追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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追跡者達 勇者パーティー3

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「うぅ・・・ひどい目にあった・・・」


マダム・テレサの屋敷を訪れた翌日、契約通り一晩テレサの夫の相手をしたライルは、ゲッソリとやせ細りプルプルと体を震わせながら、改めて屋敷の応接室にやってきた『光の戦士達』の面々の前に姿を現した。
顔は青白く、何やら足は内股で、何となく覇気がない。
メンバーはライルを見ただけで「あっ・・・(察し)」と昨晩何があったのかと理解してしまったほどだ。


「どうでしたか?」


こそっとライルにそう訊ねるアイラ。
無表情だが、どこか興味津々でウキウキしている様子であった。


「す、凄かった・・・危うく新たな世界の扉を開かれて戻って来られなくなりそうで・・・って、そんなことはどうでも良くてっ!!」


どこか恍惚な表情で答えたライルは、途中で何かを振り払うかのようにブンブンと力強く首を横に振り、キッとマダム・テレサを睨みつけた。


「これで約約通りにアイテムを譲って下さるのですよね!」


酷い目にはあったが、当初来た目的を果たせるのだから良いだろうとライルは考え、手を伸ばしてマダム・テレサにアイテムを強請る。


「えぇ、もちろんよ」


マダム・テレサは満足そうに微笑むと、傍に控える従者に目配せをする。
従者は小さな箱を持ってくると、それを丁寧に開封した。


「これは・・・」


箱の中から出てきたのは、羅針盤のようなものだった。


「説明は簡単。この羅針盤の下の収納スペースに探し人の身に着けているものだとか、関係のあるものを入れてその人を見つけたいと強く念ずる・・・そうすることでこの羅針盤は探し人のいる場所を指し示すことが出来るのよ」


「おおっ!」


これでようやくシュウを見つけ出すことが出来る。
屋敷で丸一日を無駄にしてしまったが、その遅れを取り戻せるだけの画期的なアイテムを入手出来たことでライルの苦労もひとしおであった。


「ただし」


しかしそんなホッとした表情を見せたライルに対して、マダム・テレサは意地悪そうな笑みを浮かべて言った。


「探し人に関する物は関連が深ければ深いほどその指し示す方向は正確になるだけど、浅ければ浅くなるほど示す方向は大雑把になるわ。例えば羅針盤に取り込むのが探し人の匂いのするものなら、日が経過して匂いが薄まれば薄まるほどどんどん方向も大雑把になるのよ」


「な、何だって・・・?」


シュウの場所がわかるのであれば、多少の時間の遅れなど問題はないと考えていたライルは、ここに来てまた時間との戦いが訪れてきてしまったことに戦慄した。


「シュウさんの物・・・何かあったか?」


ライルが思わずパーティーメンバーを見やると、皆難しそうな顔をして俯いている。
やがてアイラがはぁと小さく溜め息をついてから言った。


「拠点を探してみなければわかりませんが、シュウは元々私物はほとんど自室に持ち込んでいませんでした。数少ない残ったものも、勇者様が『もう戻ってこない人間のものなんて残しておいても意味はないから、さっさと処分してくれたまえよ』と言ったので、早々に処分してしまいましたし」


「げっ・・・」


こんなことになるなどとは想像していなかったとはいえ、ライルは自分の迂闊さを詰りたくなった。シュウを探すスグレモノが手に入ったかと思えば、それを使うために必要なものが残っていないのだ。
追放したシュウの痕跡をさっさと消そうとライルが考えていたとはいえ、普通は追放されたメンバーの私物をいつまでも放置してはおくまい。それでも拠点をひっくり返せば何かしら見つかるだろうかとライルは考えていたのだが・・・


「シュウ先輩の物か・・・随分前のもので良ければ、あるにはあるっス」


重苦しい雰囲気の中、おずおずと手を上げたのはアリエスだった。


「え?」


唖然とするライルを前に、アリエスは常に携帯している道具袋から何やら小物を取り出した。


「これはシュウ先輩に貰ったお守りで、これはシュウ先輩に貰ったハンカチ。これはシュウ先輩が使っていたタオル・・・えーとそれから・・・」


次から次へと袋から「どうやって収納していたんだ」という疑問が湧いて出てくるくらいシュウゆかりの物を取り出すアリエスを、メンバーの皆が怪訝な目で見ていた。

「お前どれだけシュウのこと好きだったんだよ」と。
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