元Sランク冒険者のお爺さんの残した遺品は、物凄い宝の詰まった指輪でした。

チョコクッキー

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第一章 始まりの数々

それぞれの事情

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「それで、どうして俺に肩入れをするのですか?どう考えても周りの反感を買う事しか理解できません。」
ユウマは、女の子を泣かせてしまったことに怒りで狂いそうだった。それが、学園長の差し金だとしても許せない。

「…………」
答えない学園長。

「分かりました。モッフ!悪いけどお願いね。」
ユウマは、囁く。

「了解!主。でも、昨日も言いましたけど構わないのですか?」
モッフが問う。

「ある程度はね。綺麗な花にも多少の汚い物がついてるだ。人間だって綺麗なだけの人なんていないさ。僕を含めてね。」
ユウマは、少し悲しそうにつぶやく。

パッとモッフが学園長の肩に乗っている。半妖精なので気配も重さもない。

そして、学園長に動く気配すらない。

「フムフム。なるほどね。主を利用してアランを育てる。そして、主には1番を守ったまま第一騎士団に入ってもらい旗頭として活躍、ガロン様の孫としての名声と実力でラインハルト様を失脚させる。それが狙いです。」
そう答えるとパッと消え

アランの肩に姿を現す。

「2年間でどうにか、主を追い抜き、真の一位になる。今は学園長の子飼いでも肉を喰いちぎる野犬になる。その為にはどんな手段も厭わない考えです。」
パッと消えユウマの肩に姿を現す。

「いかがするです?本気出すですか?手を抜くですか?今、試されてるですよん。」
モッフは、ユウマに問う。

「皆んな、それぞれ思惑があって自分の都合の良いようにするわけですか…。たった、2年軽く流そうとした自分の不始末です。自分で粉々にぶち壊します。」

そう言うとユウマは、ドアを開き教室へと歩いていく。その背中からは、オーラらしき物が見えたとアランは、後に語っていた。

教室の席に戻ると伏しているキャンドラが目に入る。…ま~1時間目からあんな事になればショックだろさ…ユウマは、外を見て考えてる。

何手先まで読んでいるのか?誰にもわからない。産まれ持って身に付けた才能とお祖父様から頂いたレアアイテムの数々…。中には、金・銀・財宝、各国の通貨までギッシリと詰まっている。

「ユウマ…貴方は、実力を隠しているのですか?…」
伏せながら、唐突に聞いてくるキャンドラ。

「うん。悪いことしたね。泣かせるつもりは、無かったんだ。これだけは、誤っておくよ。」
ユウマは、真剣に答える。

「何故?手を抜くのですか?」

「僕は、2年間楽しく過ごせればいいと思っていたんだ。本気を出せば、疎まれ嫌われる。そうならない様に適当に標準値で物事を進める。争いの無い世界。勿論、刺激もないさ。でも、卒業すれば山のように楽しい事が僕を待っている。本気でぶつかり合える魔獣さぇ…。」
ユウマは、そこまでで話を終えた。

…これ以上必要ない。ここまで話せば理解してくれるだろ…

「ユウマ様…」
キャンドラが声に出す。

「ん?」
振り返るユウマの頬に熱が帯びる。そして紅葉マークが浮き上がる。

バチーーーン!!クラス中に響く音!
高速ビンタ。

反応できなかった…………。

「あはは。」
ユウマは、何故か嬉しかった。予想を上回る嫌、予想すらできなかった。

「打ち所が悪かったかしら?」
キャンドラが口を覆う。

「お嬢様!なんて事を…」
アルミスが飛んでくる。

「キャンドラ嬢!カードを見るといい…。多分、ポイントが増えてるはずさ!」
ユウマは、そう言うと又もや頬づえして外を観る。

キャンドラは、言われた通りカードを確認して喜ぶ。
所持ポイントが1000点増えていた。ランクもSに上がっている。
ただ、ビンタしただけなのに…涙を潤ませる。

…泣き虫な娘だ。この先が思いやられるよ…
ユウマは、ニコリとしていた。自分のカードが1000点引かれていることを理解しているかのように…

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