元平民の公爵令嬢が王子の溺愛にあってます?!

水無月 月

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3.儀式

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1人海で立っている。
何もしないでただただ立っている。

そんな夢から目を覚ますと、


やはり昨日のことは夢じゃなかったと確定させる天井が目に入る。


体を起こして、
ラピスに起きたら押してくださいと言われた紐を押すと……。


「おはようございます。お嬢様。」

「……おはよ?」


なんで??と思っていると
ラピスは不思議そうにしていたのが面白かったのか少し笑って説明してくれた。


「そのボタンに着いている宝石によって通信機となっているのです。

基本は私と執事長のハリスさんが通信石を持っています。」

「なるほどね。でも、音が鳴らないよ?」

「音が鳴らないのに分かるのは振動によって分かるようになっているからです。」



あ~振動か。

確かに音で知らせるとなると不便なこともありそうだもんね。


「では、お嬢様。
朝のご支度を致しますね。」




……貴族様の朝は時間が凄くかかるらしい。

起きて、

入浴して、
服選び、
着替え、
髪を結って、
お化粧して、
やっと完成。


平民なんて、
顔洗って、
服着替えて、
ちょっと色々整えたら全てが終わるのに……。



朝だけでももう疲れた。


「お嬢様、朝食のご準備が出来ているのでお部屋まで案内致しますね。」

「うん。」


長い廊下を歩いて、突き当たり部屋の前で止まった。


「ここが朝食、晩餐を基本的に行う部屋です。希望によっては庭園のガゼボなどで御用にすることも可能です。

では、旦那様がお待ちですので……。」



え、お父さんがいるのか、、。
部屋に戻りたいなと思っていると目の前の大きな扉が開いた。



「おはよう、フィルシィー。」

「おはようございます。」



お父さんと対面の席に座ると、
朝食が運ばれてきた。


「ありがとうございます。」


持ってきてくれた人にお礼を言う



「今日はフィルシィーの鑑定の儀式に行く。」

「鑑定の儀式とは何ですか?」



そういうと少し驚いたようなやっぱりなと思っているような顔をお父さんはしていた。

鑑定の儀式……。



「やはりしていなかったか、」

「しないといけないものですか?」

「あぁ通常は7歳になった頃に貴族、平民問わずに神殿に行き行われる。

その結果は国民の住民権のために使われている。ただ、君の情報はなかったからな。」

「……そうですか、」



7歳か、
その時はお母さんが働き過ぎて倒れるといいことが頻繁に起きていた時。

ただ忘れていたのか、

覚えていたけど連れて行けなかったのか

私が知られては行けない子だったのか、

そんなことが頭の中によぎる。

そんなこと思ってももうお母さんはいないから遅いのに……。

「鑑定の儀式は自分の宝石を主に鑑定する。
宝力が強いとコントロールが難しい。
宝力が暴走してしまうと、暴走してしまった本人も周りも死んでしまう可能性が高い。

その可能性を無くすために宝力を扱う勉強をする学院がある、鑑定の儀式はその選別も兼ねているから、必ず儀式はしないといけない。」

「……。」

「…神殿は13時まで解放しているからそれまでに準備を済まして広間に来てくれ。」



そういうとお父さんは部屋から出て行った。







「ラピス。」

「はい。」

「鑑定の儀式に行きたくない。」


ラピスは困った顔をした。


「すみません。鑑定は必要なことですから」

「なんで?今まで14歳になるまでしてなかったのに……。、」

「お嬢様は公爵家の一員になりました。
平民は力が弱い人が多いから鑑定をしない人も本当に極わずかですがいます。

ですが、貴族の方は力が強いので鑑定は義務になっているのです……。」

「……わかっ、た。」



私は貴族らしい綺麗な色の髪も
宝石が宿っている瞳も持っていない。

なんなら宝石を宿していない。

そんな私が鑑定の儀式に行くなんて宝力がないのをちゃんと認めないといけないということ。


ずっと目を逸らしてきた。

いつか、いつかきっと私にも……って思っていたのに。



「お嬢様…。旦那様が広間でお待ちです。」

「うん、ありがとう。」



広間に行くと朝食の時とはちょっと違った服を着ていた。



「……では、行くか」



神殿までは馬車を使うらしい。
馬車に乗ったのは今が初めてだけど、
少し慣れなくて気分が悪い。



「あの、儀式はどんなことをするのですか?」

「……フィルシィー。」

「はい?」



真剣な顔で名前を呼ばれる。



「……親子なんだから敬語はやめないか?」

「え?」



もっと重要なことを言われるのかと思ったからなんだか拍子抜けだ。

敬語……。

そういえばあの家に着いてからはずっと敬語だった。、



「……わかった」

「……。」



お父さんの笑った顔を今初めて見た。
昨日であった時から今の今まではずっと無表情が困った顔、とか複雑な顔をしていたから…。



「そ、それで儀式はどんなことするの?」

「あぁ、ただ儀式の間というところにある、鑑定石に手を置くだけだ。」

「え、それだけ??」



なんだ、もっと複雑だったり痛いことするのか思ってた。

手を置くだけか、



「着いたか、」



お父さんがそう言うから
外を見ると家ぐらい、いやそれより大きな真っ白な建物が目の前にあった。



「お待ちしておりました。サファルス公爵家の皆様。」



そういうのは真っ白の服に金の刺繍が入った服を着た女の人だ。



「では、鑑定の儀式のため、儀式の間にご案内致します。」



儀式の間に着くとひとつの何にも書いていないカードを貰った。



「こちらのカードをお持ちのまま、儀式の間中央にある鑑定石の前に手を置いてください。」



そう言われ、私は鑑定石に手を置いた。


その時鑑定石が音を鳴らした。


「申し訳ございません。
何か反発するものを身につけていませんか?
例えば、変化石とか……。」

「……分かりません。」

「ん~では、ずっと身につけているものとかありませんか?」



ずっと身につけているもの……。

そう言われてすぐに思いついたのは

お母さんから絶対に外さず持っていてと言われたネックレス。



「……それなら、これが……。」


そういい、女の神官さんというらしい人にそれを見せた。


「……それ誰に付けられましたか?」

「……お母さんです。」

「そうですか…。なら良かったです。」



どういうことだろう。

そう思いお父さんの方を見る。


「フィルシィー、それは変化石を加工したネックレスだ。

しかも通常の変化石は目の色を変えるだけとか髪の色を変えるだけのものだが。

それは全ての色を変え、醜いものにするものだ。

そしてよく奴隷商が使っている。」



え、なんでそんなものを……。



「と、とにかく!それを外してもらわないと鑑定の儀式ができないんです。」


「わかりました。」



そう言って外すと、



「「え……。」」




「な、なんですか?」


2人は信じられないとでも言う顔をしていた


「……あ、えっと。
では鑑定石の方に……。」


「はい。」


鑑定石に手を置くと

虹色に光った。



「有り得ない……。」


え、有り得ないって。


「……私何かダメなことしました?」

「い、いや、ダメというか。」

「フィルシィー、君は凄いな。」


凄い……?


「…私ちゃんと宝力ありますか?」

「あぁ誰よりも宝力を思っている。
直系王族よりもな。」


え、そっそれって。

私でもわかる。
なんだか大変なことになるって、



「ちょ、ちょっと!
ありえないです 。

そんなにはっきりとした宝石眼を持っているのもですし、全属性持ちだなんて……。

今まで隠し通されてきたのも
宝力暴走しなかったのも……!

信じられない。

それにそんな宝力、初代聖女様以来です!!」



初代聖女様……。

私の力はどうやら私が思っている以上に凄いらしい。


嬉しくてお父さんの方を見ると
真剣な顔で神官さんの方を見てこう言った。



「……神官。
この事は上にはまだ報告しないでくれ。」

「そんなことできません!」

「……サファルス公爵家に逆らうのか?」

「……い、いえ。ですが……!」

「この事は時期が来たら私の方から国王に申し上げる。」

「……か、かしこまりました。」




それから
色々手続きをして家に戻った。

家に戻る時はあのお母さんのネックレスをつけて。
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