TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~

あずももも

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12章 日常に立ちはだかる敵と味方と

159話 オンラインゲームはおあずけ

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コメント欄のみんなの後悔が、僕の中に流れ込んでくる。

「――けどさ」

僕はセオリーから外れた動きをしながら、自機を移動させていく。
その目的が分からないようにして。

――ちゅんっ、ちゅんっ。

「本来なら僕が移動していたはずの座標」へ、寸分違わずに敵弾が空打ちされていく。

【あっ……ツールでのオート射撃……】
【確かにこれ、全部こはねちゃんの配信見てたら分かるし、一瞬でも物陰から飛び出そうとしたらツールが探知できるところに……】
【てかこはねちゃんの動きやべー】

【相手のツール使用は確定だな】
【すでに通報もされてるだろうけど、この映像を添付して運営に送ればすぐにBANされるよな】
【ちょっと通報してくる】
【助かる】

【けど、こはねちゃんさん、全段回避してる】

【マップ見てみろ  味方の半数以上が、動き止めてる】

【このゲーム、プレイしてる別の配信者も同時視聴してるんだけど  ……敵も、コメント欄経由とかでこはねちゃんの話聞いて……】

【敵味方に1チームずつパーティー組んでるやつらがこの話を聞いて、全体チャットでお互いに情報を伝えてるな】
【あー、画面の隅のチャットがやけに騒がしいと思ったら】

【そうだよな  チートは許さない真面目な人の方が多いよな】
【特に高ランクの戦いだしな】

【だけど……】
【うん……】

【あ……チャットで事情を知った敵味方、全員が……】
【足を、止めて……】
【完全に、こはねちゃんさんと相手の戦いを見てる……】

【マッチングしたみんなが……こはねちゃんと対面のチーターの戦いを……】

【なんて試合なんだ、これは……】
【これはバズる】
【すでにバズってるが】
【ゲームが終了しても語り継がれるレベルじゃね? これ……】
【こはねちゃんさんが、とうとうゲームの腕でも伝説へ……】

静かになった戦場。

全力で戦おうとして動きを止めた人、戸惑ってる人――彼らの感情が、流れ込んできている。

「――君も、引きこもってた僕みたいに情けなく泣きじゃくって、許しを望んで。潔く身を引いて、ゼロからやり直せば――――」

僕は――「彼」の、「僕の配信を見て聞きながら戸惑いながらも動かす二手先」を「視」て――――

――――ぱんっ。

【あっ】
【え】
【?】
【急に通常攻撃】
【一体何が】

『critical hit!』

「見えないのに理解できた」座標へした、通常攻撃。

――それは、「彼」の操作機の「コア」――ピンポイントで当たれば確率で爆発四散するよう設定されている防郭へ命中し。

【え?】
【えっ】
【ふぁっ!?】
【倒した!?】
【えぇ……】
【なぁにこれぇ……】

「……これは、『君』が僕を見てツールに頼っていたからこそ命中した攻撃。『ズル』をする人って、ある意味でわかりやすいから。だって、『確実に始末できる動き』をしてくれるわけでさ。『正確な未来』が分かっていれば、そこを狙うだけだから」

【おおおおお】
【おおおおお】

【\50000】
【\50000】
【\50000】
【\50000】

【ここが投げ銭の投げ時だな!】
【今回ばかりは文句言わせないぞ、こはねちゃん!】

これで敵は、初心者さんと強すぎる猛者の2人をロスト。

――この試合は僕の味方にとって、順調すぎる滑り出しになった。

【速報・こはねちゃんさん、チーター&マナー違反相手に対し、プレイヤースキルと裏読みで逆手に取った戦いで撃破】

【しゅごい】
【すげぇ】
【なんだ今の動き……】

【ぅゎょぅι゛ょっょぃ】

【これは強い幼女】
【幼女怖い……】

【※これで自称25歳成人男性です  もう信じらんないわこんなん……なんだよもう、しゃべり方はどう聞いても俺と同世代の男で合間のトークもあるある懐かしネタとかちょいちょいあるのに、くっそかわいいロリっ子で、ジュース飲んだときの声とかも妙にエロいし、こんなんもう性癖が……破壊されて再構築される……】

【草】
【草】
【あーあ、まーたこはねちゃんに情緒を破壊されてる】
【いつものことでは?】
【それはそう】
【こはねちゃん……なんて悪女なの……】

【けど……え、こはねちゃんさんやばくね? この動きとか全部】

【これは「こはねちゃんさん」だわ……】
【これからは「さん」を着けろ介護班にもなれなかったクズ共が】
【そうまで言う!?】
【草】

【覚醒こはねちゃんって、もしかしてプロゲーマーになれる?】
【普通になれるだろ、こんなん……】

「……いや、なれない……かな」

その後の戦闘は――礼儀として手抜きをせずに勝利に導き、無事に勝ちを得て。

全体チャットでも、ここの画面みたいな賞賛の嵐を外国語で受け取って。

待機画面に戻ったら戻ったで、彼らから個別チャットでさらに褒め称えられて。

「――じゃ、ここまでかな」

あと数試合でトップに君臨できるというところで――僕は、ゲームからログアウトした。

【あああああ】
【あああああ】

【え?】
【なぁんでぇ……?】
【もったいなさすぎる】
【幼女でも成人男性でも頭おかしい(褒め言葉)動きだよなぁ】

「僕自身はツールとかは使っていないけども……うん」

僕は、これまで慣れ親しんだゲームのアイコンを見ながら、静かにため息をつく。

「相手のすることが全部分かっちゃうって、ズルっこには変わりないもん。調子が良すぎるのもそれはそれで……うん。このゲームも、しばらくは封印かな。最低でもランクが完全にリセットされるまでは」

――ゲームは、勝ちすぎたら楽しくはない。

むしろ、全然勝てないからってあがいてるくらいがいちばん楽しいんだから。
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