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1章 僕がVRChatでメス堕ちするまで
6話 小動物系ルーチェさん
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「えへへっ……レイさーん♥」
女の子の声がする。
それも、こういう界隈では人気のアニメ声ってのが。
「ルーチェさん、精神的な距離には気をつけようね」
「レイさんなら大丈夫でーす♥」
それは脳をとろかすよう。
僕は侵食されている。
「……僕はね、この前教えたように男だよ? 何回も言ってるよ?」
「知ってまーす♥」
「ワールドで女子の声が聞こえたとたんに全力疾走してきて、周囲を完全無視して女子だけしか目に入らない、ついこないだ君に絡んでた、あの下半身直結な男子と、生物学的には同じだよ? あの『とりま連絡先だけ!!』って鳴いてたあの生物と同じだよ?」
あれはひどかった。
同じ男としても呆れるほどの存在だった。
「男」と書いて「馬鹿」って、すごいね。
性欲だけであれだけ迷惑かけられるんだからね。
「でもー、レイさんはそんな人から私を助けてくれた王子様ですー♥」
あれを追い払うのって、男以前に人間として当然じゃないかな……?
「僕は、女の子アバター使ってるネカマだよ?」
「ねかま?」
「……男なのに女の子アバター使ってる変態のこと」
「それ言ったらVRなチャットのほとんどの人はヘンタイさんでは?」
「確かに、ほぼ変態しか居ないな……?」
やばい、この子の言うことは本当だった。
この世界はとっくに地獄だった。
「あと普通に美男子アバター使ってる友達の子、知ってます!」
美男子アバターを使う女子。
………………………………。
「男女逆だと途端におかしくなくなるのがおかしい……これが男女差別……!」
「だから気にしてないですー♥」
なにこのかわいいいきもの。
………………いやいや落ち着こう僕現実に戻ろう僕、彼女居ない歴=年齢の僕が、こんなに女の子から好き好きアピールされるはずがあるだろうかいやないよって勘違いしてはならないQED。
ふぅ、危なかった……思わず小学生男子と同レベルになるところだった。
まったく、VRなチャットってのは魔境だな!
あれだ、きっとこの子は僕のことを安全な男と認識しているんだ。
リアルだと恋愛対象から外れた男。
女子と友人にはなれるけど恋人にはなれない哀れな存在。
つまりは僕だ。
ああ、僕だったのか君は。
……うん、中学から僕の扱いはそんな感じだったからね……女子からさ……。
なにがあっても安全牌の男子。
だから女子たちから普通に話しかけられてたし、放課後とか休日に誘われて遊びに行ったりもそれなりにしていた。
けども――うん。
浮ついた話はとうとうなかったわけで……やめよう、この記憶は僕を傷つける。
ていうか、うん、ここまで露骨だと正解は2択だ。
いわゆるオタサーの姫か、あるいは愉快犯。
はたまたはボイチェンか女声ってのをマスターしてる男……あ、3択だったわ。
けど……まぁいいや。
かわいければ、もうなんだって。
僕は疲れているんだ。
「それでぇ、今日はどんなワールド来てるんですかぁ?」
「ああうん、緩い初心者歓迎のイベントに来ててね……」
ルーチェさん。
低身長な美少女アバター――つまりはロリアバターを使っている、声と話し方が女子な初心者ユーザー。
いわゆる甘ロリ、ピンクとか赤系統のロリータコスしてる「ザ・かわいい」を体現した子。
ヒカル――じゃない、中村、悪友で悪魔の同級生――から誘われたものの、肝心のヤツはと言えば、実はそこまで入り浸ってるわけじゃないらしい。
多くて2日に1回、少なくて週に1回くらいしかインしてこないんだ。
それに比べて最近の僕は――ああうん分かっているとも、ハマっている。
どハマりと言っても良い。
何しろ、夕食後の21時から0時までの、VRなチャットでイベントが最も多い時間帯はほぼ毎日インしているんだから。
一応で、誘ってくれたよしみで、やつを待ってはいる。
けど、あいつはそんなにインしないんだ。
……なんかバイトとかして勉強追っつかないとか言ってたからな……そのせいか。
あとは親が厳しいんだとか。
おかげで僕は単体で初心者イベントとか出まくってて、その結果としてフレンドさんたちももりもりと増えていく。
……アイツ……自分から誘っといて、いざとなったら「いやー、意外と忙しくてねぇ。あ、ひょっとして俺が居なくって寂しい? キュンキュンする? ならしょうがないなー、あ、ちょ、待っ、冗――」みたいなこと抜かしてくるから、こっちからあえて連絡はしていない。
その代わりにVRなチャットを1人でさまよっていた。
で、いろいろ調べて分かったけど、この世界のメインはチャット――コミュニケーション。
つまりはオンラインゲームとも違うもので、つまるところは現実の延長線。
会話をしたいのなら自分から話しかけに行く。
フレンドを作りたいのなら自分からそういうイベントに行く。
野良――パブリックインスタンスという、良くも悪くも場末に出向いて自分からヒマそうで馬の合いそうな人を探して、ファーストコンタクトを取る。
そういうことができないと、楽しむ以前の問題だ。
いや、会話ゼロで楽しんでる人もそれなりに居る。
パブリックの隅っこで座り込んでたり、ひとりもくもくおえかきとかしてたりするユーザーも多い。
あいさつしたらペン取りに行って空中に書き出す猛者まで居る世界だ。
けど現実であれができたら海外とか行ってもへっちゃらだろうなぁとは思う。
最悪、絵文字みたいな象形文字で意思疎通してくるやばいのとか居たからなぁ……しかもそれがまたはっやいし分かりやすいの。
そういう特技がコミュニケーション苦手から生まれるものなのか、それともそういう楽しみ方なのかは分からない。
僕だって、最初の数時間をあいつに案内されなかったらそのへんでじっと立ち尽くしてるだけの存在になってただろうし。
ぽつんとしてるアバターが居たとして、それが寂しい目をしているのか、それともそれなりに楽しんでいる目をしているのか。
それは――かわいかったり笑えるアバターの見た目に吸い込まれるだけなんだ。
「最近ダンス始めたんです! どうですか?」
「うんうんフルトラねすごいね」
「かわいいですか? お砂糖したいですか? プラベ行きますか?」
「とっ、とにかく! 今始まったとこだから他の人とも話そう? ね?」
「あ、確かにフレンドさんほしいかも! ……こんにちはぁー!」
ふぅ……危なかった、また堕とされそうになった。
それに周囲の空気が怖かったからね、一瞬で消え失せたけどね。
初心者の集会が始まってすぐに輪から外れ、女子の声のするユーザーと話し込んでいた僕だ、そりゃあ睨まれてただろう……8割が美少女アバターだからかわいいだけだけど。
きっと周囲からは――結構見かけるように、男女のカップルで冷やかしに来ている存在に見えたに違いない。
安心して、僕も君たちの仲間だ。
……だけども。
ああちくしょう、かわいいって凶器だし卑怯だな!
そんな僕も美少女アバターだから同罪なんだけど!
あ、そういや僕は入りたてのビジターからニューユーザーってのになった。
何が違うのかというと、少なくとも一見さん――あるいは迷惑行為を楽しむだけの、BANされたら速攻乗り替えるを繰り返すだけの存在でないアピールにはなるとのこと。
あとは「ちょっとだけ慣れてますよ」って宣言してるようなものなのと、何よりも――自分で購入・作成・着せ替えしたアバターになれるってことだ。
これがこのゲームでの目的って人も多いんだとか。
うん。
気持ちは分かる。
「………………………………」
ワールドの壁でオンにした鏡に、オンライン上の僕が映る。
僕好みの美少女アバター――胸のサイズが可変だったからもちろん好きなサイズにしたさ――髪型、目と髪の色、かわいい衣装。
しめて――1万円。
うん、大丈夫。
まだ大丈夫。
ガチャ20連を3回4回って思えばちょい浪費した程度だ、大丈夫。
てかVRなチャットやってるとソシャゲする時間なくなるから実質得してる。
最初サンプルで使ってたのが気に入りすぎたから買って、さらに衣装とか小物を漁って数時間しか使ってないし。
まだ大丈夫だ。
ほら、鏡に映ってる僕は他の誰よりもかわいいだけだから。
この界隈じゃ、よく言うじゃん?
――中身男の方が話しやすいし、彼氏いる心配もなくって、しかも男のツボ押さえてるから女の子よりもかわいいんだってさ。
女の子の声がする。
それも、こういう界隈では人気のアニメ声ってのが。
「ルーチェさん、精神的な距離には気をつけようね」
「レイさんなら大丈夫でーす♥」
それは脳をとろかすよう。
僕は侵食されている。
「……僕はね、この前教えたように男だよ? 何回も言ってるよ?」
「知ってまーす♥」
「ワールドで女子の声が聞こえたとたんに全力疾走してきて、周囲を完全無視して女子だけしか目に入らない、ついこないだ君に絡んでた、あの下半身直結な男子と、生物学的には同じだよ? あの『とりま連絡先だけ!!』って鳴いてたあの生物と同じだよ?」
あれはひどかった。
同じ男としても呆れるほどの存在だった。
「男」と書いて「馬鹿」って、すごいね。
性欲だけであれだけ迷惑かけられるんだからね。
「でもー、レイさんはそんな人から私を助けてくれた王子様ですー♥」
あれを追い払うのって、男以前に人間として当然じゃないかな……?
「僕は、女の子アバター使ってるネカマだよ?」
「ねかま?」
「……男なのに女の子アバター使ってる変態のこと」
「それ言ったらVRなチャットのほとんどの人はヘンタイさんでは?」
「確かに、ほぼ変態しか居ないな……?」
やばい、この子の言うことは本当だった。
この世界はとっくに地獄だった。
「あと普通に美男子アバター使ってる友達の子、知ってます!」
美男子アバターを使う女子。
………………………………。
「男女逆だと途端におかしくなくなるのがおかしい……これが男女差別……!」
「だから気にしてないですー♥」
なにこのかわいいいきもの。
………………いやいや落ち着こう僕現実に戻ろう僕、彼女居ない歴=年齢の僕が、こんなに女の子から好き好きアピールされるはずがあるだろうかいやないよって勘違いしてはならないQED。
ふぅ、危なかった……思わず小学生男子と同レベルになるところだった。
まったく、VRなチャットってのは魔境だな!
あれだ、きっとこの子は僕のことを安全な男と認識しているんだ。
リアルだと恋愛対象から外れた男。
女子と友人にはなれるけど恋人にはなれない哀れな存在。
つまりは僕だ。
ああ、僕だったのか君は。
……うん、中学から僕の扱いはそんな感じだったからね……女子からさ……。
なにがあっても安全牌の男子。
だから女子たちから普通に話しかけられてたし、放課後とか休日に誘われて遊びに行ったりもそれなりにしていた。
けども――うん。
浮ついた話はとうとうなかったわけで……やめよう、この記憶は僕を傷つける。
ていうか、うん、ここまで露骨だと正解は2択だ。
いわゆるオタサーの姫か、あるいは愉快犯。
はたまたはボイチェンか女声ってのをマスターしてる男……あ、3択だったわ。
けど……まぁいいや。
かわいければ、もうなんだって。
僕は疲れているんだ。
「それでぇ、今日はどんなワールド来てるんですかぁ?」
「ああうん、緩い初心者歓迎のイベントに来ててね……」
ルーチェさん。
低身長な美少女アバター――つまりはロリアバターを使っている、声と話し方が女子な初心者ユーザー。
いわゆる甘ロリ、ピンクとか赤系統のロリータコスしてる「ザ・かわいい」を体現した子。
ヒカル――じゃない、中村、悪友で悪魔の同級生――から誘われたものの、肝心のヤツはと言えば、実はそこまで入り浸ってるわけじゃないらしい。
多くて2日に1回、少なくて週に1回くらいしかインしてこないんだ。
それに比べて最近の僕は――ああうん分かっているとも、ハマっている。
どハマりと言っても良い。
何しろ、夕食後の21時から0時までの、VRなチャットでイベントが最も多い時間帯はほぼ毎日インしているんだから。
一応で、誘ってくれたよしみで、やつを待ってはいる。
けど、あいつはそんなにインしないんだ。
……なんかバイトとかして勉強追っつかないとか言ってたからな……そのせいか。
あとは親が厳しいんだとか。
おかげで僕は単体で初心者イベントとか出まくってて、その結果としてフレンドさんたちももりもりと増えていく。
……アイツ……自分から誘っといて、いざとなったら「いやー、意外と忙しくてねぇ。あ、ひょっとして俺が居なくって寂しい? キュンキュンする? ならしょうがないなー、あ、ちょ、待っ、冗――」みたいなこと抜かしてくるから、こっちからあえて連絡はしていない。
その代わりにVRなチャットを1人でさまよっていた。
で、いろいろ調べて分かったけど、この世界のメインはチャット――コミュニケーション。
つまりはオンラインゲームとも違うもので、つまるところは現実の延長線。
会話をしたいのなら自分から話しかけに行く。
フレンドを作りたいのなら自分からそういうイベントに行く。
野良――パブリックインスタンスという、良くも悪くも場末に出向いて自分からヒマそうで馬の合いそうな人を探して、ファーストコンタクトを取る。
そういうことができないと、楽しむ以前の問題だ。
いや、会話ゼロで楽しんでる人もそれなりに居る。
パブリックの隅っこで座り込んでたり、ひとりもくもくおえかきとかしてたりするユーザーも多い。
あいさつしたらペン取りに行って空中に書き出す猛者まで居る世界だ。
けど現実であれができたら海外とか行ってもへっちゃらだろうなぁとは思う。
最悪、絵文字みたいな象形文字で意思疎通してくるやばいのとか居たからなぁ……しかもそれがまたはっやいし分かりやすいの。
そういう特技がコミュニケーション苦手から生まれるものなのか、それともそういう楽しみ方なのかは分からない。
僕だって、最初の数時間をあいつに案内されなかったらそのへんでじっと立ち尽くしてるだけの存在になってただろうし。
ぽつんとしてるアバターが居たとして、それが寂しい目をしているのか、それともそれなりに楽しんでいる目をしているのか。
それは――かわいかったり笑えるアバターの見た目に吸い込まれるだけなんだ。
「最近ダンス始めたんです! どうですか?」
「うんうんフルトラねすごいね」
「かわいいですか? お砂糖したいですか? プラベ行きますか?」
「とっ、とにかく! 今始まったとこだから他の人とも話そう? ね?」
「あ、確かにフレンドさんほしいかも! ……こんにちはぁー!」
ふぅ……危なかった、また堕とされそうになった。
それに周囲の空気が怖かったからね、一瞬で消え失せたけどね。
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きっと周囲からは――結構見かけるように、男女のカップルで冷やかしに来ている存在に見えたに違いない。
安心して、僕も君たちの仲間だ。
……だけども。
ああちくしょう、かわいいって凶器だし卑怯だな!
そんな僕も美少女アバターだから同罪なんだけど!
あ、そういや僕は入りたてのビジターからニューユーザーってのになった。
何が違うのかというと、少なくとも一見さん――あるいは迷惑行為を楽しむだけの、BANされたら速攻乗り替えるを繰り返すだけの存在でないアピールにはなるとのこと。
あとは「ちょっとだけ慣れてますよ」って宣言してるようなものなのと、何よりも――自分で購入・作成・着せ替えしたアバターになれるってことだ。
これがこのゲームでの目的って人も多いんだとか。
うん。
気持ちは分かる。
「………………………………」
ワールドの壁でオンにした鏡に、オンライン上の僕が映る。
僕好みの美少女アバター――胸のサイズが可変だったからもちろん好きなサイズにしたさ――髪型、目と髪の色、かわいい衣装。
しめて――1万円。
うん、大丈夫。
まだ大丈夫。
ガチャ20連を3回4回って思えばちょい浪費した程度だ、大丈夫。
てかVRなチャットやってるとソシャゲする時間なくなるから実質得してる。
最初サンプルで使ってたのが気に入りすぎたから買って、さらに衣装とか小物を漁って数時間しか使ってないし。
まだ大丈夫だ。
ほら、鏡に映ってる僕は他の誰よりもかわいいだけだから。
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