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私の愛は狂暴です 24
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娼館から戻り、いよいよ旅支度をして出発の準備をほとんど終えたフローラは、最後にこれまで自分が過ごしてきた部屋を見回した。
下手な皇族の部屋よりも贅を凝らした調度品・・・不必要なほど広いスペース・・・壁に掛けてある、高名だがさして興味もない画家の描いた絵。
「今日で見納めね」
聖女である自分のために用意された部屋であり、司教レウスですらここまでの贅沢は望めない。
大きな声では言えないが、酒を望めばグラス一杯で騎士の半年分の収入が吹っ飛ぶほど高額なワインが飲めるし、肉も魚も望むだけ食べることが出来る。
誰もが羨む地位にフローラが就いたわけだが、これからそれら全てを捨てることに対して、彼女は全く未練など感じていなかった。
フローラにとって聖女の立場などシュウを手に入れるための便利なツール程度にしか考えておらず、予想外な流れなれど目的を果たすために聖女の肩書が不要となった今となっては、もう捨てることに何の躊躇いも感じていない。
そして、聖女としての権利だけでなく、人々が彼女に託した期待までも捨てることに躊躇はしなかった。
聖女はあくまで聖神教会の象徴。自分がいなくなっても代わりはまた選ばれる・・・その程度にしか考えていない。
「すみませんね。私はあくまでシュウ様との愛に生きるのです」
フローラは座禅を組み、聖女として最後の仕事に取り掛かる。
シュウに教わった遠方の国の僧侶の祈りの方法だという特殊な座り方であるが、精神を集中するのに適しているとシュウが言っていたそれをフローラは真似するようになった。
「・・・」
目を瞑り、気を高める。
フローラはこれから自分の身に刻まれた聖神教会の紋章・・・『聖紋』を破壊する。フローラは自らを『破紋』するのである。
聖神教会の正式な教徒であるという印・・・身分証であるとともに、聖神からの加護を得られると言われている『聖紋』。
尊いものだけに、それを破壊することは極めて難しい。
出来るとすれば『聖紋』の特性や性質を理解している本人だが、当然、フローラにそれを刻んだのはここにはいない別の人間だ。
普通なら壊せない。だからといってそのままにしておくわけにはいかなかった。
『聖紋』が体にある限り、どこへ逃げようとも聖神教会は『聖紋』から出てくる聖力を辿り、的確に場所を把握し追って来てしまうのだ。
故にフローラは自らの聖力でもって、力づくで自分の『聖紋』を破壊した。
「・・・っ!!」
それは一瞬だった。
決して壊れないはずの強固な印を結んで刻まれた『聖紋』は、構造を知るそれを刻んだ者以外が消す場合は相当な力技となる。
だがそれをフローラは成し遂げた。
聖女と言えど単身では不可能な所業であるはずの『破紋』実行してみせたのだ。
並々ならぬフローラの聖力の高さと、シュウに仕込まれた鍛錬の賜物である。
聖神教会は二度と出てくることは望めないような天才であり努力家であるフローラという聖女をこの日、彼女の『聖紋』が破壊されたことで失った。
歴史を動かすような大きな出来事が、フローラの部屋でひっそりと起き、そして誰も知らぬうちに終わった。
「・・・『破紋』は無事終わり。これで私はもう聖女ではいられない。後はシュウ様にこれを飲ませるだけですね」
フローラは懐から小さな瓶を取り出してニヤリと笑う。
これがフローラの最後のダメ押しの切り札。『媚薬』である。
かつてレーナにシュウの婚約内定者という立場を取られてしまったフローラは、ここぞというタイミングで決して失敗しないようにと、極秘に媚薬を用意していた。
「シュウ様はエッチですが基本的に理性的な人・・・そんな人を篭絡させるには、やはりこれに頼るしかない・・・」
フローラは今夜勝負に出るつもりだった。
シュウは聖女であるフローラが望んだところで、今度の彼についていくという選択を許さない可能性が高い。
そのために借金漬けにしてシュウを実質フローラの債権奴隷にするつもりではあるが、それでも最後の駄目押しとして彼と既成事実を作ることを計画していた。
「シュウ様はちゃらんぽらんに見えて責任感が強いです。一度シてしまえば無碍にはしないはず!」
こうしてフローラの狂気の計画は実行され、そして酒場でこっそりサーッと媚薬を一服盛られたシュウは、思考のあまり定まらないまま勢いに乗ってフローラを抱いてしまう。
そこにシュウ自身の本当に意思が無かったわけではないが、盛られた媚薬に後押しされたのは間違いない。
シュウはこうしてフローラの張った広大な罠にかかり、まんまと絡められてしまった。
フローラが長年抱いた狂暴な愛が、ついに実ってしまったのである。
下手な皇族の部屋よりも贅を凝らした調度品・・・不必要なほど広いスペース・・・壁に掛けてある、高名だがさして興味もない画家の描いた絵。
「今日で見納めね」
聖女である自分のために用意された部屋であり、司教レウスですらここまでの贅沢は望めない。
大きな声では言えないが、酒を望めばグラス一杯で騎士の半年分の収入が吹っ飛ぶほど高額なワインが飲めるし、肉も魚も望むだけ食べることが出来る。
誰もが羨む地位にフローラが就いたわけだが、これからそれら全てを捨てることに対して、彼女は全く未練など感じていなかった。
フローラにとって聖女の立場などシュウを手に入れるための便利なツール程度にしか考えておらず、予想外な流れなれど目的を果たすために聖女の肩書が不要となった今となっては、もう捨てることに何の躊躇いも感じていない。
そして、聖女としての権利だけでなく、人々が彼女に託した期待までも捨てることに躊躇はしなかった。
聖女はあくまで聖神教会の象徴。自分がいなくなっても代わりはまた選ばれる・・・その程度にしか考えていない。
「すみませんね。私はあくまでシュウ様との愛に生きるのです」
フローラは座禅を組み、聖女として最後の仕事に取り掛かる。
シュウに教わった遠方の国の僧侶の祈りの方法だという特殊な座り方であるが、精神を集中するのに適しているとシュウが言っていたそれをフローラは真似するようになった。
「・・・」
目を瞑り、気を高める。
フローラはこれから自分の身に刻まれた聖神教会の紋章・・・『聖紋』を破壊する。フローラは自らを『破紋』するのである。
聖神教会の正式な教徒であるという印・・・身分証であるとともに、聖神からの加護を得られると言われている『聖紋』。
尊いものだけに、それを破壊することは極めて難しい。
出来るとすれば『聖紋』の特性や性質を理解している本人だが、当然、フローラにそれを刻んだのはここにはいない別の人間だ。
普通なら壊せない。だからといってそのままにしておくわけにはいかなかった。
『聖紋』が体にある限り、どこへ逃げようとも聖神教会は『聖紋』から出てくる聖力を辿り、的確に場所を把握し追って来てしまうのだ。
故にフローラは自らの聖力でもって、力づくで自分の『聖紋』を破壊した。
「・・・っ!!」
それは一瞬だった。
決して壊れないはずの強固な印を結んで刻まれた『聖紋』は、構造を知るそれを刻んだ者以外が消す場合は相当な力技となる。
だがそれをフローラは成し遂げた。
聖女と言えど単身では不可能な所業であるはずの『破紋』実行してみせたのだ。
並々ならぬフローラの聖力の高さと、シュウに仕込まれた鍛錬の賜物である。
聖神教会は二度と出てくることは望めないような天才であり努力家であるフローラという聖女をこの日、彼女の『聖紋』が破壊されたことで失った。
歴史を動かすような大きな出来事が、フローラの部屋でひっそりと起き、そして誰も知らぬうちに終わった。
「・・・『破紋』は無事終わり。これで私はもう聖女ではいられない。後はシュウ様にこれを飲ませるだけですね」
フローラは懐から小さな瓶を取り出してニヤリと笑う。
これがフローラの最後のダメ押しの切り札。『媚薬』である。
かつてレーナにシュウの婚約内定者という立場を取られてしまったフローラは、ここぞというタイミングで決して失敗しないようにと、極秘に媚薬を用意していた。
「シュウ様はエッチですが基本的に理性的な人・・・そんな人を篭絡させるには、やはりこれに頼るしかない・・・」
フローラは今夜勝負に出るつもりだった。
シュウは聖女であるフローラが望んだところで、今度の彼についていくという選択を許さない可能性が高い。
そのために借金漬けにしてシュウを実質フローラの債権奴隷にするつもりではあるが、それでも最後の駄目押しとして彼と既成事実を作ることを計画していた。
「シュウ様はちゃらんぽらんに見えて責任感が強いです。一度シてしまえば無碍にはしないはず!」
こうしてフローラの狂気の計画は実行され、そして酒場でこっそりサーッと媚薬を一服盛られたシュウは、思考のあまり定まらないまま勢いに乗ってフローラを抱いてしまう。
そこにシュウ自身の本当に意思が無かったわけではないが、盛られた媚薬に後押しされたのは間違いない。
シュウはこうしてフローラの張った広大な罠にかかり、まんまと絡められてしまった。
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