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臆病者サーラ その8
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「二人で話したい」と、サーラはシュウを飲みに誘った。
シュウは「仲間相手でも過度に女性に対して親密にならない」というレウスからの言いつけに反しないか一瞬悩んだが、「『光の戦士達』の人間関係が円滑になるように努めよ」という命令に添うことにはなるなと考え、サーラの誘いに乗ることにした。
シュウから見ても、サーラは自分以外の『光の戦士達』のメンバーに壁を作っていると感じていたので、ここで彼女と交友を深めるのは必要なことだと思ったのだ。
ここでサーラの誘いを断り、シュウとも壁が出来るようになってしまっては目も当てられない。
サーラの剣は『光の戦士達』の戦力を大きく底上げすると確信し、何があっても手放すようなことがあってはならない。
彼女が『光の戦士達』に定着するかしないかは、ここが正念場ではないかとシュウは考えていた。
とはいえ、仲良くなり過ぎて万が一にも変な空気になってはいけない。
シュウは自分がそうモテるとは考えていないが、それでも男女がサシで飲めば時に間違いが起きることもある。
サーラは魅力的だし、シュウは自分の方のタガが外れてしまう可能性も危惧していた。
そこでシュウは自分の良く知る酒場・・・フローラと良く行くところを選び、そこへサーラを誘導することにした。
冒険者達が集う、どちらかと言えば品が無い客層の占める酒場だが、そこではシュウは顔が利く。
トラブルは起きづらい上に、雰囲気が良いところでなければ男女関係が盛り上がって変な気持ちにもなるまいと考えてのことだった。
「なんだいシュウ。今日は違う女を連れてるじゃないか」
「人聞きの悪い。パーティーの仲間ですよ」
店に入るなり、酒場の女将はいきなりシュウをそう言って揶揄う。
(そう、こういうのでいいんだよ。この品の無い感じ。ドン引きしていい雰囲気になりようがない)
シュウはこれなら変な雰囲気になることもあるまいと、内心ニヤリとしていた。
「おぅ、シュウじゃねぇか。今夜はその女をハメるのか?」
「ウホッ 色っぺぇイイ女だな。シュウ結構胸の大きい女好きだもんな」
「けどよ、禁欲しなきゃいけないんじゃなかったっけ?まぁ、こんな上玉目の前にすりゃ、我慢なんざ出来るわけねーか!大丈夫だよ、ビール一杯で俺達は他言しねぇでやるからよ」
他の客の野次が飛び、シュウは苦笑いを浮かべながら「前言撤回。この場所は流石に品が無さ過ぎる」と、後悔し始める。
気分を悪くしただろうか?とシュウは心配そうにサーラを見やると、サーラは顔を真っ赤にしてプルプルと震えていた。
(まずい、怒らせたか?)
シュウは顔を青くしたが・・・当のサーラは怒っているわけではなかった。
今、サーラは完全にテンパっているのだ。
(いきなり男の人と二人きりで飲みたいと誘うだなんて、もしかしてちょっとはしたなかった!?)
シュウに対して積極的になろうとするあまり、後先考えずに突っ走り過ぎたかと、時間差でサーラは後悔し始めていた。
シュウは「仲間相手でも過度に女性に対して親密にならない」というレウスからの言いつけに反しないか一瞬悩んだが、「『光の戦士達』の人間関係が円滑になるように努めよ」という命令に添うことにはなるなと考え、サーラの誘いに乗ることにした。
シュウから見ても、サーラは自分以外の『光の戦士達』のメンバーに壁を作っていると感じていたので、ここで彼女と交友を深めるのは必要なことだと思ったのだ。
ここでサーラの誘いを断り、シュウとも壁が出来るようになってしまっては目も当てられない。
サーラの剣は『光の戦士達』の戦力を大きく底上げすると確信し、何があっても手放すようなことがあってはならない。
彼女が『光の戦士達』に定着するかしないかは、ここが正念場ではないかとシュウは考えていた。
とはいえ、仲良くなり過ぎて万が一にも変な空気になってはいけない。
シュウは自分がそうモテるとは考えていないが、それでも男女がサシで飲めば時に間違いが起きることもある。
サーラは魅力的だし、シュウは自分の方のタガが外れてしまう可能性も危惧していた。
そこでシュウは自分の良く知る酒場・・・フローラと良く行くところを選び、そこへサーラを誘導することにした。
冒険者達が集う、どちらかと言えば品が無い客層の占める酒場だが、そこではシュウは顔が利く。
トラブルは起きづらい上に、雰囲気が良いところでなければ男女関係が盛り上がって変な気持ちにもなるまいと考えてのことだった。
「なんだいシュウ。今日は違う女を連れてるじゃないか」
「人聞きの悪い。パーティーの仲間ですよ」
店に入るなり、酒場の女将はいきなりシュウをそう言って揶揄う。
(そう、こういうのでいいんだよ。この品の無い感じ。ドン引きしていい雰囲気になりようがない)
シュウはこれなら変な雰囲気になることもあるまいと、内心ニヤリとしていた。
「おぅ、シュウじゃねぇか。今夜はその女をハメるのか?」
「ウホッ 色っぺぇイイ女だな。シュウ結構胸の大きい女好きだもんな」
「けどよ、禁欲しなきゃいけないんじゃなかったっけ?まぁ、こんな上玉目の前にすりゃ、我慢なんざ出来るわけねーか!大丈夫だよ、ビール一杯で俺達は他言しねぇでやるからよ」
他の客の野次が飛び、シュウは苦笑いを浮かべながら「前言撤回。この場所は流石に品が無さ過ぎる」と、後悔し始める。
気分を悪くしただろうか?とシュウは心配そうにサーラを見やると、サーラは顔を真っ赤にしてプルプルと震えていた。
(まずい、怒らせたか?)
シュウは顔を青くしたが・・・当のサーラは怒っているわけではなかった。
今、サーラは完全にテンパっているのだ。
(いきなり男の人と二人きりで飲みたいと誘うだなんて、もしかしてちょっとはしたなかった!?)
シュウに対して積極的になろうとするあまり、後先考えずに突っ走り過ぎたかと、時間差でサーラは後悔し始めていた。
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