勇者の処分いたします

はにわ

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キラからの『勇者』の剥奪

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「お取込み中大変申し訳ありませんでした」


部屋に入ってきたのはローブを身に纏った二人組だった。
一人は30代前半ほどの痩せ顔の男で、もう一人で20代半ばの、地味だが見ると美人かなと思える女だった。
やはり王都の女は違うなと、こんな状況でありながらもキラの頭にはろくでもないことが一瞬ではあるが過ぎっていた。


「私は王室調査室のシンと申します。同じくこちらはレイ」


男の名乗りとともにレイも頭を下げる。


「我々は王室より遣わされた・・・まぁ、なんと言いますか、なんでも屋みたいなものと言いましょうか?まぁ、それほど大したものではありませんので」


ペコペコと頭を下げながらそう言うシンを見て、何だ大したものじゃないのかとキラは内心ホッとする。



「それで、急ぎの用事とは何でしょうか?こちらもあまり長く時間は取れないのですが」


いいところでお預けをくらっているキラはやや苛立たし気に問う。すぐにでも用件を聞いてしまい、一刻も早く続きがしたいと思っていた。
王室の呼び出しがあれば勇者はただちにそれに応じる義務があるので、本来ならキラの都合などどうでもいいのだが。


「これは失礼しました。用件さえ済ませれば、我々はただちに失礼させていただきますので」


キラの心情を察したようにシンが苦笑いをしながら言った。
余計なことは言わなくて良い!早く用件を言え。キラのイライラは頂点に達しようとしていた。
だが、この後シンが口を開いてから状況は一変する。


「まずはキラ様。貴方は先ほどを持ちまして『勇者』の称号を剥奪されたということをお伝えいたします。こちら既に王室からの許可も取り付けておりまして、決定が覆ることはございません」








「「・・・え?」」


シンの言葉の意味を理解するのに数秒。
キラとリリアナはほぼ同時に声を洩らしていた。


「それに伴いまして『勇者』として貴方に与えられていた特権の全てが廃止となっております。今連泊なされている宿の宿泊費につきましては、本日分までは補助の対象となりますが、明日以降は補助金が出ませんので通常料金での宿泊とな」

「・・・ま、待ってください!」



茫然とするキラ達に構わずシンは続けようとするが、そこでようやく我に返ったキラが待ったをかける。
無表情であるシンに対し、キラは顔面蒼白だった。


「どういうことですか?どうして僕が『勇者』の称号を剥奪されるんですか!?何もミスはしていないはずだ!」


勇者として王室からの依頼はこなしていたし、ダンジョン攻略もそつなくこなしている。勇者としての地位を剥奪されるような失敗はしていないと断言できるキラにとって、これはまさに青天の霹靂であった。


「確かに大きなミスはしていませんが、キラ様は小さな失点が積み重なっておりまして。それが『剥奪』の対象となる20点に達したものですから、このたびの処分となったわけでございます」


詰め寄られたシンはまるで動じず、淡々とそう言った。
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