追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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追跡者達 レウス司教3

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「皆様、本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。このたびは私が至らぬばかりに皆さまにはご迷惑をおかけし、深く失望させてしまったことと存じます。言い訳の言葉もございませぬ故、深く深く謝罪いたします。大変申し訳ございませんでした」


ライルを適当に追い払うように部下に言うと、レウスは部下を部屋から閉め出し、来客達に向かって深々と頭を下げて謝罪をした。
プライドの高いレウスには屈辱も屈辱のことであったが、まずは目の前の相手方を宥めなければならないとレウスは必死だった。四の五の言わずに許しを乞わねばならぬほど、この日集まった来客達は地位と影響力の高い者達ばかりなのだ。


「散々気を持たせておいてこれだ。確かに不愉快ではあったが、まぁ、今日はそれなりの誠意を見せると言われたので来てやった。内容次第では水に流そうじゃないか」


そう言って腕を組んだまま椅子に踏ん反り返っているのは、帝都に屋敷を構える大富豪の男だ。帝国のみならず世界各国で商売をしており、世界一の大商人とされている。
彼は貴族ではないが、いくつもの高位貴族家に融資をしており、実質的な影響力はマダム・リムルとタメを張るほどの大人物である。
フローラとは歳の差が倍以上あり妻も既に四人いるが、聖女を五人目の妻とすれば自分に箔が就くと考え、レウスから持ち掛けられた縁談に前向きであった。

しかし、結果としてフローラには駆け落ちされて破談になったわけだが、強烈な男尊女卑思想である彼は、婚約者候補であったフローラに逃げられたという事実にとにかく腹を立てていた。
その恨みの深さこそレウスに負けず劣らずで、自身も『光と影』に依頼して報復してやろうかと考えていたほどである。

今回レウスが報復する瞬間の影像を公開すると言ったとき、予定していたビジネス絡みの予定を全てキャンセルして参加すると食いついた。


「このために大事な商談も後回しにしてやってきた。これで見せるものがしょうもないものだったら、どういうことになるか・・・」


口調は穏やかだが、富豪は試すような視線をレウスへ向ける。
レウスは「ヒッ」と小さく口から悲鳴を漏らした。


「もちろん、ご満足いただけるものをご覧に入れますとも!それはご心配なく!」


今、招待客の中で口を開いてきたのは富豪だけだったが、言葉を発しないまでも皆似たようなことを考えているかのような空気が漂っていた。
「申し開きは結構。ただ、『良いもの』を見せてくれよ、と」という圧である。

レウスはフローラと婚姻を結ばせる候補者を吟味していた。
唾をつけておいた候補者達にそれっぽい言葉を投げかけておいて気を持たせておいて、散々焦らして待たせておきながら横からシュウにフローラを搔っ攫われたのだ。
シュウに対する恨みはあるが、レウスに対する不満とてこの場にやってきた面々には当然あった。レウスが時間をかけて候補者選定さえしていなければ、今頃は婚約も結ぶことが出来、このようなことになっていなかっただろうに、と。

今日来てくれた招待客には、シュウ達の公開処刑を見せてせめて溜飲を下げてもらわねば、今後レウスの立場が非常に危ういものになる--
それがわかっているからこそ、レウスは笑みを貼り付けてはいるが、内心はヒヤヒヤであった。


「そ、それではあまりお待たせしてもいけませんね。そろそろご覧に入れると致しましょう!」


レウスは場の空気に耐えられなくなったようにそう言い、ちらりと『光と影』のエージェントに視線を投げかける。エージェントはコクリと頷くと、招待客の面々に対して礼をして、口を開いた。


「それでは本日お集まりいただきました皆様に、これより最高のショーをご覧いただこうかと思います」


『光と影』のエージェント、ローブの男はそう言って不気味に笑った。

レウスはこれからシュウ達を殺害する影像を流し、一先ずは招待客を満足させて自身の保身の足掛かりとするはずだった。
だが、結果としてそれは失敗したのである。
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