TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~

あずももも

文字の大きさ
146 / 167
12章 日常に立ちはだかる敵と味方と

146話 ひよりちゃんのために、ひと肌脱いだ

しおりを挟む
「――うん、それはどう考えても『こっちの僕』が悪い!」

「で、でも、恥ずかしいからって頭がぐるぐるしちゃって寝ちゃった私が……」

「いや、どう考えてもひよりちゃんは悪くないでしょ。乙女が必死になって告白しようとしたのをかんっぜんに理解してなくって、ひよりちゃんに大胆にも押し倒してちゅーさせようとしたくらいには鈍感なのが悪い」

「ひゃああああ……」

「その先のことを考えた瞬間にショートしちゃったくらい初心なひよりちゃんに無茶させたのが悪い」

「     」

ごうんごうん。

僕たちはふたり、仲良くひよりちゃんの家のおふろの前で――「あっち」では良く一緒に入ってたから「僕」は勝手知ったる場所なんだ――僕の膀胱から漏れ出したおしっこのせいでびちゃびちゃになってた、僕たちふたりぶんの服とクッションとお人形さんたちを洗い、洗濯機に放り込んだ。

さいわいにも僕たちの身長体重体つきはほとんどおんなじなのは「こっち」でも変わらなかったから、ひとまずでひよりちゃんの服を貸してもらって――僕は激怒したんだ。

「いくらなんでも朴念仁すぎでしょ……いやまぁ、記憶は読めちゃうから、これまで彼女の気配すらなかったお子様な僕には酷かもしれないけど……でもさぁ……」

「か、彼女さん、居なかったんですか……?」
「そうらしいね。……てか、記憶読む限り1年に1回は誰かしらの女子からさりげなく近づかれてたの見逃してるんじゃん、こっちの僕……バカなの……? ほんとに玉、ついてたの……?」

僕は、頭を抱えた。

「小学生のときは、まだまだしょうがない。小学生の男子の大半はバカだから。高校大学のときも、まだしょうがない。いろいろ限界だったっぽいから。……けどさぁ、中学のときはわりかしうまく行ってたんじゃん……!」

あんまりにも――男としてじゃない、思春期の甘酸っぱい恋愛ってのができるはずの健康な体の男子な僕が、あんまりにもいろんなもったいないチャンスに鈍感だったことに。

「……うぇ? 人の気持ちとか考えがかなり分かっちゃうもんだから、自分から意識して気づかないように……? えぇ……いやまぁ、そうなるのも分かるけどさぁ……分かるんだけどぉ……! も、もったいなさすぎるし、なにより女子たちがかわいそすぎるぅ……! いろいろと噛み合ってなさすぎるぅ……!」

「れ、恋愛漫画の鈍感系の子みたいに……?」

「あれを煮詰めた感じだよ……さっき体験したでしょ? ひよりちゃん」
「は、はいぃ……」

一緒に下半身のあったかさに目を覚ました僕たちは、今の中身が「僕」になってるって説明をしてから一緒におふろに入った。

あっちでは小学校までしか一緒におふろに入っていなかったもんだから、いくらひよりちゃん相手でもちょっと気恥ずかしかったけども、それよりも僕のおしっこでだいなしにさせちゃった罪悪感とかいろいろで……ねぇ?

「主観的にはしょうがない。そもそもとして歳が10近く離れてるから男女でも普通は意識できなくって、こっちだと完全な他人から最推しのイラストレーターとして尊敬もしてるんだもん、なかなか分からなくてもしょうがない。今は肉体的に同性だし、気づきにくいのもしょうがない。けどさぁ……さすがに押し倒されたら気づこうよ……! どう考えてもあれは、恋心に気づいてくれない男子に業を煮やした女子の最後の決死の作戦でしょ……!」

「こ、こはねちゃんさんっ、そこまで言わなくても……」

「肉体的には同性だから、そういう展開になっても男相手ほどには決意は必要ないのは分かってる。けど、女の子が女の子相手にそういう決意するだけでもすごいことなのにさぁ……」
「はぅぅ……」

相変わらずにダメダメな「こっちの僕」をひとしきりダメ出しする。

――なぜか僕が起きちゃって弁明と説明をさせられて、漏らした後始末までさせられたんだ、これくらいはけちょんけちょんにしても当然でしょ。

「で、ひよりちゃん」
「ひゃいぃっ!?」

びくんと跳ねるひよりちゃん。

……なるほど、あっちだとただの友達だけど、こっちで男女としても意識してるとこういう感じになるんだ、ひよりちゃん。

「こっちの僕は――僕と同じくらいの、高校生ではあっても中学からずっと入院して成長できなかったあっちの僕を反映してか、どうやら子供らしいね」

僕は、胸もたいして無い体をぺたぺたと触る。

「だから、仮に告白しても、心も体も幼いもんだから進展はしないかもしれない」
「しょ、しょうがないです……私もちんちくりんだし……」

「だから、巻き込もう」

「巻き込む……?」
「うん、そう」

僕は、ひよりちゃんに教えていく。

「こっちの僕」が見聞きしてきた情報から、「彼」に好意を向けている女性たちのことを。

「で、でも、そんなこと……」

「残念ながらロリコンさんの趣味はそこまでないらしい『彼』に意識させるの……すっごく大変だと思うよ?」
「そ、そうなんですかぁ……」

「だから、明確に囲い込んできてるっぽいみんなを巻き込んで――共有しちゃえば良いよ。大丈夫大丈夫、今は女性同士もOKな時代だし、逆に女性同士だから複数人でも端から見たら仲の良い女子友達止まりだし。中身は男なんだ、一度でもやっちゃえばもうやみつきに決まってる」

「は、はぇぇぇ……」

「ひとまずは優花お姉ちゃんに電話してっと……あ、お姉ちゃん? 僕僕、レッサーパンダとか言われてた方の僕。実はね、今……」

目の前で目をぐるぐる回してるひよりちゃんをほっといて、僕は「この体だからこそ」できる情報提供を――密告をしながら、退路を塞いでいく。
ひよりちゃんのためにも――本当は周囲が美少女と美女ぞろいで嬉しいくせに、自信がなさすぎてこれっぽっちも意識してない「彼」のためにも。

仮に、無事みんなに飼育されてる途中で男に戻ったら……そのときはハーレムなんて男の夢だから、引きこもり脱出でもリモートワークでもなんでも良いから、干からびない程度になんとかがんばってね。

あ、でも、如月先生とかはるなちゃんまでかぁ……こりゃヒモ一直線かな?

まだペットとしてレッサーパンダとして、女の子のままの方が……君のプライド的にもおすすめかもって言っとくよ?
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

辺境ギルドの受付嬢ですが、冒険者の嘘は帳簿でぜんぶバレます

蒼月よる
ファンタジー
素材の重さが申告と合わない。鑑定書の書式がおかしい。冒険者が持ち込む報告書には、いつもどこかに嘘がある。 辺境の小さなギルド支部で、受付嬢ナタリアは今日も一人、帳簿を武器に冒険者たちの嘘と向き合っている。剣も魔法も使えない。でも素材を見る目と、数字の辻褄を見抜く勘だけは、誰にも負けない。 持ち込まれた棘鱗の産地が違う。新人冒険者の目が妙に鋭い。腕のいい薬師が素性を隠している。書類を処理するだけの毎日のはずが、カウンターの向こうには不思議な人々と、小さな謎が絶えない。 一話完結の日常謎解き。辺境の受付カウンターから覗く、冒険者たちの嘘と真実の物語。 この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥
ファンタジー
町の電気屋として細々と暮らしていた俺、轟電次郎(とどろき でんじろう)。 ある日、感電事故であっけなく人生終了──のはずが、目を覚ましたら異世界だった。 そこは魔法がすべての世界。 スマホも、ドライヤーも、炊飯器も、どこにもない。 でもなぜか俺だけは、“電力を生み出し家電を召喚できる”という特異体質を持っていて── 「ちょっと暮らしやすくなればそれでいい」 そんなつもりで始めた異世界ライフだったのに…… 家電の便利さがバレて、王族に囲まれ、魔導士に拉致され、気が付けば── 「この男こそ、我らの神(インフラ)である!」 えぇ……なんでそうなるの!? 電気と生活の知恵で異世界を変える、 元・電気屋おっさんのドタバタ英雄(?)譚!

無自覚に世界最強だった俺、追放後にチートがバレて全員ざまぁされる件

fuwamofu
ファンタジー
冒険者団から「役立たず」と追放された青年リオ。 実は彼のスキル《創造》は、世界の理を作り替える最強の能力だった。 追放後、孤独な旅に出るリオは、自身の無自覚な力で人々を救い、国を救い、やがて世界の中心に立つ。 そんな彼の元には、かつて彼を見下していた美少女たちが次々と跪いていく──。 これは、無自覚に世界を変えてしまう青年の、ざまぁと覇道の物語。

ダンジョン嫌いの元英雄は裏方仕事に徹したい ~うっかりA級攻略者をワンパンしたら、切り抜き動画が世界中に拡散されてしまった件~

厳座励主(ごんざれす)
ファンタジー
「英雄なんて、もう二度とごめんだ」 ダンジョン出現から10年。 攻略が『配信』という娯楽に形を変えた現代。 かつて日本を救った伝説の英雄は、ある事情から表舞台を去り、ダンジョン攻略支援用AI『アリス』の開発に没頭する裏方へと転身していた。 ダンジョンも、配信も、そして英雄と呼ばれることも。 すべてを忌み嫌う彼は、裏方に徹してその生涯を終える……はずだった。 アリスの試験運用中に遭遇した、迷惑系配信者の暴挙。 少女を救うために放った一撃が、あろうことか世界中にライブ配信されてしまう。 その結果―― 「――ダンジョン嫌いニキ、強すぎるだろ!!」 意図せず爆増するファン、殺到するスポンサー。 静寂を望む願いをよそに、世界は彼を再び『英雄』の座へと引きずり戻していく。

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

異世界で鍛冶屋をやってるだけのはずが、神々に最強認定されてハーレムができてた件

えりぽん
ファンタジー
平凡な青年リクは、異世界に転生して鍛冶屋として静かに暮らしていた――はずだった。 だが、彼が何気なく作った剣は竜を貫き、魔王をも滅ぼすほどの威力を秘めていた。本人はただの職人のつもりでも、周囲からは「神の使徒」として崇められ、王女や聖女、果ては魔族までが次々と彼の元に集う。 「俺、本当にただの鍛冶屋なんですが……?」 気づけば彼は、闇の勢力も聖なる教団も巻き込む世界最大の戦争の鍵を握る存在に――。 これは、無自覚に最強となった青年が世界を変える、“作るだけ無双ファンタジー”。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

処理中です...