追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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謎のシルエット

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覚悟を決めたシュウとフローラが徹底抗戦の姿勢を見せたのを確認した白金の騎士達は、すぐには行動を起こさず、冷静にシュウたちの観察をしながらジリジリと距離と詰めていた。


「フローラ様には近づくな!負傷した兵から、「肉体強化魔法を使い、怪力でもって抵抗してくる」と報告が上がっている。ためらいなく、一瞬腕をオシャカにしてくるらしい」


「フローラ様には傷一つつけるなとの厳命だ。よって飛び道具と魔法の使用は禁止とする」


「シュウとフローラ様はお互いに離れないようにしているな」


「片方は殺してもよいが、もう片方は生け捕り・・・それも傷をつけるなと。やれやれ、面倒なことだ」


「御者はどうする?一応逃亡の協力者ということになるが」


「極力傷つけたくはないが、特に指示は出ていない。放っておけばいいが、一応注意はしておけ。巻き込まれて何かあったとしても、まぁそのときはそのときだろ」



騎士達は皆、剣を鞘のついたまま構えだした。
万が一にもフローラに刃が掠めたりしないようにするためである。


ザンッ


白金の騎士は一斉に腰を落とし、剣を構えだす。
合図一つで一斉にシュウにかかる陣形だ。
フローラは迎撃のための魔法を展開しようとしているが、白金の騎士達の鉄壁の防御と魔法耐性にかかればそれほど脅威ではない。
結界を張ったところで、結界破りの技を持ち、なおかつ数にものを言わせた騎士たちの突破力には勝てない。
シュウの格闘術とフローラの何かしらの魔法で騎士を何人か足止めしても、打ち漏らした他の騎士がシュウ達を制圧するだろう。

相手が30余りの大人数である上に、逃げ場のない状況に追い込まれた段階で、シュウ達は詰んでいる。
当のシュウ達もわかっているし、白金の騎士達もそれは認識していた。だが、万が一ということもあるので万全を期している。
何があっても絶対にシュウ達は逃がさない。白金の騎士団の執念が、今、彼らに勝利をもたらそうとしていた---


「ぐぁっ!?」


が、白金の騎士達にとってあまりに唐突な出来事があり、状況が一変した。


「どうした!?むっ!」


一人、また一人と騎士達が倒れていく。
よく見ると、騎士達のオリハルコンの鎧に矢が刺さっていた。
ただし、普通の矢ではない。通常の物の三倍ほどの大きさを持つ矢だった。


「な、バカな・・・!」


倒れた者の様子を見た騎士が驚愕に声を上げる。
最強の防御力を持つはずの白金の騎士団専用のオリハルコンの鎧を、矢が見事に貫いていたからである。


「なんだこの矢は!?というより、誰だ射ったのは!」


シュウ達が矢を射った様子はない。
別にいる何者かが白金の騎士団の作戦の妨害をしているのだ。


「あれは・・・!」


一人の騎士が岩場の上に複数の人影がいるのを見つけた。
白金の騎士のシルエットではないうえに、その人影は大きなボウガンを持っていたのだ。
そのシルエットこそが騎士達に攻撃を仕掛けているのは確定的だった。


「打ってきたのはアイツラか!一体何者だ!?」


岩場のシルエットは、さらにボウガンを打ち出していく。
巨大な矢によって射抜かれ、白金の騎士団は元の数から三分の一を減らすことになった。

白金の騎士団は、さすがにシュウへ意識を向けるのを一旦やめ、防御の陣形をとって攻撃に備えだした。


「えっと・・・一体何があったんでしょうか」


突然に白金の騎士団が意味不明に危機的状況に陥っているのを見て、シュウとフローラは拍子抜けしたように唖然としていた。


「・・・とりあえず、今のうちに逃げますか」

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