22 / 147
1章 女装して屋敷を堕とした(7歳スタート・すでに手遅れっぽいけど)
10話 騎士団長との訓練は初日で卒業(未受講)1
しおりを挟む
「ジュリオン様。私めからお教えできることは、この程度です」
「いや、助かった。礼を言う」
魔法攻撃ぶっ放すのと軽い講義以外はなんにもしてないけど、こういうのは「気持ち」に対して言うものだって知識がある。
あれだ、「助けてくれようとしてありがとう」って感じでの感謝。
「なんと……なんと心優しき御方……!!」
「おじいちゃん、鼻水すごいですよぉ?」
「これは失礼。……チーンッ!」
「あ゛っ……私のお気にのハンカチ……あぅぅ……」
結局。
とりあえずあのエビルジャッジメント――必殺技は、生命の危険がある場合を除き、封印。
いろんな魔法攻撃を試して……最終的には普段エミリーちゃんがやらかすたびに最小出力でちくちくいじめてた、ジュリオン様のレパートリー豊富な魔法を普通に出せば、初級ダンジョンの低層なら戦闘力では問題ないという判定。
ボケたとはいえ元騎士団長お墨付きだ、「最低でも5年目の兵士並みの練度でございまする」とか言ってたから、ボケとよいしょ分をマイナスして「入隊後5ヶ月目の新兵程度」にはなってるはず。
そして当面は魔力が切れる心配はなし、ゆえにただただ習熟と経験だと。
で、役に立ったのは座学のほう――っていっても1時間も教わってないんだけども。
一般市民としてダンジョンに潜る際の冒険者登録とか、平民への紛れ方だとか――いわゆる冒険者としての一般常識こそが、最も知りたかった部分だ。
あとはダンジョンの基本構造とかトラップ――罠の種類とか見分け方とかを簡単に。
細かいところは……初心者同士でパーティーをなんとか組んだ先で実地で覚えるしかないな。
なにしろ痴呆の進んだじいさんの言うことだ、話半分、かつ半世紀前の常識って思っとかないとね。
ちなみに。
初心者ダンジョンで出現する罠の種類は、だいたいエミリーちゃんからのドジっ子スキル攻撃で全部経験していて、その対策も当然ながら知り尽くしているし、そもそも反射で対応できるようになっている。
唯一の回避不可能かつ死亡判定になった疑惑のある冷水くらいかな、気をつけるべきなの。
……エミリーちゃん……君、きっとダンジョン関係のお仕事したら――いやダメだ、ドジっ子スキル攻撃で数多の冒険者を屠りかねない。
エミリーちゃんが無自覚大量殺人鬼になってしまう。
それはいけない。
この子は癒やしであるべきなんだ。
やっば君は学園へ僕の付き人として入って主人公くんに見初められるまでステイしててね。
大丈夫大丈夫、主人公くんはこの世界でいちばん強くなれるから冷水トラップ程度じゃ死なないんだ、好きなだけドジっ子してくれたまえ。
まぁストーリー進むとドジっ子スキルの真の価値が出てくるし、緩和もできるようになってくるから我慢だよステイだよエミリーちゃん。
「町までの馬車は、途中までがよろしいでしょう」
「ああ、うちの馬車には紋章も刻まれているし、そもそも上質すぎて目立つからな」
「ああ……! 誰にも教わらなんだのにこの智力! 流石セレスティーヌ様の子で在らせられる! ……はっ! まさか、蔵書庫へ毎日のように通われていたのは、全てがこのために……!」
……僕の反応にいちいちのこれがなければなぁ……毎回泣いて鼻水出してるし……誰かケアマネージャーさん呼んだげて?
「ほへー、ジュリオンさまぁ、かしこかったんですねぇ」
うん、エミリーちゃん……君はかしこいエミリーちゃんのままで居てね。
「以後の道順や最寄りの町の案内は馬車内でさせますゆえ」
「ああ」
「あとは……本当にお一人でよろしいので?」
「うむ、片道数時間を毎日往復するより、泊まりの方が便利だからな」
ちなみにこの世界、僕みたいなちんちくりんでもお金さえ出せば普通に宿にも泊まれるし、冒険者登録もできるしお仕事も受けられるんだってね。
なにしろ孤児でさえ一攫千金を夢見て冒険者になる程度には魔王軍の侵攻がすさまじくって、人手が足りないから基本的に誰でもなれるんだとか。
人の命が軽い世界観だからね……魔王ジュリオン様に、さくっと町がいくつか蹂躙されるのとかあったし。
うん……ごめんね、僕、ミスったらその原因の魔王になっちゃう……なっちゃったら、せめて一瞬で葬ったげるから許して……?
というか、こんなにあっさりと外出どころか外泊許可が出るとは。
いや、楽だったけどさ……やっぱ留守任せるのまずくない?
え?
ゲーム開始の10年後までは屋敷も存在してるから大丈夫?
そりゃそうだけどさぁ……。
「セレスティーヌ様――ジュリオン様。数日分のお召し物や金銭をここに」
「まさか、1度も町へ降りたことがないのに屋台での買い物も心得があるだなんて……!」
「やっぱり、セレスティーヌ様が甦られて……!」
……うーん。
これ、完全に僕=やべー女だったママンって認識だわ……なまじさっきの必殺技でやべー出力見せつけちゃったせいで……。
ほんと、ジュリオン様ボディの素質ってばやばいね。
まぁ見た目が見た目だしなぁ……母親と息子は似るって言うし。
そんでやべー女がやべーことして不慮の事故で亡くなって発狂してたら息子が母親の服着るとか……ああうん、スイッチ入れちゃったの僕だわ。
「ジュリオン様。馬車が間もなく到着致します」
「御者、町の情報をお伝えする者は、いずれもセレスティーヌ様と共にこの家へ来た者のみ。どうかご安心を」
「ああ、感謝する」
「ジュリオン様……!」
あ、もらい泣きが数人に拡大してる……なにこれ怖い。
「じゃ、行きましょっかジュリオンさま!」
「は?」
「え?」
「ん?」
「………………………………」
「………………………………?」
こてんと首をかしげるエミリーちゃん……さすがはメインヒロインの一角、破壊力が高いな……とはいえ。
「お前は、留守番だぞ……?」
「………………………………」
体の傾きが深くなるエミリーちゃん。
「……? なんでですかぁ?」
あ、さりげなく荷物持ってる……まさか本当に数日がかりのはじめてのだんじょんに着いていくつもりだったの……?
「いや、助かった。礼を言う」
魔法攻撃ぶっ放すのと軽い講義以外はなんにもしてないけど、こういうのは「気持ち」に対して言うものだって知識がある。
あれだ、「助けてくれようとしてありがとう」って感じでの感謝。
「なんと……なんと心優しき御方……!!」
「おじいちゃん、鼻水すごいですよぉ?」
「これは失礼。……チーンッ!」
「あ゛っ……私のお気にのハンカチ……あぅぅ……」
結局。
とりあえずあのエビルジャッジメント――必殺技は、生命の危険がある場合を除き、封印。
いろんな魔法攻撃を試して……最終的には普段エミリーちゃんがやらかすたびに最小出力でちくちくいじめてた、ジュリオン様のレパートリー豊富な魔法を普通に出せば、初級ダンジョンの低層なら戦闘力では問題ないという判定。
ボケたとはいえ元騎士団長お墨付きだ、「最低でも5年目の兵士並みの練度でございまする」とか言ってたから、ボケとよいしょ分をマイナスして「入隊後5ヶ月目の新兵程度」にはなってるはず。
そして当面は魔力が切れる心配はなし、ゆえにただただ習熟と経験だと。
で、役に立ったのは座学のほう――っていっても1時間も教わってないんだけども。
一般市民としてダンジョンに潜る際の冒険者登録とか、平民への紛れ方だとか――いわゆる冒険者としての一般常識こそが、最も知りたかった部分だ。
あとはダンジョンの基本構造とかトラップ――罠の種類とか見分け方とかを簡単に。
細かいところは……初心者同士でパーティーをなんとか組んだ先で実地で覚えるしかないな。
なにしろ痴呆の進んだじいさんの言うことだ、話半分、かつ半世紀前の常識って思っとかないとね。
ちなみに。
初心者ダンジョンで出現する罠の種類は、だいたいエミリーちゃんからのドジっ子スキル攻撃で全部経験していて、その対策も当然ながら知り尽くしているし、そもそも反射で対応できるようになっている。
唯一の回避不可能かつ死亡判定になった疑惑のある冷水くらいかな、気をつけるべきなの。
……エミリーちゃん……君、きっとダンジョン関係のお仕事したら――いやダメだ、ドジっ子スキル攻撃で数多の冒険者を屠りかねない。
エミリーちゃんが無自覚大量殺人鬼になってしまう。
それはいけない。
この子は癒やしであるべきなんだ。
やっば君は学園へ僕の付き人として入って主人公くんに見初められるまでステイしててね。
大丈夫大丈夫、主人公くんはこの世界でいちばん強くなれるから冷水トラップ程度じゃ死なないんだ、好きなだけドジっ子してくれたまえ。
まぁストーリー進むとドジっ子スキルの真の価値が出てくるし、緩和もできるようになってくるから我慢だよステイだよエミリーちゃん。
「町までの馬車は、途中までがよろしいでしょう」
「ああ、うちの馬車には紋章も刻まれているし、そもそも上質すぎて目立つからな」
「ああ……! 誰にも教わらなんだのにこの智力! 流石セレスティーヌ様の子で在らせられる! ……はっ! まさか、蔵書庫へ毎日のように通われていたのは、全てがこのために……!」
……僕の反応にいちいちのこれがなければなぁ……毎回泣いて鼻水出してるし……誰かケアマネージャーさん呼んだげて?
「ほへー、ジュリオンさまぁ、かしこかったんですねぇ」
うん、エミリーちゃん……君はかしこいエミリーちゃんのままで居てね。
「以後の道順や最寄りの町の案内は馬車内でさせますゆえ」
「ああ」
「あとは……本当にお一人でよろしいので?」
「うむ、片道数時間を毎日往復するより、泊まりの方が便利だからな」
ちなみにこの世界、僕みたいなちんちくりんでもお金さえ出せば普通に宿にも泊まれるし、冒険者登録もできるしお仕事も受けられるんだってね。
なにしろ孤児でさえ一攫千金を夢見て冒険者になる程度には魔王軍の侵攻がすさまじくって、人手が足りないから基本的に誰でもなれるんだとか。
人の命が軽い世界観だからね……魔王ジュリオン様に、さくっと町がいくつか蹂躙されるのとかあったし。
うん……ごめんね、僕、ミスったらその原因の魔王になっちゃう……なっちゃったら、せめて一瞬で葬ったげるから許して……?
というか、こんなにあっさりと外出どころか外泊許可が出るとは。
いや、楽だったけどさ……やっぱ留守任せるのまずくない?
え?
ゲーム開始の10年後までは屋敷も存在してるから大丈夫?
そりゃそうだけどさぁ……。
「セレスティーヌ様――ジュリオン様。数日分のお召し物や金銭をここに」
「まさか、1度も町へ降りたことがないのに屋台での買い物も心得があるだなんて……!」
「やっぱり、セレスティーヌ様が甦られて……!」
……うーん。
これ、完全に僕=やべー女だったママンって認識だわ……なまじさっきの必殺技でやべー出力見せつけちゃったせいで……。
ほんと、ジュリオン様ボディの素質ってばやばいね。
まぁ見た目が見た目だしなぁ……母親と息子は似るって言うし。
そんでやべー女がやべーことして不慮の事故で亡くなって発狂してたら息子が母親の服着るとか……ああうん、スイッチ入れちゃったの僕だわ。
「ジュリオン様。馬車が間もなく到着致します」
「御者、町の情報をお伝えする者は、いずれもセレスティーヌ様と共にこの家へ来た者のみ。どうかご安心を」
「ああ、感謝する」
「ジュリオン様……!」
あ、もらい泣きが数人に拡大してる……なにこれ怖い。
「じゃ、行きましょっかジュリオンさま!」
「は?」
「え?」
「ん?」
「………………………………」
「………………………………?」
こてんと首をかしげるエミリーちゃん……さすがはメインヒロインの一角、破壊力が高いな……とはいえ。
「お前は、留守番だぞ……?」
「………………………………」
体の傾きが深くなるエミリーちゃん。
「……? なんでですかぁ?」
あ、さりげなく荷物持ってる……まさか本当に数日がかりのはじめてのだんじょんに着いていくつもりだったの……?
26
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる