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12章 日常に立ちはだかる敵と味方と
146話 ひよりちゃんのために、ひと肌脱いだ
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「――うん、それはどう考えても『こっちの僕』が悪い!」
「で、でも、恥ずかしいからって頭がぐるぐるしちゃって寝ちゃった私が……」
「いや、どう考えてもひよりちゃんは悪くないでしょ。乙女が必死になって告白しようとしたのをかんっぜんに理解してなくって、ひよりちゃんに大胆にも押し倒してちゅーさせようとしたくらいには鈍感なのが悪い」
「ひゃああああ……」
「その先のことを考えた瞬間にショートしちゃったくらい初心なひよりちゃんに無茶させたのが悪い」
「 」
ごうんごうん。
僕たちはふたり、仲良くひよりちゃんの家のおふろの前で――「あっち」では良く一緒に入ってたから「僕」は勝手知ったる場所なんだ――僕の膀胱から漏れ出したおしっこのせいでびちゃびちゃになってた、僕たちふたりぶんの服とクッションとお人形さんたちを洗い、洗濯機に放り込んだ。
さいわいにも僕たちの身長体重体つきはほとんどおんなじなのは「こっち」でも変わらなかったから、ひとまずでひよりちゃんの服を貸してもらって――僕は激怒したんだ。
「いくらなんでも朴念仁すぎでしょ……いやまぁ、記憶は読めちゃうから、これまで彼女の気配すらなかったお子様な僕には酷かもしれないけど……でもさぁ……」
「か、彼女さん、居なかったんですか……?」
「そうらしいね。……てか、記憶読む限り1年に1回は誰かしらの女子からさりげなく近づかれてたの見逃してるんじゃん、こっちの僕……バカなの……? ほんとに玉、ついてたの……?」
僕は、頭を抱えた。
「小学生のときは、まだまだしょうがない。小学生の男子の大半はバカだから。高校大学のときも、まだしょうがない。いろいろ限界だったっぽいから。……けどさぁ、中学のときはわりかしうまく行ってたんじゃん……!」
あんまりにも――男としてじゃない、思春期の甘酸っぱい恋愛ってのができるはずの健康な体の男子な僕が、あんまりにもいろんなもったいないチャンスに鈍感だったことに。
「……うぇ? 人の気持ちとか考えがかなり分かっちゃうもんだから、自分から意識して気づかないように……? えぇ……いやまぁ、そうなるのも分かるけどさぁ……分かるんだけどぉ……! も、もったいなさすぎるし、なにより女子たちがかわいそすぎるぅ……! いろいろと噛み合ってなさすぎるぅ……!」
「れ、恋愛漫画の鈍感系の子みたいに……?」
「あれを煮詰めた感じだよ……さっき体験したでしょ? ひよりちゃん」
「は、はいぃ……」
一緒に下半身のあったかさに目を覚ました僕たちは、今の中身が「僕」になってるって説明をしてから一緒におふろに入った。
あっちでは小学校までしか一緒におふろに入っていなかったもんだから、いくらひよりちゃん相手でもちょっと気恥ずかしかったけども、それよりも僕のおしっこでだいなしにさせちゃった罪悪感とかいろいろで……ねぇ?
「主観的にはしょうがない。そもそもとして歳が10近く離れてるから男女でも普通は意識できなくって、こっちだと完全な他人から最推しのイラストレーターとして尊敬もしてるんだもん、なかなか分からなくてもしょうがない。今は肉体的に同性だし、気づきにくいのもしょうがない。けどさぁ……さすがに押し倒されたら気づこうよ……! どう考えてもあれは、恋心に気づいてくれない男子に業を煮やした女子の最後の決死の作戦でしょ……!」
「こ、こはねちゃんさんっ、そこまで言わなくても……」
「肉体的には同性だから、そういう展開になっても男相手ほどには決意は必要ないのは分かってる。けど、女の子が女の子相手にそういう決意するだけでもすごいことなのにさぁ……」
「はぅぅ……」
相変わらずにダメダメな「こっちの僕」をひとしきりダメ出しする。
――なぜか僕が起きちゃって弁明と説明をさせられて、漏らした後始末までさせられたんだ、これくらいはけちょんけちょんにしても当然でしょ。
「で、ひよりちゃん」
「ひゃいぃっ!?」
びくんと跳ねるひよりちゃん。
……なるほど、あっちだとただの友達だけど、こっちで男女としても意識してるとこういう感じになるんだ、ひよりちゃん。
「こっちの僕は――僕と同じくらいの、高校生ではあっても中学からずっと入院して成長できなかったあっちの僕を反映してか、どうやら子供らしいね」
僕は、胸もたいして無い体をぺたぺたと触る。
「だから、仮に告白しても、心も体も幼いもんだから進展はしないかもしれない」
「しょ、しょうがないです……私もちんちくりんだし……」
「だから、巻き込もう」
「巻き込む……?」
「うん、そう」
僕は、ひよりちゃんに教えていく。
「こっちの僕」が見聞きしてきた情報から、「彼」に好意を向けている女性たちのことを。
「で、でも、そんなこと……」
「残念ながらロリコンさんの趣味はそこまでないらしい『彼』に意識させるの……すっごく大変だと思うよ?」
「そ、そうなんですかぁ……」
「だから、明確に囲い込んできてるっぽいみんなを巻き込んで――共有しちゃえば良いよ。大丈夫大丈夫、今は女性同士もOKな時代だし、逆に女性同士だから複数人でも端から見たら仲の良い女子友達止まりだし。中身は男なんだ、一度でもやっちゃえばもうやみつきに決まってる」
「は、はぇぇぇ……」
「ひとまずは優花お姉ちゃんに電話してっと……あ、お姉ちゃん? 僕僕、レッサーパンダとか言われてた方の僕。実はね、今……」
目の前で目をぐるぐる回してるひよりちゃんをほっといて、僕は「この体だからこそ」できる情報提供を――密告をしながら、退路を塞いでいく。
ひよりちゃんのためにも――本当は周囲が美少女と美女ぞろいで嬉しいくせに、自信がなさすぎてこれっぽっちも意識してない「彼」のためにも。
仮に、無事みんなに飼育されてる途中で男に戻ったら……そのときはハーレムなんて男の夢だから、引きこもり脱出でもリモートワークでもなんでも良いから、干からびない程度になんとかがんばってね。
あ、でも、如月先生とかはるなちゃんまでかぁ……こりゃヒモ一直線かな?
まだペットとしてレッサーパンダとして、女の子のままの方が……君のプライド的にもおすすめかもって言っとくよ?
「で、でも、恥ずかしいからって頭がぐるぐるしちゃって寝ちゃった私が……」
「いや、どう考えてもひよりちゃんは悪くないでしょ。乙女が必死になって告白しようとしたのをかんっぜんに理解してなくって、ひよりちゃんに大胆にも押し倒してちゅーさせようとしたくらいには鈍感なのが悪い」
「ひゃああああ……」
「その先のことを考えた瞬間にショートしちゃったくらい初心なひよりちゃんに無茶させたのが悪い」
「 」
ごうんごうん。
僕たちはふたり、仲良くひよりちゃんの家のおふろの前で――「あっち」では良く一緒に入ってたから「僕」は勝手知ったる場所なんだ――僕の膀胱から漏れ出したおしっこのせいでびちゃびちゃになってた、僕たちふたりぶんの服とクッションとお人形さんたちを洗い、洗濯機に放り込んだ。
さいわいにも僕たちの身長体重体つきはほとんどおんなじなのは「こっち」でも変わらなかったから、ひとまずでひよりちゃんの服を貸してもらって――僕は激怒したんだ。
「いくらなんでも朴念仁すぎでしょ……いやまぁ、記憶は読めちゃうから、これまで彼女の気配すらなかったお子様な僕には酷かもしれないけど……でもさぁ……」
「か、彼女さん、居なかったんですか……?」
「そうらしいね。……てか、記憶読む限り1年に1回は誰かしらの女子からさりげなく近づかれてたの見逃してるんじゃん、こっちの僕……バカなの……? ほんとに玉、ついてたの……?」
僕は、頭を抱えた。
「小学生のときは、まだまだしょうがない。小学生の男子の大半はバカだから。高校大学のときも、まだしょうがない。いろいろ限界だったっぽいから。……けどさぁ、中学のときはわりかしうまく行ってたんじゃん……!」
あんまりにも――男としてじゃない、思春期の甘酸っぱい恋愛ってのができるはずの健康な体の男子な僕が、あんまりにもいろんなもったいないチャンスに鈍感だったことに。
「……うぇ? 人の気持ちとか考えがかなり分かっちゃうもんだから、自分から意識して気づかないように……? えぇ……いやまぁ、そうなるのも分かるけどさぁ……分かるんだけどぉ……! も、もったいなさすぎるし、なにより女子たちがかわいそすぎるぅ……! いろいろと噛み合ってなさすぎるぅ……!」
「れ、恋愛漫画の鈍感系の子みたいに……?」
「あれを煮詰めた感じだよ……さっき体験したでしょ? ひよりちゃん」
「は、はいぃ……」
一緒に下半身のあったかさに目を覚ました僕たちは、今の中身が「僕」になってるって説明をしてから一緒におふろに入った。
あっちでは小学校までしか一緒におふろに入っていなかったもんだから、いくらひよりちゃん相手でもちょっと気恥ずかしかったけども、それよりも僕のおしっこでだいなしにさせちゃった罪悪感とかいろいろで……ねぇ?
「主観的にはしょうがない。そもそもとして歳が10近く離れてるから男女でも普通は意識できなくって、こっちだと完全な他人から最推しのイラストレーターとして尊敬もしてるんだもん、なかなか分からなくてもしょうがない。今は肉体的に同性だし、気づきにくいのもしょうがない。けどさぁ……さすがに押し倒されたら気づこうよ……! どう考えてもあれは、恋心に気づいてくれない男子に業を煮やした女子の最後の決死の作戦でしょ……!」
「こ、こはねちゃんさんっ、そこまで言わなくても……」
「肉体的には同性だから、そういう展開になっても男相手ほどには決意は必要ないのは分かってる。けど、女の子が女の子相手にそういう決意するだけでもすごいことなのにさぁ……」
「はぅぅ……」
相変わらずにダメダメな「こっちの僕」をひとしきりダメ出しする。
――なぜか僕が起きちゃって弁明と説明をさせられて、漏らした後始末までさせられたんだ、これくらいはけちょんけちょんにしても当然でしょ。
「で、ひよりちゃん」
「ひゃいぃっ!?」
びくんと跳ねるひよりちゃん。
……なるほど、あっちだとただの友達だけど、こっちで男女としても意識してるとこういう感じになるんだ、ひよりちゃん。
「こっちの僕は――僕と同じくらいの、高校生ではあっても中学からずっと入院して成長できなかったあっちの僕を反映してか、どうやら子供らしいね」
僕は、胸もたいして無い体をぺたぺたと触る。
「だから、仮に告白しても、心も体も幼いもんだから進展はしないかもしれない」
「しょ、しょうがないです……私もちんちくりんだし……」
「だから、巻き込もう」
「巻き込む……?」
「うん、そう」
僕は、ひよりちゃんに教えていく。
「こっちの僕」が見聞きしてきた情報から、「彼」に好意を向けている女性たちのことを。
「で、でも、そんなこと……」
「残念ながらロリコンさんの趣味はそこまでないらしい『彼』に意識させるの……すっごく大変だと思うよ?」
「そ、そうなんですかぁ……」
「だから、明確に囲い込んできてるっぽいみんなを巻き込んで――共有しちゃえば良いよ。大丈夫大丈夫、今は女性同士もOKな時代だし、逆に女性同士だから複数人でも端から見たら仲の良い女子友達止まりだし。中身は男なんだ、一度でもやっちゃえばもうやみつきに決まってる」
「は、はぇぇぇ……」
「ひとまずは優花お姉ちゃんに電話してっと……あ、お姉ちゃん? 僕僕、レッサーパンダとか言われてた方の僕。実はね、今……」
目の前で目をぐるぐる回してるひよりちゃんをほっといて、僕は「この体だからこそ」できる情報提供を――密告をしながら、退路を塞いでいく。
ひよりちゃんのためにも――本当は周囲が美少女と美女ぞろいで嬉しいくせに、自信がなさすぎてこれっぽっちも意識してない「彼」のためにも。
仮に、無事みんなに飼育されてる途中で男に戻ったら……そのときはハーレムなんて男の夢だから、引きこもり脱出でもリモートワークでもなんでも良いから、干からびない程度になんとかがんばってね。
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