勇者の処分いたします

はにわ

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しかし回り込まれた!

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エクスがビアンが向けてくる軽蔑の眼差しを受けて絶句した。
流石に図々しい話だと思いつつ、それでも頭のどこかで理解してくれると思っていたエクスの目論みはあっけなく崩れた。


「わかった」


エクスはそれだけ言って、シン達の待つ部屋へ戻ろうとビアンを促した。





ーーーーー


「決心は着かれましたか?」


シンの問いに対し、エクスは黙ったままだった。
しばし部屋に沈黙が流れ、怪訝に思ったシンが再び口を開こうとしたとき


「一つだけ、よろしいでしょうか」


と、エクスが唐突に切り出した。


「はい、なんでしょう」


シンはエクスから不穏な空気を感じ取り、緊張した面持ちで返した。
うっすらと笑みを浮かべているエクスが、これから何かをするとシンの第六感に訴えかけていたのだ。
これまで散々仕事柄勇者と呼ばれる者のトラブルに対処してきた彼の勘は、実に良く当たる。


「これから為すことはあくまで俺の独断です。ビアンには何の関係もありません」


何をする気だ?
レイもビアンも怪訝な顔をする中で、シンだけが何かを感じ取り身構えていた。


「俺がいなくなったからといって、ビアンに危害を加えるようであれば、俺はこの国を滅しなければなりません。そんなことにならぬよう、どうかお願いします」


「エクス!?一体何をするつもりなの!」


ビアンもエクスの異常に気付いたのか、声を張り上げる。エクスはそれには返事をせず、ただうっすらと笑みを浮かべるだけだった。



「それでは俺はこれで失礼いたします。ラダームに危機が訪れるとき、再び姿を現しましょう」


かつてラダーム城を去るときと同じような言葉を放ち、エクスはまた姿を消そうとしている!
シンはここでエクスが何をしようとしているのか気付いた。


「逃がしませんよ!」


シンが叫ぶのとエクスが身を翻すのは同時だった。


「ではご機嫌よう」



瞬間、部屋は閃光に包まれた。

部屋から光が消えると、そこにいたはずのエクスの姿は・・・・・・そのままだった。


「・・・えっ?」


エクスは自分の体と周囲をまじまじと見つめる。エクスはこの場から瞬間移動の魔法を使い、この場から姿を消すつもりだったのだ。かつてラダーム城で姿を消したときに使ったものと同じ魔法を使おうとしたのである。
しかし、エクスが逃走に使おうと思った魔法は不思議な力によってかき消された!
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