛を叫びだしてるぞ! あの色気より食い気の姉ちゃんがだ! しかも相手は貴之、お前だ!」
やはり智歌さんは僕のスペ☆ギフの餌食となってしまったようだ。
「詳しい説明は後、智樹君のスペ☆ギフで、高倉君を連れて逃げられない?」
天宮さんの質問に、智樹は首を横に振る。
「無茶言うな。重い荷物を持ってたら俺は高速移動ができないんだよ。人一人連れてだなんて無理だぜ」
「そう」
その可能性も考えていたのだろう。天宮さんは即座に別の案を口にする。
「それなら、今すぐメイド喫茶に戻って。更衣室の従業員ロッカーの中に私の荷物があるから、そこからスマホを取ってきて欲しいの」
「スマホだな。くそっ、後でちゃんと説明してもらうからな!!!」
吐き捨てるようにそう言うと、智樹の姿が残像を残しかき消える。天宮さんに言われた女子寮に向かったようだ。
「待って~~~、貴之ク~~~ン!」
背後から僕を呼ぶ智歌さんの声が聞こえた。
「こっちよ!」
天宮さんが僕の手をぐいと引っ張り歩道を反れた。林の中へと足を踏み入れる。
先程よりも一段と薄暗くなった林の中はひどく歩きづらかった。だけど天宮さんは何の問題もなさそうに歩いて行く。
こんな状況ながら僕は少し驚いてしまう。
「足元に気を付けて。そこ、太い根っこがあるから」
振り向き言う天宮さん。その肩では、豆子が瞳を光らせていた。
(そうか、天宮さんは豆子の目を通して見てるから、夜目が利くんだ)
僕が感心していると、背後からバキボキという音が響いてきた。まるでエンジン音のないブルトーザーが迫って来ているような、そんな錯覚を覚える。
「な、何、あの音」
「来て!」
天宮さんが足を速めた。しばらく進むと林を抜けちょっとした広場へと出る。
暗い中、重機のシルエットが見える。ショベルカーにトラック。おそらくS学園島の開発に使われていたものだろう。
天宮さんは僕をショベルカーの後ろまで連れて行く。
「しゃがんで」
言われるままに、僕はその場にしゃがんだ。天宮さんも同じように隣にしゃがみ込む。
バキボキという音が響く。続いて、
「貴之ク~~~ン!」
という甘ったるい声。僕達を追いかけて智歌さんもこの場に到着したようだ。
天宮さんが人差し指を立て自分の唇に当てる。黙っているようにという合図だ。僕は無言で頷いた。
「貴之ク~~~ン。恥ずかしがってないで出ておいでよ~~~。貴之ク~~~ン」
相変わらずチョコレートパフェにメープルシロップとハチミツをたっぷりとかけたかのような甘ったるい声だ。
僕は、一月前の出来事を思い出していた。あの時も、掃除用具室の中でこうやって息を殺していた。
ただしあの時と違って相手は智歌さん一人だけだ。その意味では少し気が楽だった。
智歌さんの僕を呼ぶ声が遠ざかっていく。どうやらこの辺りにはいないと思ってくれたようだ。
「やり過ごせたみたいね」
天宮さんの言葉に、僕は少しだけ安堵する。
ずっと走っていたせいで荒くなっていた息を整える。
「今の内に渡しておくわ」
そう言うと、天宮さんが何かを僕に差し出した。それは落ちた眼鏡のレンズだった。
「ありがと」
一度眼鏡を外しレンズをしっかりとはめ込むと、僕はそれを再びかける。
それから、聞きたかったことを尋ねた。
「天宮さん、智樹がスマホを持ってきたらどうするの? 先生に連絡するとか?」
「違うわ。同じ管理委員の後輩に電話をするの。彼女は、『究極子守唄』って言うスペ☆ギフを持っているから」
天宮さんが小声で説明をしてくれる。
「どんな人間であれ、彼女の子守歌を聞いた人間はたちどころに眠りに落ちてしまう。スマホ越しに彼女に歌ってもらって、それを智歌に聞かせることができたなら」
「智歌さんを眠らせることができるってことなのか」
僕は納得し頷いた。
「ただし、智歌が大人しく聞いてくれるかが問題だけどね」
「大丈夫だよ。少し手荒になっちゃうけど、智樹と僕とで押さえつければ」
僕のスペ☆ギフの影響下にある人間は、何かのリミットが外れてしまうのか普段よりも強い腕力と運動能力を発揮する。とは言っても、超人的という程ではない。
智歌さんは小柄だし、元々の力も弱いだろう。例え暴れられたとしても二人ならどうにかなるのではと僕は思った。
だけど、天宮さんはゆっくりと首を振る。
「高倉君、あなたはちっとも分かってないわ。例えうちのクラスの男子全員を集めたところで、智歌を押さえつけることなんて不可能よ」
深刻な表情で天宮さんは呟く。
「『破壊の女王』。それが智歌のスペ☆ギフの名前。一言で言ってしまえば、超怪力なの」
次の瞬間だった。いきなりギリギリギリという音が背後で響く。振り向いた僕は驚愕する。
僕達の姿を隠していてくれたショベルカーが、ゆっくりと持ち上がっていたのだ。
それをしているのは、他ならぬ智歌さんだった。
完全に持ち上げたショベルカーを智歌さんはポイッと林の方へと投げ捨てた。グワシャンという音が響く。
とんでもない力だった。先程、林を走っている時背後から聞こえてきた音は、智歌さんが木々をへなぎ倒す音だったのだろう。
「そんな…いくら智歌が超怪力だって言ったって、こんなにも強くはなかったはずなのに」
天宮さんが掠れた息を漏らす。
「僕のスペ☆ギフのせいだよ。リミッターが外れて、パワーアップしてるんだ」
智歌さんが僕を見る。僕のスペ☆ギフの影響下にある女子特有の、トロンとした目付きだ。
「貴之クン、見~~~っけ♪」
楽し気に言う。僕は全身が強張り、声も出せなくなってしまう。
「智歌! 聞いて! あなたは今、貴之クンのスペ☆ギフで強い衝動を抱いているだけなの!」
天宮さんが説得を試みる。だけど、そんなものが通じないことを僕はよく知っていた。
「亜里沙っちがそんなこと言うなんて……」
智歌さんの瞳が険悪になる。
「ひょっとして、亜里沙っちも貴之クンのことが好きなの? だったら許せない。貴之クンはアタシのもの。絶対、絶対、誰にも渡さないから!」
智歌さんの両手の指がわしわしと動く。今にも天宮さんに掴み掛かりそうだった。
あの超怪力でそんなことをされたら、天宮さんは無事ではいられないだろう。
体を強張らせている場合ではなかった。怯えて、立ち竦んでいる場合ではなかった。
僕は、力一杯に叫ぶ。
「天宮さんなんて気にすることないよ! 僕には、僕の目には、智歌さんしか映らないんだから!」
一世一代の大芝居だった。
「さあ、僕を捕まえよ! それからあ~んなことやこ~んなことをしよう!」
言っていて恥ずかしくなるけれど、天宮さんの危機を救うためには他に方法がなかった。
「うふふ、そうね。亜里沙っちのことなんて気にすることなかったね」
智歌さんが笑みを浮かべる。僕のお粗末なお芝居が奇跡的に通用したようだ。
「じゃあ、捕まえちゃおっかな(ハート)」
智歌さんの言葉が終わるよりも前に、僕は脱兎のごとく走り出した。
「待って~~~」
智歌さんが追いかけてくる。振り向いて確認するまでもなく、きっと甘い表情をしていることだろう。
だけど僕は違う。必死の形相だ。お互いの貞操の危機だけではない。僕の命の危機だってあるのだ。
(あの超怪力で思いきり抱き締められたら…)
想像しただけでも背筋が凍り付くようだった。
(智歌さんのスペ☆ギフは超怪力。智樹みたいな超スピードじゃない。リミットが外れていつもより足が速くなってるかもしれないけど、それでも逃げられないことはない! って言うか、逃げられないと困る!)
再び林の中に飛び込み僕は必死になって走る。
だけど、天宮さんのガイドなしに暗い林の中を走るのは無謀過ぎたようだ。おそらく木の根っこか何かだろう。僕は足をつまづかせ転んでしまう。
立ち上がろうとする僕の目の前に、智歌さんは立っていた。
「うふふふ」
僕はあっと言う間に智歌さんに組み敷かれてしまう。智歌さんの腕力に僕は抗うことができない。
「智歌!」
追いかけてきた天宮さんが声を飛ばすけど、もはや智歌さんの耳には届かない。
きっと、これから始まる『あ~んなこと』や『こ~んなこと』で頭が一杯なのだろう。
と、その時だった。天宮さんの脇に突然人影が現れる。智樹だった。
「ったく、歩道を反れるなら先に言っといてくれよな。まあ、盛大な音がしたからすぐに分かったけどよ」
智樹が手にしたスマホを天宮さんに渡す。
「ほらよ」
「ありがとう!」
天宮さんはすぐに電話をかける。
「もしもし、姫野さん。急な話だけどこれからあなたのスペ☆ギフを…」
先程話してくれた後輩と連絡を取っているようだ。
(急いで! お願いだから急いで! もう僕には時間が!)
必死に願う僕の下半身に乗り完全なマウントポジションを取った智歌さんは、うっとりと僕を見つめる。
「さ、始めよっ(ハート)」
吐息を弾ませると、智歌さんは制服の上着を景気よく脱ぎ捨てた。
あっ! と言う間に、ブラジャーだけになってしまう。
かなり控えめなボリュームの胸だけど、それでも僕にとっては刺激が強すぎる。
「だ、駄目! 智歌さん! 駄目だってば!」
「孝之クンってば照れちゃって。かーわいー」
とうとう、智歌さんはブラを外すため背中の後ろに手を回してしまう。
それが外されてしまったら、本格的な『あ~んなこと』や『こ~んなこと』が始まってしまうに違いない。
僕が絶望した瞬間だった。智歌さんの脇に智樹が高速移動して現れる。その手には天宮さんのスマホが握られている。例の後輩と通話が繋がっているはずだ。
智樹の軽薄そうな顔が、仏様に見えた瞬間だった。
「姉ちゃん! この電話を!」
智歌さんの耳元にスマホを押し付けようとする智樹だったけど、その目が大きく見開かれる。
「って、姉ちゃん! 何てカッコしてんだよ!」
薄暗く、また遠目だったため、近くに来るまで上半身ブラだけという智歌さんの姿に気づいていなかったようだ。
「は、早く服を着ろよ! こんなこと、親父とお袋が知ったら!」
あたふたしてゴチャゴチャ言う智樹をわずらわしく感じたのだろう。
智歌さんは無造作に左腕を振った。それは智樹に直撃する。
「ぐわっ!」
っと言う悲鳴を響かせ、智樹の体は軽く10メートルは飛ばされた。
「智樹君!」
天宮さんが駆け寄るのが見えた。智樹の傍らからスマホを拾い上げこちらに駆け寄ろうとする。だけどその足が止まった。天宮さんの顔が絶望の色を見せる。
今の一撃でスマホに故障が生じたことは容易に想像がついた。
(終わった…)
今度こそ僕は絶望した。もう智歌さんの暴走を止める手立てはない。
僕はこのまま、『あ~んなこと』や『こ~んなこと』をされてしまうだろう。
相手はスペ☆ギフ、クラッシュクイーンを持つ超怪力の持ち主だ。その力をもってなされる『あ~んなこと』や『こ~んなこと』に僕の体が耐えられるのか? 正直自信はなかった。
でも、もし耐えられたのならば…。
生きて日の目を見ることができたのなら…。
僕は、一生をかけてでも智歌さんに償わなければならないだろう。
(ごめん、智歌さん)
僕が心の中で謝罪の言葉を呟いた直後だった。気を取り直しブラジャーを外そうとしていた智歌さんの動きが不意に止まる。
「あ…れ…?」
怪訝そうな顔をする。困惑気味ではあるものの、もうその目はトロンとはしていない。
元の智歌さんのものだった。
(えっ、どうして? たっぷり30分は続くはずなのに…)
そこで僕はハッとする。僕は大きな見誤りをしていたのだ。
眼鏡のレンズが外れたのは片方だけ。つまり智歌さんが見てしまったのは僕の右目だけ。
インキュパスアイズの影響も、通常の半分で済んだのだ。
僕は喜びの声を上げる。
「智歌さん! 元に戻ったんだね!?」
「貴之………クン?」
智歌さんはキョトンとしている。感情を操作されている間のことは、覚えていないのが普通なのだ。
だけど、すぐにその顔が真っ赤になった。自分が今、上半身ブラジャーだけという大胆な恰好でいることに気付いてしまったのだ。
「きゃあああ!」
智歌さんは悲鳴と同時に、強烈な平手打ちを僕の頬に放った。
バチコーン!
幸いなことに、それは智歌さんのスペ☆ギフを使った一撃ではなかった。もしそうだったら僕の首は吹っ飛んでしまっていただろう。
だけど、僕にとっては十分過ぎるぐらい痛い一撃だった。
「貴之!」
「亜里沙っち!」
声が響く。見ると、智樹と智歌さんが僕達に向かって走って来る。
「ようやく見つけたぜ」
「探したんだからね」
一息ついてから、二人は僕達を詰問する。
「貴之、一体どうしたんだ? いきなり大声を上げたかと思ったら店を飛び出したりして」
「亜里沙っちも何? 貴之クンをセンター送りにするとか何とか言って。穏やじゃないよ」
僕は返答に困る。天宮さんがスペ☆ギフの犠牲者にならなかった今、できれば二人には本当のことは知られたくない。
「ごめんなさい。実は誤解だったの」
天宮さんが口を開いた。
「実は三浦先生から事前に高倉クンのスペ☆ギフがどんななのか聞いていて。それで何気なくインターネットで調べたらスペ☆ギフの覚醒者が起こした事件のことが載っていて」
天宮さんは僕のスペ☆ギフについて洗いざらい話すのだろうと思った。
それも仕方がないかなと、半ば諦めもする。僕は静かに瞳を閉じた。
「私、誤解をしてしまったの。高倉君が、質の悪い放火犯だって」
(ええっ!?)
僕は目を見開いた。
「もちろん高倉君は無実よ。でも、スペ☆ギフのせいで故郷でもたくさんの人に疑われてて、トラウマになってたみたいなの。私が疑ってるってことに耐えられなくなってお店を飛び出してしまったのよ」
軽く息を吐きだし、天宮さんは続けた。
「高倉君には悪いことをしてしまったわ。本当にごめんなさい」
天宮さんが僕に顔を向けると頭を下げる。
(僕のスペ☆ギフのことを秘密にするために、お芝居をしてくれてるんだ)
さすがの僕でも理解する。
「え、ああ、うん。別に…いいから。うん、誤解も…解けたんだし…ね」
錆びたロボットよりもぎこちなく、僕は返事をする。
「何だ、そうだったのかよ」
「もー、亜里沙っちってばおかしな誤解しすぎ。そんな人が学園に入学できるはずないじゃない。すぐにセンター送りだってば」
智樹と智歌さんも納得してくれる。
「じゃ、二人とも見つかったしお店に戻ろ。荷持置きっぱだし、それにアタシまだ何も食べてないんだから~」
「俺も、安心したら少し腹が減ってきたぜ」
二人がクルリと背を向けメイド喫茶に向かって歩き出す。僕と天宮さんもその後に続く。
「高倉君、もうちょっと上手に返してくれない? 私、ヒヤヒヤしてしまったわ」
「御免、慣れてなくって。でも、天宮さん。どうして秘密にしてくれるの?」
「自分がどんなスペ☆ギフを持っているのかは、秘密にする権利があるの。あなた自身が秘密にしたいなら、私の口から言うべきことじゃないわ。余計な騒動を起こしたくないって理由もあるけれどね」
天宮さんが小声で囁く。
「ありがとう」
天宮さんに深く感謝しながら、僕は小声で答える。
一時は終わったかに思えたスペ☆ギフ学園での学園生活だが、どうやら無事に続けられそうだ。もちろん、スペ☆ギフを封印し続けるという前提があっての話だけど。
(今度、特能対策庁の人に連絡して眼鏡を調整してもらった方がいいかな? 少しぐらい痛くてもかまなわいから、こめかみのとこもっとキツくしてもらって。転んでも外れないぐらいに)
そんなことを考えていた僕は、不意に鼻がムズムズするのを感じた。風邪気味とかではなく、何となくくすぐったくなったのだ。
「ヘックション!」
僕は特大のクシャミをした。大きく頭を振ってしまう程のクシャミだった。
カランという音が聞こえた。
まさかと思い目元に手を当てる。しっかりと固い感触があった。眼鏡を落とした訳ではなかった。
ホッとする僕に声がかけられる。
「あれ!? 貴之クンひょっとして風邪?」
智歌さんだ。僕のクシャミを心配してくれたのだろう。
僕は顔を上げると笑顔で答える。
「大丈夫、そんなんじゃないから」
智歌さんは前方に立っていた。足を止め振り向きこちらを見ていた。
何故かそのままの体勢で固まっている。口をポカンと半開きにし、瞬きもせず僕を見ていた。
「姉ちゃん、どうしたんだ? メイド喫茶に戻ろうぜ」
隣の智樹の声も、何故か届いていない様子だ。
僕は背筋がゾワゾワとした。悪い予感がむくむくと膨れ上がる。
今の智歌さんのような表情を、僕は一月程前に見たことがあった。
僕が通っていた前の高校。僕のスペ☆ギフが覚醒したあの日に。
(いいや、そんなはずない! だって眼鏡はちゃんと着けてるし)
両手で自分の眼鏡の存在を確認する。右手の人差し指が目蓋に触れた。そこで、僕は何が起こったのかを察する。
眼鏡の右目のレンズが抜け落ちてしまっていたのだ。
先程のクシャミの時に違いない。カランという音はレンズが舗装された歩道に落ちた音だったのだ。
天宮さんが緊迫した声を上げる。
「高倉君! 逃げるわ!」
そう言うが否や、僕の腕を掴み智歌さんとは反対方向に走り出す。
「貴之ク~~~ン!」
背後から僕を呼ぶ智歌さんの声が聞こえた。完全に甘ったるい口調になってしまっている。紛れもなく、僕のスペ☆ギフの影響下だ。
「高倉君、智歌が元に戻るまでどれぐらいかかるの!」
天宮さんが僕に質問する。
決して至近距離で見つめ合った訳ではない。5メートルは開いていた。そのことから僕のスペ☆ギフの持続時間を推測する。
「多分、30分ぐらいだと思う」
「30分も続くのね……」
天宮さんは絶望的な表情を見せた。
と、次の瞬間だった。僕達の隣に智樹が姿を現す。彼のスペ☆ギフ、フラッシュムーブ…もとい、パシリスペシャルの成せる技だ。
「おい、どーなってんだよ!? 姉ちゃんがいきなり愛を叫びだしてるぞ! あの色気より食い気の姉ちゃんがだ! しかも相手は貴之、お前だ!」
やはり智歌さんは僕のスペ☆ギフの餌食となってしまったようだ。
「詳しい説明は後、智樹君のスペ☆ギフで、高倉君を連れて逃げられない?」
天宮さんの質問に、智樹は首を横に振る。
「無茶言うな。重い荷物を持ってたら俺は高速移動ができないんだよ。人一人連れてだなんて無理だぜ」
「そう」
その可能性も考えていたのだろう。天宮さんは即座に別の案を口にする。
「それなら、今すぐメイド喫茶に戻って。更衣室の従業員ロッカーの中に私の荷物があるから、そこからスマホを取ってきて欲しいの」
「スマホだな。くそっ、後でちゃんと説明してもらうからな!!!」
吐き捨てるようにそう言うと、智樹の姿が残像を残しかき消える。天宮さんに言われた女子寮に向かったようだ。
「待って~~~、貴之ク~~~ン!」
背後から僕を呼ぶ智歌さんの声が聞こえた。
「こっちよ!」
天宮さんが僕の手をぐいと引っ張り歩道を反れた。林の中へと足を踏み入れる。
先程よりも一段と薄暗くなった林の中はひどく歩きづらかった。だけど天宮さんは何の問題もなさそうに歩いて行く。
こんな状況ながら僕は少し驚いてしまう。
「足元に気を付けて。そこ、太い根っこがあるから」
振り向き言う天宮さん。その肩では、豆子が瞳を光らせていた。
(そうか、天宮さんは豆子の目を通して見てるから、夜目が利くんだ)
僕が感心していると、背後からバキボキという音が響いてきた。まるでエンジン音のないブルトーザーが迫って来ているような、そんな錯覚を覚える。
「な、何、あの音」
「来て!」
天宮さんが足を速めた。しばらく進むと林を抜けちょっとした広場へと出る。
暗い中、重機のシルエットが見える。ショベルカーにトラック。おそらくS学園島の開発に使われていたものだろう。
天宮さんは僕をショベルカーの後ろまで連れて行く。
「しゃがんで」
言われるままに、僕はその場にしゃがんだ。天宮さんも同じように隣にしゃがみ込む。
バキボキという音が響く。続いて、
「貴之ク~~~ン!」
という甘ったるい声。僕達を追いかけて智歌さんもこの場に到着したようだ。
天宮さんが人差し指を立て自分の唇に当てる。黙っているようにという合図だ。僕は無言で頷いた。
「貴之ク~~~ン。恥ずかしがってないで出ておいでよ~~~。貴之ク~~~ン」
相変わらずチョコレートパフェにメープルシロップとハチミツをたっぷりとかけたかのような甘ったるい声だ。
僕は、一月前の出来事を思い出していた。あの時も、掃除用具室の中でこうやって息を殺していた。
ただしあの時と違って相手は智歌さん一人だけだ。その意味では少し気が楽だった。
智歌さんの僕を呼ぶ声が遠ざかっていく。どうやらこの辺りにはいないと思ってくれたようだ。
「やり過ごせたみたいね」
天宮さんの言葉に、僕は少しだけ安堵する。
ずっと走っていたせいで荒くなっていた息を整える。
「今の内に渡しておくわ」
そう言うと、天宮さんが何かを僕に差し出した。それは落ちた眼鏡のレンズだった。
「ありがと」
一度眼鏡を外しレンズをしっかりとはめ込むと、僕はそれを再びかける。
それから、聞きたかったことを尋ねた。
「天宮さん、智樹がスマホを持ってきたらどうするの? 先生に連絡するとか?」
「違うわ。同じ管理委員の後輩に電話をするの。彼女は、『究極子守唄』って言うスペ☆ギフを持っているから」
天宮さんが小声で説明をしてくれる。
「どんな人間であれ、彼女の子守歌を聞いた人間はたちどころに眠りに落ちてしまう。スマホ越しに彼女に歌ってもらって、それを智歌に聞かせることができたなら」
「智歌さんを眠らせることができるってことなのか」
僕は納得し頷いた。
「ただし、智歌が大人しく聞いてくれるかが問題だけどね」
「大丈夫だよ。少し手荒になっちゃうけど、智樹と僕とで押さえつければ」
僕のスペ☆ギフの影響下にある人間は、何かのリミットが外れてしまうのか普段よりも強い腕力と運動能力を発揮する。とは言っても、超人的という程ではない。
智歌さんは小柄だし、元々の力も弱いだろう。例え暴れられたとしても二人ならどうにかなるのではと僕は思った。
だけど、天宮さんはゆっくりと首を振る。
「高倉君、あなたはちっとも分かってないわ。例えうちのクラスの男子全員を集めたところで、智歌を押さえつけることなんて不可能よ」
深刻な表情で天宮さんは呟く。
「『破壊の女王』。それが智歌のスペ☆ギフの名前。一言で言ってしまえば、超怪力なの」
次の瞬間だった。いきなりギリギリギリという音が背後で響く。振り向いた僕は驚愕する。
僕達の姿を隠していてくれたショベルカーが、ゆっくりと持ち上がっていたのだ。
それをしているのは、他ならぬ智歌さんだった。
完全に持ち上げたショベルカーを智歌さんはポイッと林の方へと投げ捨てた。グワシャンという音が響く。
とんでもない力だった。先程、林を走っている時背後から聞こえてきた音は、智歌さんが木々をへなぎ倒す音だったのだろう。
「そんな…いくら智歌が超怪力だって言ったって、こんなにも強くはなかったはずなのに」
天宮さんが掠れた息を漏らす。
「僕のスペ☆ギフのせいだよ。リミッターが外れて、パワーアップしてるんだ」
智歌さんが僕を見る。僕のスペ☆ギフの影響下にある女子特有の、トロンとした目付きだ。
「貴之クン、見~~~っけ♪」
楽し気に言う。僕は全身が強張り、声も出せなくなってしまう。
「智歌! 聞いて! あなたは今、貴之クンのスペ☆ギフで強い衝動を抱いているだけなの!」
天宮さんが説得を試みる。だけど、そんなものが通じないことを僕はよく知っていた。
「亜里沙っちがそんなこと言うなんて……」
智歌さんの瞳が険悪になる。
「ひょっとして、亜里沙っちも貴之クンのことが好きなの? だったら許せない。貴之クンはアタシのもの。絶対、絶対、誰にも渡さないから!」
智歌さんの両手の指がわしわしと動く。今にも天宮さんに掴み掛かりそうだった。
あの超怪力でそんなことをされたら、天宮さんは無事ではいられないだろう。
体を強張らせている場合ではなかった。怯えて、立ち竦んでいる場合ではなかった。
僕は、力一杯に叫ぶ。
「天宮さんなんて気にすることないよ! 僕には、僕の目には、智歌さんしか映らないんだから!」
一世一代の大芝居だった。
「さあ、僕を捕まえよ! それからあ~んなことやこ~んなことをしよう!」
言っていて恥ずかしくなるけれど、天宮さんの危機を救うためには他に方法がなかった。
「うふふ、そうね。亜里沙っちのことなんて気にすることなかったね」
智歌さんが笑みを浮かべる。僕のお粗末なお芝居が奇跡的に通用したようだ。
「じゃあ、捕まえちゃおっかな(ハート)」
智歌さんの言葉が終わるよりも前に、僕は脱兎のごとく走り出した。
「待って~~~」
智歌さんが追いかけてくる。振り向いて確認するまでもなく、きっと甘い表情をしていることだろう。
だけど僕は違う。必死の形相だ。お互いの貞操の危機だけではない。僕の命の危機だってあるのだ。
(あの超怪力で思いきり抱き締められたら…)
想像しただけでも背筋が凍り付くようだった。
(智歌さんのスペ☆ギフは超怪力。智樹みたいな超スピードじゃない。リミットが外れていつもより足が速くなってるかもしれないけど、それでも逃げられないことはない! って言うか、逃げられないと困る!)
再び林の中に飛び込み僕は必死になって走る。
だけど、天宮さんのガイドなしに暗い林の中を走るのは無謀過ぎたようだ。おそらく木の根っこか何かだろう。僕は足をつまづかせ転んでしまう。
立ち上がろうとする僕の目の前に、智歌さんは立っていた。
「うふふふ」
僕はあっと言う間に智歌さんに組み敷かれてしまう。智歌さんの腕力に僕は抗うことができない。
「智歌!」
追いかけてきた天宮さんが声を飛ばすけど、もはや智歌さんの耳には届かない。
きっと、これから始まる『あ~んなこと』や『こ~んなこと』で頭が一杯なのだろう。
と、その時だった。天宮さんの脇に突然人影が現れる。智樹だった。
「ったく、歩道を反れるなら先に言っといてくれよな。まあ、盛大な音がしたからすぐに分かったけどよ」
智樹が手にしたスマホを天宮さんに渡す。
「ほらよ」
「ありがとう!」
天宮さんはすぐに電話をかける。
「もしもし、姫野さん。急な話だけどこれからあなたのスペ☆ギフを…」
先程話してくれた後輩と連絡を取っているようだ。
(急いで! お願いだから急いで! もう僕には時間が!)
必死に願う僕の下半身に乗り完全なマウントポジションを取った智歌さんは、うっとりと僕を見つめる。
「さ、始めよっ(ハート)」
吐息を弾ませると、智歌さんは制服の上着を景気よく脱ぎ捨てた。
あっ! と言う間に、ブラジャーだけになってしまう。
かなり控えめなボリュームの胸だけど、それでも僕にとっては刺激が強すぎる。
「だ、駄目! 智歌さん! 駄目だってば!」
「孝之クンってば照れちゃって。かーわいー」
とうとう、智歌さんはブラを外すため背中の後ろに手を回してしまう。
それが外されてしまったら、本格的な『あ~んなこと』や『こ~んなこと』が始まってしまうに違いない。
僕が絶望した瞬間だった。智歌さんの脇に智樹が高速移動して現れる。その手には天宮さんのスマホが握られている。例の後輩と通話が繋がっているはずだ。
智樹の軽薄そうな顔が、仏様に見えた瞬間だった。
「姉ちゃん! この電話を!」
智歌さんの耳元にスマホを押し付けようとする智樹だったけど、その目が大きく見開かれる。
「って、姉ちゃん! 何てカッコしてんだよ!」
薄暗く、また遠目だったため、近くに来るまで上半身ブラだけという智歌さんの姿に気づいていなかったようだ。
「は、早く服を着ろよ! こんなこと、親父とお袋が知ったら!」
あたふたしてゴチャゴチャ言う智樹をわずらわしく感じたのだろう。
智歌さんは無造作に左腕を振った。それは智樹に直撃する。
「ぐわっ!」
っと言う悲鳴を響かせ、智樹の体は軽く10メートルは飛ばされた。
「智樹君!」
天宮さんが駆け寄るのが見えた。智樹の傍らからスマホを拾い上げこちらに駆け寄ろうとする。だけどその足が止まった。天宮さんの顔が絶望の色を見せる。
今の一撃でスマホに故障が生じたことは容易に想像がついた。
(終わった…)
今度こそ僕は絶望した。もう智歌さんの暴走を止める手立てはない。
僕はこのまま、『あ~んなこと』や『こ~んなこと』をされてしまうだろう。
相手はスペ☆ギフ、クラッシュクイーンを持つ超怪力の持ち主だ。その力をもってなされる『あ~んなこと』や『こ~んなこと』に僕の体が耐えられるのか? 正直自信はなかった。
でも、もし耐えられたのならば…。
生きて日の目を見ることができたのなら…。
僕は、一生をかけてでも智歌さんに償わなければならないだろう。
(ごめん、智歌さん)
僕が心の中で謝罪の言葉を呟いた直後だった。気を取り直しブラジャーを外そうとしていた智歌さんの動きが不意に止まる。
「あ…れ…?」
怪訝そうな顔をする。困惑気味ではあるものの、もうその目はトロンとはしていない。
元の智歌さんのものだった。
(えっ、どうして? たっぷり30分は続くはずなのに…)
そこで僕はハッとする。僕は大きな見誤りをしていたのだ。
眼鏡のレンズが外れたのは片方だけ。つまり智歌さんが見てしまったのは僕の右目だけ。
インキュパスアイズの影響も、通常の半分で済んだのだ。
僕は喜びの声を上げる。
「智歌さん! 元に戻ったんだね!?」
「貴之………クン?」
智歌さんはキョトンとしている。感情を操作されている間のことは、覚えていないのが普通なのだ。
だけど、すぐにその顔が真っ赤になった。自分が今、上半身ブラジャーだけという大胆な恰好でいることに気付いてしまったのだ。
「きゃあああ!」
智歌さんは悲鳴と同時に、強烈な平手打ちを僕の頬に放った。
バチコーン!
幸いなことに、それは智歌さんのスペ☆ギフを使った一撃ではなかった。もしそうだったら僕の首は吹っ飛んでしまっていただろう。
だけど、僕にとっては十分過ぎるぐらい痛い一撃だった。
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