追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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追跡者達 ルドルフ

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「初めまして。ワタクシはギルド『光と影』に属しておりますジャッカルと申します。ワタクシどもの業務上、顔を見られるわけには参りませんので、本日はこのような恰好のままで失礼します」


ローブを纏った『光と影』のエージェント「ジャッカル」と名乗った男は、恭しく礼をしてから前に出る。


「ジャッカルと言ったか。元聖女達への制裁のリアルタイムの影像を見せてくれるとのことだが、本当に彼らを捕捉しているのかい?教会騎士も依頼を受けた冒険者も、誰一人彼らの行方は掴めていないのであろう?」


来客の一人・・・この帝国ドレークの皇族である第4皇子ルドルフがジャッカルに訊ねた。
長身で端麗な容姿。細い銀縁眼鏡がトレードマークであり、理知的な顔つきをしている彼は、帝国でも高名な魔術師として知られていた。
生まれ持っての才能だけでなく、魔術に対しての探求心も並々ならぬものがあり、魔術師としての腕前は生半可な冒険者よりずっと高い。
容姿と魔術師としての実績、そして人当たりの良い性格もあって国民からの人気は高いが、この場に集まるだけあって歪んだ心の持ち主である。

ルドルフは皇族だけあって、直接的な地位ではこの場にいる誰よりも高い。故にジャッカルの話を遮って話を振ったところで、誰も彼を咎めることはなかった。
ちなみにルドルフはこの悪趣味な催し物があるこの場にはお忍びという形で来ているため、教会の内外には変装した彼の護衛がそこかしこに存在する。


「元聖女が帝都を脱したと聞いたとき、私も自分の抱えている優秀な影を使い直ちに彼らの行方を追わせた。だが、あの狂暴な白馬の瞬足にはまるで追い付かず、すぐに行方を眩ませてしまったのだ。そんな彼らをどう追ったというのだ」


ルドルフはフローラに対してこの集まりの中でも特別強く執着していた一人である。レウスが手を回す前から自分の持てる権限を使い、独自にフローラの行方を追っていたほどであった。

しかし、ホワイトキングの快足によりルドルフの手にある諜報員ですら逃げ切られてしまったと知るや否や、彼は荒れに荒れて部屋中の調度品に八つ当たりし、悔しさのあまり涙すら浮かべていた。

ルドルフは今年18歳になるが、歴代最高の才能を持つと言われる聖女であるフローラとの縁談は、第四皇子という皇位継承権争いにおいて不利な状況をひっくり返す起死回生の一手であった。
美人で慈悲に溢れ、聖女としての力も申し分ないフローラが伴侶となれば、民意が後押しして一気に皇太子への道が近づくだろう・・・そう考えおり、実際レウスもルドルフの立太子も現実的だと判断をし、内内的にフローラとの縁談も決まる直前まで来ていたのだ。

それ故にルドルフの怒りは並々ならぬものがあった。
どうにかして地獄を見せてやりたい、後悔と苦痛に歪むフローラの顔を見たい、そう思っていたところに、レウスがフローラ達に制裁する場を影像にして鑑賞できる場を用意すると言ってきたのだ。


「一体どう追ったというのだ?どうか教えてくれ」


ルドルフは待ち望んでいたフローラが制裁されるという場面を、より最高の気分で味わうためにジャッカルに細かい説明を求めた。
目は血走り、はぁはぁと息を切らして舌なめずりまでしている。

ルドルフは憎きフローラを追い詰める過程を聞き、想像を働かせ存分に気分を高めてからメインディッシュに取り掛かりたいと考えていた。
この場にいる人間は、誰もが少なからず残虐な面があり歪んでいるが、ルドルフは間違いなくこの中でも格別の・・・変態であった。


(表の顔とは裏腹にかなりのサディストだな・・・)


この場に介した一同が、半ば呆れてルドルフに対して同じことを考えていた。
彼が皇位継承権一位ではなくて良かったかもしれないと。


「なるほど・・・そこが気になるお方もおりますか。企業秘密・・・と言いたいところですが、今日は特別にお教えしましょう」


ジャッカルはルドルフに迫られながらも、怖気づくことなく陽気な声でそう答えた。


「そうだ。私に教えてくれ!私に屈辱を味わわせたフローラをどのように追い詰めたのかを。そして見せてくれ!最高のフィナーレを!!」


帝国ドレーク第四皇子ルドルフ。
執念深いサディストにして、今度シュウ達の追跡者の一人となる変態である。
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