元Sランク冒険者のお爺さんの残した遺品は、物凄い宝の詰まった指輪でした。

チョコクッキー

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第一章 始まりの数々

初のNo.1

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初めての授業後、教室に戻り席に付くとキャンドラが手を差し出す。

「何か?」
ユウマが?顔で尋ねると

「カードを貸して下さらないかしら!!」
かなりご立腹のようだ。

まだユウマ自身も確認してないが、胸元からカードを取り出すと手に取り渡し窓越しから外を見てる。

ガタッ!!

ん?? と隣の席を見るとキャンドラが立ち上がり、カードを見つめワナワナと震えている。

アイリスも駆け付け
「お嬢様、いかがなされました?」
とかなり心配顔だ。そして、キャンドラの持つカードを一瞥するとユウマを睨んできた。

…俺のカードが何だってんだ?まだ、1授業終わったばかりだろうが…

「ほら!観終わったら返してくれます?私もまだ確認してませんので…。ってか、変わりないでしょ?まだ、1授業しか受けてないし…。」
横着に手を差し出したユウマの顔の前をエア・カッターが過ぎてゆく。

「あぶっ…ねぇー」
窓は、キレイに切れ割れているが、散乱は、していない。

アルミスの放った魔法だった。ユックリと舞う髪の断片が危なさを物語たる。

ガタッとユウマも立ち上がり抗議に出ようと顔を見るとキャンドラは、涙を流してプルプル震えており、アルミスも、涙顔の真っ赤な表情でユウマを睨んだ後、キャンドラを支え教室を出ていく。

…えっ?俺が泣かしたのか…。

ただ、呆然と立ち尽くすしかない。

ボゥーと表情の抜けた俺に

「閉まっときな…。ユウマちゃん。しばらく見せない方がいい…。」
いつも明るいアランさえ、カードを俺の手のひらに置くと黙って席に戻って行った。

何がある?このカードに…。そっと目をやる。

《何だ、この数値・表記…まだ1時間目が終わったばかりだぞ…。》

俺は、胸元にカードをしまうと急いで教職員室まで走った。

ガラ!!
「ルイザ先生!いらっしゃいませんか?」

「何だね?君は、ノックも無しで!」
男性教師の問いに答えることなく

「ルイザ先生は??」
ゆっくりと近くの教員に近付いてゆく。

正直、どんな顔をしていたか自分でもわからない。怒り?動揺?焦り?いろんな感情が爆発しそうだった。

「ルイザ先生は、学園長室に行かれました。」
女の先生が教えてくれた。

頭を下げると直ぐに学園長室に向かう。
地図は、頭に入っている。迷う事は無い。

豪華な扉の前まで来ると深呼吸1回、

コン!コン!
「失礼いたします。」

扉を開け目に映ったのは、怒りに任せる男性教師二人と戸惑いを隠せず見ているルイザ先生…。

そして、後ろ手に手を組み、無言で外を見ているピーターユリウス学園長だ。

静かに扉を締めるとルイザ先生の所に歩み寄る。

「先生…。これは、一体…」
カードを差し出し見せる。

ルイザ先生は、顔を背けると学園長を見つめている。

「何だね?君は!」
興奮してる男性教師がカードを取り見つめる。

「君か!!ユウマ・フォン・ラゲット!!こんな物!!」

男性教師は、成績表にカードを差し込み操作を始めた。

「無駄だよ。アーサー君。私の承認した成績を私以外の誰が承認して書き換えられると思うのだね?」
振り向き笑いながら席に座ると

「皆んな、席を外してくれないかな?私は、ユウマ・フォン・ラゲット君に話が有るのだが?


両手を組み、俺を見つめている。入学式と同じ覇気を纏い。

「外で待ってます。お話は、後程に…。」
ルイザ先生が出ていくとアーサー先生とか云う教師ともう一人の教師も出ていく。

学園長は、扉をロックして部屋に防音結界を張った。

「さて、久しぶりと言っておこうか…。それで、そんな顔してどうしたんだい?心臓もかなり乱れてるね?」
学園長は、こう切り出した。

確かに自分がどんな顔をしてるのか想像もできない…。でも、話から現状を作り出した原因は、突き止めた。

「あのカードは、一体どう言うつもりで評価されたのですか?」
冷静に、落ち着いて尋ねる。

「授業を観察し私の判断で評価したつもりだが?」

「まだ、入学初日…しかも1時間目の授業の評価だけでアレですか?」
少しイライラしてるのが自分でもわかる。

「スピーチで話したとおり、やる気のある生徒を尊重し、持って生まれた才能を活かし努力を惜しまなければ幾らでも伸びる環境にあると。君は、卒業するまでその力を隠すつもりかい?」

「バレなければその方がいい。そんなの決まってるでしょ。友達を凹ますこともなければ泣かせることもない。」
手に力が入る。

「2年…または、それ以上隠し事する他人が友達なのかい?私は、そんなの人を友達とは言わないと思うけどね。増して罪を重ねながらなんて。」
笑いながら返してくる。

…確かに言っていることは、正しいのかもしれない。だけど、秘密の一つ、二つ隠したところで悪いわけではない…

「それは、これからの付き合い方や接し方で何ともなります。秘密を明かさずにだって…。」

「実力を隠され、追い続ける友を君は影で笑いながら付き合うのかい?」
学園長の目が鋭くなる。更に続ける。

「ここは、努力すれば必ず成長出来る場所だとと言ったはずだ。努力する相手が手を抜いていたんじゃ成長は出来ないけどね。」
スクッと立ち上がると近づいてくる。

「君を初めて見たとき、いや君に見つかった時に天賦の才能を感じたよ。ガロン様のお孫さんではなく一人の人間としてね」
ガシッと肩を掴まれる。

「何時まで隠しとおすつもりなんだい?いい加減、実力を見せたらどうだい!」

この人は、何を言ってるんだ…。何時、俺を知った?お祖父様の葬儀か?いや、もっと過去に…

「あっ!転移魔法でお祖父様に会いに来た人!」
思い出した、隠密の結界を張り転移でお祖父様と絵本を読んでる時に来た人…。あの時
「お前にこれが見えるのか?」
お祖父様が聞いてきた!!

「あぁ。思い出したか?あの時、第一騎士団の特殊部隊に所属してた。2歳の子供に見つかったんだ、かなりショックを受けたよ。あはは」
学園長は、懐かしそうに笑う。

「アランもそうなんですか?出て来いよ。居るんだろ?」
振り向かずに話す。

「バレバレですか…。流石、ナンバーズ。」
ニコニコして学園長に膝をつく。
「見つかりました。いや、初めから気づかれてました。」

「構わないよ。そうなると思って送り込んだんだから…。」












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