41 / 147
2章 女装してギルドを堕とした
24話 モブ子ズは良い子たち
しおりを挟む
「……分かりました。謝礼は後日受け取りましょう」
この見た目――いや、ギルドの応接室――しかもすっごく良い調度品とかあるから、これたぶん貴族とかおもてなしする用の場所だし。
さすがにこんな場でフード被ってるわけには行かないからフルオープンで――だから美人受付嬢さんを始め、何人もの職員さんたちに「何%かはともかく、僕が高位貴族の血を引いてる」ってのは確定で知られちゃったんだけどね。
銀に紫の肩まで下ろした髪、赤い目、整いすぎている顔。
服はエミリーちゃんの町用の普段着だけども、あの子も一応は貴族令嬢だ、きっと仕立ては良いもののはず――言葉ひとつや服装の装飾ひとつで身分を表したりするのが貴族だ、貴族相手に慣れている人ならなんとなく察しはつくはず。
だけど、それ以上の情報は不明――だと思う。
大丈夫、この世界なら王族その他のお貴族様のお手つきでのハーフとかクォーターとかわんさかと居るし、まだ大丈夫。
なにしろ魔力さえ発現すれば、少なくとも冒険者として中の上以上の生活が期待できるんだ。
むしろ貴族の男がひとりでうろついたら、目をらんらんと輝かせた淑女たちにそのへんに引っ張り込まれて――とかあるってあのおじいちゃんが言ってた。
大丈夫?
その知識、妄想してたのがボケたことで定着したとかじゃない?
あるいはこの世界を舞台にしたゲームな前世の祭典とかの情報が流れてきてたりしない?
ほら、前世のSF的な展開だとよくあったりするじゃん?
「上位世界は下位世界を観測できるから、上位世界の中での物語として下位世界が取り込まれることがある」って。
――さて。
今朝ここに来るまではふわっとしか決めていなかったけども、こうなったからには「それなりに良さそうな貴族のお嬢様」をやるしかない。
昨日の受付嬢さんにしか知られていなかったはずの、この銀髪が――ギルドの上層部と思しき人たち&下位貴族モブ子ズに見られちゃったからね。
さすがにこの子たちみたいに「ですわ」「ですの」「ですわよ!」とかは無理だけど、普通に社会人としての常識的な範囲の落ち着きと丁寧さで押し通そう。
そもそもが7歳児だ、落ち着いてるだけでそれなりには見られるはずだし。
え?
ジュリオン様の、全てを下に見たあの口調?
あれは……うん、使用人さんたち身分の差が歴然、かつ多少は畏怖を持ってもらわないと反乱とか裏切りとか怖い人たち相手限定だから……。
……1番怖いのが実家とかなぁ……ほら、あの人たち、なんか怖いし……あ、エミリーちゃんとアメリアちゃんは除くけどね。
「その他にもなんなりと――命の対価に見合う要求を」
「わたくしたち、貧乏ではあっても貴族の家柄」
「何をしてでも、可能な限りの伝手を」
うーん……しかし重い。
いやまぁあのエロディーさんのしようとしてたことを聞いちゃってるからしょうがないんだけどね……てかほんとなんであんな場所に魔王ルートの超重要人物が……?
まぁ復活を10年ミスったぽんこつさんだし……あ、これ、もしかして魔王ジュリオン様ルート外れる条件だったりする?
だったらいいなぁ。
検証不可能すぎるイレギュラーだけど。
「……ええと、その前に、ひとつ良いでしょうか。そもそもあれは――」
とと、そもそもなんであのエロディーさんはあんなとこで出現した?
それだけは聞いておきたい。
「……? あの魔族でございますか?」
「ええ……確か、なにかの罠をわたくしが踏んづけてしまいまして……」
「かちっと言いましたわ!」
「転移魔法の罠、だったと思うのですが……」
ふーむ。
確率は低いけども、ひとまずその罠でどっかで眠ってて復活しようとしてたあのえっちサキュバス(薄い本常連)が本当に偶然で、この子たちの前に出ちゃったってわけか。
確かに転移魔法の罠――召喚陣で別の場所に自分orモンスターが転移するのはゲームでもあったし、おかしくはない……のか?
それにしても初心者ダンジョン、しかも階層も低いところで……災難な。
そのLUK値の低さ――まさにイベントを起こすため&犠牲になる担当のモブキャラだね。
や、僕としては生きて話している目の前の子たちをそうは思いたくないけど、世界の設定的にね……。
ちなみにあのエミリーちゃんのLUK値は堂々のマイナス、全キャラ中ぶっちぎり。
……うん、スキルの副作用だから……主人公くんにいずれ取り払ってもらって反転するから……。
「けれど……あの凶悪な魔族をも一撃で屠る魔法など……」
「しっ! ……申し訳ございません、恩人の方に詮索を」
「大変失礼しましたわ。処分は如何様に……はい、寛大さに感謝を」
お、やっぱこの子たち良い子だ。
あと普通に気配りとかもう中学生並み。
すごいね。
これが厳しい世界で育った7歳児だぞ?
やっぱり厳しい世界だと子供からして精神年齢が高いんだなぁ……それこそ、覚えていないながらも前世の精神年齢を引き継いでるはずの、転生チートなはずの僕でも押されるくらいには。
――そうだ、ここはリアルな世界なんだ。
僕は、この世界で――この世界ごとうっかり滅ぼされないよう、まずは僕自身を10年間生き延びさせないといけない。
うん。
今後はダンジョンとか潜るときも、お試しとかでもソロはやめておこう。
臨時パーティーでも護衛着けてでもいいから。
ちょっと窮屈にはなるけども、命には代えられないもんね。
この見た目――いや、ギルドの応接室――しかもすっごく良い調度品とかあるから、これたぶん貴族とかおもてなしする用の場所だし。
さすがにこんな場でフード被ってるわけには行かないからフルオープンで――だから美人受付嬢さんを始め、何人もの職員さんたちに「何%かはともかく、僕が高位貴族の血を引いてる」ってのは確定で知られちゃったんだけどね。
銀に紫の肩まで下ろした髪、赤い目、整いすぎている顔。
服はエミリーちゃんの町用の普段着だけども、あの子も一応は貴族令嬢だ、きっと仕立ては良いもののはず――言葉ひとつや服装の装飾ひとつで身分を表したりするのが貴族だ、貴族相手に慣れている人ならなんとなく察しはつくはず。
だけど、それ以上の情報は不明――だと思う。
大丈夫、この世界なら王族その他のお貴族様のお手つきでのハーフとかクォーターとかわんさかと居るし、まだ大丈夫。
なにしろ魔力さえ発現すれば、少なくとも冒険者として中の上以上の生活が期待できるんだ。
むしろ貴族の男がひとりでうろついたら、目をらんらんと輝かせた淑女たちにそのへんに引っ張り込まれて――とかあるってあのおじいちゃんが言ってた。
大丈夫?
その知識、妄想してたのがボケたことで定着したとかじゃない?
あるいはこの世界を舞台にしたゲームな前世の祭典とかの情報が流れてきてたりしない?
ほら、前世のSF的な展開だとよくあったりするじゃん?
「上位世界は下位世界を観測できるから、上位世界の中での物語として下位世界が取り込まれることがある」って。
――さて。
今朝ここに来るまではふわっとしか決めていなかったけども、こうなったからには「それなりに良さそうな貴族のお嬢様」をやるしかない。
昨日の受付嬢さんにしか知られていなかったはずの、この銀髪が――ギルドの上層部と思しき人たち&下位貴族モブ子ズに見られちゃったからね。
さすがにこの子たちみたいに「ですわ」「ですの」「ですわよ!」とかは無理だけど、普通に社会人としての常識的な範囲の落ち着きと丁寧さで押し通そう。
そもそもが7歳児だ、落ち着いてるだけでそれなりには見られるはずだし。
え?
ジュリオン様の、全てを下に見たあの口調?
あれは……うん、使用人さんたち身分の差が歴然、かつ多少は畏怖を持ってもらわないと反乱とか裏切りとか怖い人たち相手限定だから……。
……1番怖いのが実家とかなぁ……ほら、あの人たち、なんか怖いし……あ、エミリーちゃんとアメリアちゃんは除くけどね。
「その他にもなんなりと――命の対価に見合う要求を」
「わたくしたち、貧乏ではあっても貴族の家柄」
「何をしてでも、可能な限りの伝手を」
うーん……しかし重い。
いやまぁあのエロディーさんのしようとしてたことを聞いちゃってるからしょうがないんだけどね……てかほんとなんであんな場所に魔王ルートの超重要人物が……?
まぁ復活を10年ミスったぽんこつさんだし……あ、これ、もしかして魔王ジュリオン様ルート外れる条件だったりする?
だったらいいなぁ。
検証不可能すぎるイレギュラーだけど。
「……ええと、その前に、ひとつ良いでしょうか。そもそもあれは――」
とと、そもそもなんであのエロディーさんはあんなとこで出現した?
それだけは聞いておきたい。
「……? あの魔族でございますか?」
「ええ……確か、なにかの罠をわたくしが踏んづけてしまいまして……」
「かちっと言いましたわ!」
「転移魔法の罠、だったと思うのですが……」
ふーむ。
確率は低いけども、ひとまずその罠でどっかで眠ってて復活しようとしてたあのえっちサキュバス(薄い本常連)が本当に偶然で、この子たちの前に出ちゃったってわけか。
確かに転移魔法の罠――召喚陣で別の場所に自分orモンスターが転移するのはゲームでもあったし、おかしくはない……のか?
それにしても初心者ダンジョン、しかも階層も低いところで……災難な。
そのLUK値の低さ――まさにイベントを起こすため&犠牲になる担当のモブキャラだね。
や、僕としては生きて話している目の前の子たちをそうは思いたくないけど、世界の設定的にね……。
ちなみにあのエミリーちゃんのLUK値は堂々のマイナス、全キャラ中ぶっちぎり。
……うん、スキルの副作用だから……主人公くんにいずれ取り払ってもらって反転するから……。
「けれど……あの凶悪な魔族をも一撃で屠る魔法など……」
「しっ! ……申し訳ございません、恩人の方に詮索を」
「大変失礼しましたわ。処分は如何様に……はい、寛大さに感謝を」
お、やっぱこの子たち良い子だ。
あと普通に気配りとかもう中学生並み。
すごいね。
これが厳しい世界で育った7歳児だぞ?
やっぱり厳しい世界だと子供からして精神年齢が高いんだなぁ……それこそ、覚えていないながらも前世の精神年齢を引き継いでるはずの、転生チートなはずの僕でも押されるくらいには。
――そうだ、ここはリアルな世界なんだ。
僕は、この世界で――この世界ごとうっかり滅ぼされないよう、まずは僕自身を10年間生き延びさせないといけない。
うん。
今後はダンジョンとか潜るときも、お試しとかでもソロはやめておこう。
臨時パーティーでも護衛着けてでもいいから。
ちょっと窮屈にはなるけども、命には代えられないもんね。
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる