TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~

あずももも

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8章 崩れゆくTS生活

105話 【エリート介護班とレッサーパンダこはねちゃん】

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「あーん、あーん……」

【   (心停止】
【こはねちゃん……どうして……】
【うっきうきからギャン泣きへ……】

【マイクのずっと下の方から、くぐもった鳴き声が】

【ミス】
【泣き声】

【草】
【たいして変わってないぞ草】
【なにしろこはねちゃんはレッサーパンダだからな】
【草】

【心臓がきゅってなったわ】
【お姉ちゃんが居て、「これ」か……】
【お姉様監督下で「これ」なんだよ……】

【子供はね、目を離さなくてもケガするからね】
【子供はね、1秒目を離すとなにか拾って口に入れてるからね】
【子供はね、5秒目を離すと隣の部屋ですっ転ぶからね】
【子供はね、10秒目を離すとどっか行くからね  マジで】

【ママさんパパさん!】
【孫の世話まで生き抜いたお祖母様お祖父様もいらっしゃる……丁重に敬え……】
【草】
【草】
【一気に父母会になって草】
【だって……】

【それにしても今回はお姉ちゃんが居るから致命傷で済んだわ】
【ほんそれ】
【お姉ちゃんが居たから「これ」で済んだんだもんね……】
【こはねちゃん? せめて、せめて妹って立場だけは認めよ? ね?】
【草】

「頭は打っていません……あくまで、イスの遠心力で飛んだだけ……体重が軽いので……机の横のラックも以前の後に部屋から出していますし、床も毎日掃除していて空き瓶などは転がっていないですし、酒――こほん、ジュースの容器も1つですし。なにより机周辺に敷きました絨毯で、ケガもしにくいはず……」

「あーん! お姉ちゃあーん!」

【助かる】
【妹様……!】

【お姉ちゃんだぞ】
【ああ、なにしろ助けを求める幼体がそう呼んでいるからな】
【そうだぞ、たとえ事実が異なるとしても、幼体の認識を優先してやるんだ】

【草】
【草】
【幼体言うな草】
【これは幼女】
【そうでないとでも?】
【ベビーこはねちゃん……ふむ】

【お姉様のお世話のおかげで今回は軽微で済んだか】

【さすお姉】
【感動した】
【やっぱり保護者同伴配信は安心感が違うね】
【ああ……!】
【草】

「ですが、もっと厚手の絨毯を、部屋中に敷き詰める必要が……いえ、もういっそのこと、今のこはねさんには大きすぎる机とイスをローテーブルと座椅子に……」

「ちゃぶ台はやだぁー!」
「わがままはいけません」

【草】
【草】
【かわいい】

【しっかり文句も言えるこはねちゃん】
【こはねちゃん、結構ふてぶてしいからね】
【ああ、小動物……】
【わがままなのがかわいいちいさきいきもの……】

【誰かが言い出したレッサーパンダとかああいう系統だよなぁマジで】

【ひより「分かりました!」】

【えっ】
【草】
【ひより先生が安心されておられるぞ!】
【なにしろお姉様が見てくれているからな……】

【朗報・ひよりママ、レッサーパンダこはねちゃんを描くご意欲まんまん】
【レッサーパンダコス……待ってます】
【感動した】
【先生も早くファンボを  ご支援させてください】

【な、分かったろ? どんなにしっかりしてるように見えるし聞こえるし、実際に肉体のスペック的に最高潮なもんだから、物覚えと頭の回転と柔軟な思考で大半の大人よりかしこくなれるし身体能力も高い未成年の子でも、未成年である以上はやっぱ肉体も精神もまだまだ子供で、ちゃんと保護者が必要なんだ  小中学生……いや、高校生も含めた配信者諸君……これをよく見るんだ  こはねちゃんのやらかしを、せっかくだからちょっと前のダイジェスト版もといディレクターズカット版でも良いから  イレギュラーってのは配信に付きものだ  何かあって、困って泣きそうになって――助けを求める相手が居ないと、大変だって  ここのコメント欄みたく善性の保護者が居る配信ばかりじゃないんだからな】

【うわぁぁぁいきなり長文を  あ、めっちゃまともなこと書いてたわ、ごめん】
【草】
【誰かが発狂したのかと思いきや普通に良いこと言ってて草】
【こはねちゃんに当てられると誰しもが保護欲を取り戻すからね】
【どんな悪人だろうと赤ん坊と小動物には敵わないからな】

【ごめんなさい】
【これまでイキっててごめんなさい】
【今度からお母さんお父さんにも言います……】

【ちょっと恥ずかしいけど、近くで見ていてもらいます……】
【こんなことしちゃったらもう生きてけないから、もうちょっと冷静にやります】
【こんなことしちゃったら一生のデジタルタトゥーになるから、もっと考えてみます】

【草】
【「こんなこと」で草】
【まぁ……「こんなこと」だわなぁ……】
【よろしい】
【えらい】

【あー、新規勢(新規とは言っていない)の中にはギャン泣き配信で登録した、こはねちゃん的には年下だけど客観的には同世代の子たちが居るのね】

【草】
【草】
【ひでぇ】
【でも、事実だし……】
【脳が……時間をタイムリープする……】
【未来は収束しそう  ギャン泣きに】
【世界線が……ギャン泣きを求めている】
【草】

【テンションが突如として謎に上がって? 急に泣いて急に怒って机の上に立ってレッサーパンダする遊びに飽きて? ゲーミングチェアとかオフィスチェアでくるっくる回って楽しんでたら体重が遠心力に負けて? んですっぽぬけて吹っ飛んでギャン泣きして妹(姉)によしよししてもらうかよわくてかわいい存在が成人の大人だって?】

【草】
【草】
【もうやめたげてよぉ!】
【状況証拠が揃いすぎている】

【お姉ちゃんが同伴してる安心感でコメント欄は大盛り上がり】
【草】
【今回の爆撃は比較的楽に済みそうだな】
【ああ……!】

【けど、やっぱ心配だわ  なんかさ、一瞬でこはねちゃんの意識が「切り替わった」感じがしてさ】





「……今回は……いえ、今回も大変でしたね。さすがに今回は打ち身もありませんし、ただ泣いていただけですから精密検査の必要はないと思います」

しばらくこはねの頭部を診ていた如月が、顔を上げる。

病院からそのまま駆けつけてきたと見えて白衣もそのまま。
訪問診療のための鞄だけを抱え、タクシーで駆け込んできた彼女は――額の汗を拭いながら、初めて笑顔を浮かべた。

「あ、あの……ですが……」

それで明らかにほっとする綾瀬優花。

しかし彼女は、「兄」のパソコンをしばらく操作していた2人を見上げる。

「ん、大丈夫。一度切ってから介護班だけのモードにしています」
「その中でもいろんな誓約書出した、私たちみたいなエリート介護班のね!」

「裏切り者は全員で……そういう契約……」
「いざとなったら私のVとしての影響力行使も辞さないけど、エリートなら大丈夫よね!」

そこには、寝起きだったのかぼさぼさすぎる髪の月見みなみ、スーツ姿でポニーテールを解いている紅目はるなが、己らの特権をひけらかす。

【草】
【エリート介護班で草】
【そうか……俺たちはエリートだったのか……】
【この前タイミング良くマジ泣き配信に遭遇できてミッションに参加したメンバー限定か】

【なにしろ「ハルナ」ちゃんに「ミナミ」ちゃんまで来てるからな】
【2人ともバーチャルでは人気すぎてなぁ】

【一応でも万が一でも億が一でも那由多の彼方でも、こはねちゃん自身が成人男性主張してるからね……先生ならともかく、2人の存在はね】

【嘘と曲解とデマに満ちあふれた膨大な努力の結果として、現役女Vの子が成人男性の家に来てるって話が広まったらとってもめんどくさいからね】

【でも大丈夫だと思う  ここまでレッサーパンダやってたら、誰もこはねちゃんが成人男性とかいう妄言は信じないと思うよ  たとえ火を付けようとしてもしなしなで付かないと思うよ】

【草】
【草】
【それでも安全策は……ね?】

「………………………………」

「すぅ……すぅ……」

一部の視聴者を含めた数十人が見守る中、幸せそうに寝ている「こはね」。
その姿は、どこからどう見ても――幼い子供そのままで。

「……先生、これは」

「『幼児退行』――心の防衛反応により、精神が子供の状態に戻る。ええ、コメント欄での指摘もありましたし、その理解でよろしいかと。……長く続くようでしたら適切なケアが必要でしょう。知り合いの精神科……いえ、小児科に当たってみます」

「ですよねぇ……最近、唐突に普段の調子から子供みたいになってましたし」
「うん……心配。理知的なはずの私たちのこはねさ――んが、ここ最近はおかしい」

【それな】
【正直、このギャン泣きとかがなければ今でも成人男性って思ってるし……少なくともメンタル面と精神年齢は】
【これまでの配信聞いてからなぁ】

【それが急にギャン泣きするわマジ泣きするわレッサーパンダするわ……】

【草】
【レッサーパンダはやめて、笑っちゃう】
【古参勢だからこそ分かる、こはねちゃんの異常だよなぁ】
【こうなったのっていつごろからだっけ?】

【やっぱあれだ、この前のギャン泣きの前に風邪引いて寝込んでたっぽいやつ】

【あー】
【そこから声もちょっと変になって……いや、その前から男声のボイチェンではあったみたいだが……】
【熱が出ると、人によってはっていうもんね】

「インフルエンザ脳症を始め、発熱を伴う病気の結果として脳機能に深刻なダメージが残る事例もあります。……落ち着いたら、脳ドックを。以前の精密検査では、あくまで出血などを確認しただけですので」

「……分かりました」

優花は、医師からの診察、ネットに強い配信界隈者での配信を通じての情報共有に安心しながらも――最近は少しあったものの、それでも今までにないほど異常な言動をしていた「兄だった存在」の寝姿を、ちくりと心を痛ませながら眺めていた。
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