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失敗した勇者 その3
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結局、ライル達は魔物退治に向かおうとしたものの、道中で移動用の馬車が故障し、修理で時間をかけてしまったので翌日再び出直す・・・ということにしたという体で元来た村へ帰ってきた。
しかしm予め用意された言い訳を聞いた村人達は、御者は自分の持っている馬車をこまめに手入れしているのを皆知っているし、ライル達は全身土をかぶった跡があるしで、ライル達の用意した言い訳について随分懐疑的であった。
(・・・まずいわね)
拠点にしている宿屋から少しばかり買い出しのために外出していたレーナは、何となく自分達がどのように思われているのかを空気で察した。
自分が他人からどのように思われようがレーナは意にも解さないが、『光の戦士達』の評判には少しばかり気を遣っている。
何故なら『光の戦士達』の評判によってライルの機嫌や行動が変わるからである。
プライドの高いライルは自分の、そして自分のパーティーである『光の戦士達』の評価を物凄く気にしている。『光の戦士達』の評判が悪ければ、ライルは名誉挽回しようとあれこれいらぬことをやろうとするのだ。
シュウがいたときは何とか宥めつつ暴走しないようコントロールできたのだが、今はライルを制御出来たシュウがいない。ライルが暴走しだしたら、行くところに行くまでとことん暴走させるしかない状況になっている。
村人達がライルの敗退に感づいているという事実を知れば、また暴走しかねないとレーナは肝を冷やしていた。
だが、ライルは馬鹿で鈍感だ。恐らく直接言われでもしない限りは、どれだけ露骨に態度に出されても村人達の感情に気付くことはないだろう。
レーナはそう祈りつつ、買い出しを終えてパーティーメンバーが集合している部屋へ戻った。
「・・・・・・」
部屋の中は重苦しい空気に満たされていた。
ライルがサーラに「どうして戦えないのか」と詰め寄っているからである。
サーラが「敵が怖い。元々自分はこういう性格だ」と答えても、「そんなわけないだろう?これまで戦えたのだから。本当のところはどうなんだい?」と、ライルが繕った笑顔でやんわり否定する。
ひらすらにこれの繰り返しであった。
態度こそは穏やかだが、これは尋問に近いものだった。
繕った笑顔の下に隠した苛立ちの感情が言葉遣いに時折にじみ出て、そんなライルの態度に委縮してサーラがさらに縮こまり発言しづらくなっていく悪循環だ。
「今日のところは一旦休んでから」とアリエスが言っても、今回はサーラのお陰で魔物退治に失敗したと思っているライルは応じない。
むしろライルは時間をかけてサーラを落ち着かせるどころか、一刻も早く原因を追究し、解決させたいと思っている。何しろ翌日には魔物退治に再トライすると公言してしまっているのだ。余計な時間はかけられないと。
問題解決を急くライル。一方、シュウ成分が切れてすっかり困惑して以前の『役立たず』に戻ってしまったサーラ。
このまま二人がにらみ合っても、永遠に解決すまい・・・そう考えたレーナはある提案をした。
「お酒でも飲んで、心を開放させてからのほうが良くない?」
「・・・む」
レーナの提案を聞いて、ライルは満更でもなさそうだった。
やけ酒をあおりたい気持ちもあったし、酒を与えてサーラの緊張がほぐれれば、事態が進展するかもしれない・・・そう考えたのだ。
『光の戦士達』の女たちの中でも、最も自分と親密なレーナが言ったというのも決断を後押しする理由の一つだった。
「わかった。酒場にでも行こうじゃないか。そこでもっとざっくばらんに話そう」
ライルはレーナの提案通り、酒場に場所を移して話し合いをすることに決めた。
レーナの狙いとしては、ライルにあれこれ言って酒を与え続け、とりあえず潰す。一晩経過して頭が冷えれば、いくらか建設的な議論が出来るようになるだろう。魔物退治は更に遅れることになるが、現状ままよりずっと良い・・・そんなところだった。
だが、これが思いもよらない結果に繋がることになるのだが、それはこの場にいる誰一人とて予感しえなかった。
しかしm予め用意された言い訳を聞いた村人達は、御者は自分の持っている馬車をこまめに手入れしているのを皆知っているし、ライル達は全身土をかぶった跡があるしで、ライル達の用意した言い訳について随分懐疑的であった。
(・・・まずいわね)
拠点にしている宿屋から少しばかり買い出しのために外出していたレーナは、何となく自分達がどのように思われているのかを空気で察した。
自分が他人からどのように思われようがレーナは意にも解さないが、『光の戦士達』の評判には少しばかり気を遣っている。
何故なら『光の戦士達』の評判によってライルの機嫌や行動が変わるからである。
プライドの高いライルは自分の、そして自分のパーティーである『光の戦士達』の評価を物凄く気にしている。『光の戦士達』の評判が悪ければ、ライルは名誉挽回しようとあれこれいらぬことをやろうとするのだ。
シュウがいたときは何とか宥めつつ暴走しないようコントロールできたのだが、今はライルを制御出来たシュウがいない。ライルが暴走しだしたら、行くところに行くまでとことん暴走させるしかない状況になっている。
村人達がライルの敗退に感づいているという事実を知れば、また暴走しかねないとレーナは肝を冷やしていた。
だが、ライルは馬鹿で鈍感だ。恐らく直接言われでもしない限りは、どれだけ露骨に態度に出されても村人達の感情に気付くことはないだろう。
レーナはそう祈りつつ、買い出しを終えてパーティーメンバーが集合している部屋へ戻った。
「・・・・・・」
部屋の中は重苦しい空気に満たされていた。
ライルがサーラに「どうして戦えないのか」と詰め寄っているからである。
サーラが「敵が怖い。元々自分はこういう性格だ」と答えても、「そんなわけないだろう?これまで戦えたのだから。本当のところはどうなんだい?」と、ライルが繕った笑顔でやんわり否定する。
ひらすらにこれの繰り返しであった。
態度こそは穏やかだが、これは尋問に近いものだった。
繕った笑顔の下に隠した苛立ちの感情が言葉遣いに時折にじみ出て、そんなライルの態度に委縮してサーラがさらに縮こまり発言しづらくなっていく悪循環だ。
「今日のところは一旦休んでから」とアリエスが言っても、今回はサーラのお陰で魔物退治に失敗したと思っているライルは応じない。
むしろライルは時間をかけてサーラを落ち着かせるどころか、一刻も早く原因を追究し、解決させたいと思っている。何しろ翌日には魔物退治に再トライすると公言してしまっているのだ。余計な時間はかけられないと。
問題解決を急くライル。一方、シュウ成分が切れてすっかり困惑して以前の『役立たず』に戻ってしまったサーラ。
このまま二人がにらみ合っても、永遠に解決すまい・・・そう考えたレーナはある提案をした。
「お酒でも飲んで、心を開放させてからのほうが良くない?」
「・・・む」
レーナの提案を聞いて、ライルは満更でもなさそうだった。
やけ酒をあおりたい気持ちもあったし、酒を与えてサーラの緊張がほぐれれば、事態が進展するかもしれない・・・そう考えたのだ。
『光の戦士達』の女たちの中でも、最も自分と親密なレーナが言ったというのも決断を後押しする理由の一つだった。
「わかった。酒場にでも行こうじゃないか。そこでもっとざっくばらんに話そう」
ライルはレーナの提案通り、酒場に場所を移して話し合いをすることに決めた。
レーナの狙いとしては、ライルにあれこれ言って酒を与え続け、とりあえず潰す。一晩経過して頭が冷えれば、いくらか建設的な議論が出来るようになるだろう。魔物退治は更に遅れることになるが、現状ままよりずっと良い・・・そんなところだった。
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