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「め、メイド長・・・?」
それまで普通の人間の女性だったはずのメイド長は、みるみる姿を変え、褐色の肌、鋭い爪そして、背中にコウモリのような大きな羽が生えているという姿になっていた。
それを見ていたメイド達は腰を抜かし、ペタリと床に尻餅をついた。
「ふむ、やはり魔人ですか」
シュウが微笑みながら、スッと目を細める。
魔人--
人と似たような容姿をしているが、基本的な構造としては魔族であり、種族によるが鋭利な牙や爪など明らかに人と違う部位を持つ。
メイド長がこれまで見せていた姿は、魔人が人に擬していた仮の姿だったのだ。
「な・・・何故・・・私の変化の術が・・・?」
メイド長の変化は高度なもので、睡眠時のように本人の意識が無いときでも作用し続ける。
実際に彼女は伯爵家に勤めている間、ただの一度も変化を解いたことは無かった。本人の意思無しに変化が解けることは決して無いはずなのだ。
しかし、メイド長は今、その真の姿を露わにしている。
この事に酷くメイド長は困惑した。
「最初に貴方に打ち込んだ一撃に、私の聖魔力を乗せて体内に埋め込んでおいたのですよ。微微たる力ですが、魔族に聖属性の魔力は毒。体の方が拒絶反応を起こして、変化を維持する余裕が無くなったのでしょう」
微笑を浮かべながらのシュウの言葉に、メイド長は最初に彼に打ち込まれたときのことを思い出す。
確かに強烈な一撃だったが、やけにダメージが長く続いた気がしていた。
メイド長は女性だが正体は魔族だ。人間の女よりも遥かに頑丈で、徒手空拳の一撃程度で行動が制限されるほどのダメージを受けることなど、早々あるはずもないはずなのだ。
しかし、それもシュウが聖属性の魔力をメイド長に打ち込んだとなれば納得出来た。
打撃以上に苦痛の種となるものを埋め込まれてしまっていたのだから。
「か弱い女性の姿の貴方のまま、私が一方的に暴力を振るえば、周囲にあらぬ誤解が生じてやりづらくなるのでね。真の姿になっていただくことにしたのです」
メイド長達はシュウ達を襲撃した側だ。
だが、人間の姿のままで応対すれば、シュウが乱心を起こしてメイド長に乱暴したと思われ、屋敷の使用人達を敵に回してしまうことになる。
シュウはその面倒を避け、メイド長を真の魔族の姿に戻させたのだ。
「私の正体のことを知っていたというの・・・!?」
メイド長が憎々し気にシュウを睨みながら問う。
「貴方のように人に擬態している者は帝都でもそこそこ見てきました。だからわかるんですよ。どれだけ上手に変化していたって、匂いでね」
「な・・・!」
メイド長は自身の高度な擬態に対して、最初から見破っていたと言うシュウの物言いに唖然とする。
実際は魔族による高度な変化は、精度の高い検査をしないとわからないのだが、人体のみならず魔物ですら良く調べ上げていたシュウでこそわかるものである。
本当ならシュウは凄いと称賛されるところなのだが、これまでの彼の言動などによるせいか周囲の使用人達は「匂いで分かる?変態くせぇ」などと考えていた。
「翌日以降の身体検査で私に正体がバレるとまずいと思ったから、今夜行動に移したんですよね?そちらのリーダーをしていらした男の方も同じ匂いがしますので、貴方も魔族でしょう。流石にそう簡単に網にかかるとは思ってませんでしたが、今回は話がうまくいって助かりました」
小馬鹿にするように笑うシュウに、メイド長は歯噛みする。
焦っていたのは事実だが、こうも簡単に罠にはまってしまった自分達に腹が立った。
「ほ、本当なのかお前達・・・!」
少し離れていたが、騒ぎを聞いて戻って来たバロウが驚愕の瞳でメイド長達を見ていた。
これまでずっと一緒にいて、自分に尽くして来た彼らが魔族であるとは信じたくなかった。
「バフォメット!ジャヒー!本当にお前達は魔族だったのか!?私達が毒で苦しんでいるのを、原因がわかっていてただ見ていたのか!!?」
バロウが二人の名を呼びながら激昂する。
名を呼ばれた魔族二人は、黙って俯いていた。
「二人とも、結構露骨に魔族っぽい名前だったんですね・・・もう少し考えた偽名を考えても良かったでしょうに」
シュウは少し呆れながら、バロウ達のやり取りを眺めていた。
それまで普通の人間の女性だったはずのメイド長は、みるみる姿を変え、褐色の肌、鋭い爪そして、背中にコウモリのような大きな羽が生えているという姿になっていた。
それを見ていたメイド達は腰を抜かし、ペタリと床に尻餅をついた。
「ふむ、やはり魔人ですか」
シュウが微笑みながら、スッと目を細める。
魔人--
人と似たような容姿をしているが、基本的な構造としては魔族であり、種族によるが鋭利な牙や爪など明らかに人と違う部位を持つ。
メイド長がこれまで見せていた姿は、魔人が人に擬していた仮の姿だったのだ。
「な・・・何故・・・私の変化の術が・・・?」
メイド長の変化は高度なもので、睡眠時のように本人の意識が無いときでも作用し続ける。
実際に彼女は伯爵家に勤めている間、ただの一度も変化を解いたことは無かった。本人の意思無しに変化が解けることは決して無いはずなのだ。
しかし、メイド長は今、その真の姿を露わにしている。
この事に酷くメイド長は困惑した。
「最初に貴方に打ち込んだ一撃に、私の聖魔力を乗せて体内に埋め込んでおいたのですよ。微微たる力ですが、魔族に聖属性の魔力は毒。体の方が拒絶反応を起こして、変化を維持する余裕が無くなったのでしょう」
微笑を浮かべながらのシュウの言葉に、メイド長は最初に彼に打ち込まれたときのことを思い出す。
確かに強烈な一撃だったが、やけにダメージが長く続いた気がしていた。
メイド長は女性だが正体は魔族だ。人間の女よりも遥かに頑丈で、徒手空拳の一撃程度で行動が制限されるほどのダメージを受けることなど、早々あるはずもないはずなのだ。
しかし、それもシュウが聖属性の魔力をメイド長に打ち込んだとなれば納得出来た。
打撃以上に苦痛の種となるものを埋め込まれてしまっていたのだから。
「か弱い女性の姿の貴方のまま、私が一方的に暴力を振るえば、周囲にあらぬ誤解が生じてやりづらくなるのでね。真の姿になっていただくことにしたのです」
メイド長達はシュウ達を襲撃した側だ。
だが、人間の姿のままで応対すれば、シュウが乱心を起こしてメイド長に乱暴したと思われ、屋敷の使用人達を敵に回してしまうことになる。
シュウはその面倒を避け、メイド長を真の魔族の姿に戻させたのだ。
「私の正体のことを知っていたというの・・・!?」
メイド長が憎々し気にシュウを睨みながら問う。
「貴方のように人に擬態している者は帝都でもそこそこ見てきました。だからわかるんですよ。どれだけ上手に変化していたって、匂いでね」
「な・・・!」
メイド長は自身の高度な擬態に対して、最初から見破っていたと言うシュウの物言いに唖然とする。
実際は魔族による高度な変化は、精度の高い検査をしないとわからないのだが、人体のみならず魔物ですら良く調べ上げていたシュウでこそわかるものである。
本当ならシュウは凄いと称賛されるところなのだが、これまでの彼の言動などによるせいか周囲の使用人達は「匂いで分かる?変態くせぇ」などと考えていた。
「翌日以降の身体検査で私に正体がバレるとまずいと思ったから、今夜行動に移したんですよね?そちらのリーダーをしていらした男の方も同じ匂いがしますので、貴方も魔族でしょう。流石にそう簡単に網にかかるとは思ってませんでしたが、今回は話がうまくいって助かりました」
小馬鹿にするように笑うシュウに、メイド長は歯噛みする。
焦っていたのは事実だが、こうも簡単に罠にはまってしまった自分達に腹が立った。
「ほ、本当なのかお前達・・・!」
少し離れていたが、騒ぎを聞いて戻って来たバロウが驚愕の瞳でメイド長達を見ていた。
これまでずっと一緒にいて、自分に尽くして来た彼らが魔族であるとは信じたくなかった。
「バフォメット!ジャヒー!本当にお前達は魔族だったのか!?私達が毒で苦しんでいるのを、原因がわかっていてただ見ていたのか!!?」
バロウが二人の名を呼びながら激昂する。
名を呼ばれた魔族二人は、黙って俯いていた。
「二人とも、結構露骨に魔族っぽい名前だったんですね・・・もう少し考えた偽名を考えても良かったでしょうに」
シュウは少し呆れながら、バロウ達のやり取りを眺めていた。
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