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追跡者達 勇者パーティー2
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「えっ?何だって・・・!?」
「はい、レウス司教はただ今来客中でして、お取次ぎすることが出来ません。本日のところはお引き取りいただけますでしょうか?」
シュウ追跡のために帝都を離れるにあたり、報告ついでに路銀でもいくらか無心しようと聖神教会第5支部にやってきたライル達は、レウスに取り次いでもらうことが出来ずに門前払いをくらうことになった。
「あの、こちらは時間は平気ですから待ちますけれども・・・」
路銀を出してもらいたいライルは食い下がるが、応対した神官は首を横に振ってから淡々と述べる。
「申し訳ありませんが、本日はお引き取り下さい」
取り付く島もない状態に、ライルは唖然とした。
勇者であり『光の戦士達』のリーダーでもあるライルが来れば、彼を支援していたレウスでなくとも大体誰であれ優先して時間を融通するのが普通だった。
来客中であれば早々に切り上げ、予定があってもキャンセルするくらいなのだ。それくらい今のライルは大きな影響力を持っていた。
それがまさか最も自分を重宝してくれていたレウスに袖にされることになるとは青天の霹靂であった。
「それだけ大事なお客様が来ているの?」
「・・・明かしてはならぬと厳命されております故、申し訳ありません」
レウスの娘であるレーナが前に出て神官に問うと、神官は少しばかり言いづらそうにしながら答えた。
「一体誰だと言うんだ?この僕以上に大事な来客などと・・・」
「勇者様」
苛立たし気にしているライルの袖を、アイラがクイッと引っ張ってから耳元に顔を寄せて小声で話す。
「腕が立つと思わしき見慣れぬ者が数十名ほど教会周辺に屯しています。都民の装いですが、恐らくは今この教会に訪ねてきている者の警護ではないかと思われます。恐らく相当な大人物・・・それも複数来ています」
「えっ・・・」
アイラに言われてライルはハッとなって周囲を見回した。
確かに意識して見てみれば、明らかにただの都民ではなさそうなオーラを漂わせた人間が老若男女問わずうろついているのだ。
露骨に視線を向けているのはいないが、意識をライル達に向けているのは空気でピリピリと感じる。
もしこの場で神官を押しのけて強引に教会に入ろうとしたものなら、ライル達はアッと言う間に取り囲まれて制圧されてしまうだろう・・・そんな直感があった。
「・・・一体誰だというんだ?皇族のような高貴な人間がお忍びで来ているということか・・・?」
「勇者様。それだけの大人物でしたら、取り次いでもらえないのも無理はありません。引き返しましょう」
「ぐっ・・・仕方がないか・・・」
ライルは仕方がないので神官にレウスに対する言伝だけ頼むと、後ろ髪引かれながらもその場を後にした。
レウスに会って「フローラを奪還してほしい」と正式に依頼される形で路銀を催促したかったが、ただでさえパーティーが不安定な状況にある今、来客している高貴な人間とちょっとしたことでも揉め事を起こすようなことはしたくなかったのだ。
「しかし・・・本当にどんな来客が来ているというのだろう・・・」
ライルはちらりと教会周辺に展開する来客の護衛と思わしき連中に目を向けて呟いた。
「ひっ・・・!}
改めて気を向けてみて気が付いたが、護衛の人数は数十どころか数百に届きそうなほどおり、まるでコウモリのように建物の影などにびっしり潜んでいるのがわかったのだ。
「あのまま神官に強引に迫り続けていたら恐らく危険人物として拘束され、大変なことになってましたね。連れていかれて四肢を拘束されたまま屈強な男達の肉布団として玩具にされていたと思います。勇者様だけが」
アイラの言葉を聞いて、ライルはゴクリと生唾を飲み込んだ。
「・・・いや、なんで僕限定なんだよ!?」
「はい、レウス司教はただ今来客中でして、お取次ぎすることが出来ません。本日のところはお引き取りいただけますでしょうか?」
シュウ追跡のために帝都を離れるにあたり、報告ついでに路銀でもいくらか無心しようと聖神教会第5支部にやってきたライル達は、レウスに取り次いでもらうことが出来ずに門前払いをくらうことになった。
「あの、こちらは時間は平気ですから待ちますけれども・・・」
路銀を出してもらいたいライルは食い下がるが、応対した神官は首を横に振ってから淡々と述べる。
「申し訳ありませんが、本日はお引き取り下さい」
取り付く島もない状態に、ライルは唖然とした。
勇者であり『光の戦士達』のリーダーでもあるライルが来れば、彼を支援していたレウスでなくとも大体誰であれ優先して時間を融通するのが普通だった。
来客中であれば早々に切り上げ、予定があってもキャンセルするくらいなのだ。それくらい今のライルは大きな影響力を持っていた。
それがまさか最も自分を重宝してくれていたレウスに袖にされることになるとは青天の霹靂であった。
「それだけ大事なお客様が来ているの?」
「・・・明かしてはならぬと厳命されております故、申し訳ありません」
レウスの娘であるレーナが前に出て神官に問うと、神官は少しばかり言いづらそうにしながら答えた。
「一体誰だと言うんだ?この僕以上に大事な来客などと・・・」
「勇者様」
苛立たし気にしているライルの袖を、アイラがクイッと引っ張ってから耳元に顔を寄せて小声で話す。
「腕が立つと思わしき見慣れぬ者が数十名ほど教会周辺に屯しています。都民の装いですが、恐らくは今この教会に訪ねてきている者の警護ではないかと思われます。恐らく相当な大人物・・・それも複数来ています」
「えっ・・・」
アイラに言われてライルはハッとなって周囲を見回した。
確かに意識して見てみれば、明らかにただの都民ではなさそうなオーラを漂わせた人間が老若男女問わずうろついているのだ。
露骨に視線を向けているのはいないが、意識をライル達に向けているのは空気でピリピリと感じる。
もしこの場で神官を押しのけて強引に教会に入ろうとしたものなら、ライル達はアッと言う間に取り囲まれて制圧されてしまうだろう・・・そんな直感があった。
「・・・一体誰だというんだ?皇族のような高貴な人間がお忍びで来ているということか・・・?」
「勇者様。それだけの大人物でしたら、取り次いでもらえないのも無理はありません。引き返しましょう」
「ぐっ・・・仕方がないか・・・」
ライルは仕方がないので神官にレウスに対する言伝だけ頼むと、後ろ髪引かれながらもその場を後にした。
レウスに会って「フローラを奪還してほしい」と正式に依頼される形で路銀を催促したかったが、ただでさえパーティーが不安定な状況にある今、来客している高貴な人間とちょっとしたことでも揉め事を起こすようなことはしたくなかったのだ。
「しかし・・・本当にどんな来客が来ているというのだろう・・・」
ライルはちらりと教会周辺に展開する来客の護衛と思わしき連中に目を向けて呟いた。
「ひっ・・・!}
改めて気を向けてみて気が付いたが、護衛の人数は数十どころか数百に届きそうなほどおり、まるでコウモリのように建物の影などにびっしり潜んでいるのがわかったのだ。
「あのまま神官に強引に迫り続けていたら恐らく危険人物として拘束され、大変なことになってましたね。連れていかれて四肢を拘束されたまま屈強な男達の肉布団として玩具にされていたと思います。勇者様だけが」
アイラの言葉を聞いて、ライルはゴクリと生唾を飲み込んだ。
「・・・いや、なんで僕限定なんだよ!?」
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