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そんな男は選ばない
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サーラはかつてのシュウとのやり取りを思い出していた。
「私にだって、かつて将来を本気で考えていた相手がいたんですよ。けど、うまくはいかなかった。私の人生はね・・・あそこで一度大きな分岐点を迎えていたんですよ・・・」
かつてサーラとサシ飲みをしていたとき、酒に混ぜられて一服盛られ、ガードが剥がれて饒舌になっていたシュウは、普段は絶対に語らない故郷での話を口にした。
「私が彼女と一緒になれたのなら、今頃はここにはいなかった。今でも故郷で人並みの生活をしていた・・・のですかね?いや、もしかしたら賭け事や何かで身を滅ぼしていたかもしれませんが」
結局のところ、私は普通の生活とは縁が無かったかもしれませんね、とシュウは自嘲気味に笑って酒を飲む。
「どうして一緒にならなかった、ですか?あぁ、それは彼女が私を選ばず---・・・うぅっ!?」
核心部分について訊ねたサーラだったが、ここでアクシデントが発生。
シュウに持った薬と酒との相性が悪く、シュウは急激な体調不良に見舞われてダウンしてしまったのだ。
「あわわわわ・・・『酒との服用はおやめ下さい』って、よく見たら注意書きに書いてある・・・!」
サーラはシュウに自白させた薬の容器を証拠隠滅のために処分すると、すぐさま彼の介抱をしてその日の聞き込みは中止。
後に薬の副作用で記憶の定まらなかったシュウには「飲み過ぎだよ」とすっとぼけたことで一服盛ったことを怪しまれることなく事なきを得るが、結局断片的なところしかサーラはシュウの過去について聞くことが出来なかったのだ。
だが、その僅かに聞きだせた部分がずっとサーラの心には引っかかっていた。
将来を考えていた相手は一体どうしたのだろう。
口ぶりからするに、どうやら一方的にフラれたようだが信じられない。私ならそんなことしないのに・・・
サーラはそんなことを考え、かつて紋々とした日を過ごしていた頃もあったのだった。
-----
「まぁ、飲む、打つ、買うの男だとわかっていたら、普通の人ならパートナーとしてそうそう選ばないッスよね。選ぶとしたらよっぽど肝の据わった人ッスよ」
しかし、そんなかつてのサーラとは裏腹に、話を聞いたアリエスはあっけらかんとして言った。
「そ、そんなこと・・・」
言われてみればそうだわ。と、サーラが内心納得していたそのときだった。
「襲撃だーーっ!!」
御者の叫び声にハッとなり、サーラ達は会話を中断させる。
護衛として雇われているサーラ達は、魔物なり野盗なり襲撃があれば即座に出動せねばならない。
(待ってろよシュウ。必ず追い付いてやるからな!)
このまま順調に行けばシュウに会えるだろう・・・
サーラはそう信じて勇んで魔物に斬り込んでいったが、ライルへの怒りで闘争心をいくらか取り戻したとはいえ、いかんせんまだ本調子ではない。
魔物の撃退には成功したものの、若干手こずったことで馬車を魔物の攻撃で損傷させてしまい、結局再出発までに時間がかかってしまった。
こうした積み重ねで、サーラ達は少しずつシュウ達の追跡速度を遅めてしまうことになった。
「私にだって、かつて将来を本気で考えていた相手がいたんですよ。けど、うまくはいかなかった。私の人生はね・・・あそこで一度大きな分岐点を迎えていたんですよ・・・」
かつてサーラとサシ飲みをしていたとき、酒に混ぜられて一服盛られ、ガードが剥がれて饒舌になっていたシュウは、普段は絶対に語らない故郷での話を口にした。
「私が彼女と一緒になれたのなら、今頃はここにはいなかった。今でも故郷で人並みの生活をしていた・・・のですかね?いや、もしかしたら賭け事や何かで身を滅ぼしていたかもしれませんが」
結局のところ、私は普通の生活とは縁が無かったかもしれませんね、とシュウは自嘲気味に笑って酒を飲む。
「どうして一緒にならなかった、ですか?あぁ、それは彼女が私を選ばず---・・・うぅっ!?」
核心部分について訊ねたサーラだったが、ここでアクシデントが発生。
シュウに持った薬と酒との相性が悪く、シュウは急激な体調不良に見舞われてダウンしてしまったのだ。
「あわわわわ・・・『酒との服用はおやめ下さい』って、よく見たら注意書きに書いてある・・・!」
サーラはシュウに自白させた薬の容器を証拠隠滅のために処分すると、すぐさま彼の介抱をしてその日の聞き込みは中止。
後に薬の副作用で記憶の定まらなかったシュウには「飲み過ぎだよ」とすっとぼけたことで一服盛ったことを怪しまれることなく事なきを得るが、結局断片的なところしかサーラはシュウの過去について聞くことが出来なかったのだ。
だが、その僅かに聞きだせた部分がずっとサーラの心には引っかかっていた。
将来を考えていた相手は一体どうしたのだろう。
口ぶりからするに、どうやら一方的にフラれたようだが信じられない。私ならそんなことしないのに・・・
サーラはそんなことを考え、かつて紋々とした日を過ごしていた頃もあったのだった。
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「まぁ、飲む、打つ、買うの男だとわかっていたら、普通の人ならパートナーとしてそうそう選ばないッスよね。選ぶとしたらよっぽど肝の据わった人ッスよ」
しかし、そんなかつてのサーラとは裏腹に、話を聞いたアリエスはあっけらかんとして言った。
「そ、そんなこと・・・」
言われてみればそうだわ。と、サーラが内心納得していたそのときだった。
「襲撃だーーっ!!」
御者の叫び声にハッとなり、サーラ達は会話を中断させる。
護衛として雇われているサーラ達は、魔物なり野盗なり襲撃があれば即座に出動せねばならない。
(待ってろよシュウ。必ず追い付いてやるからな!)
このまま順調に行けばシュウに会えるだろう・・・
サーラはそう信じて勇んで魔物に斬り込んでいったが、ライルへの怒りで闘争心をいくらか取り戻したとはいえ、いかんせんまだ本調子ではない。
魔物の撃退には成功したものの、若干手こずったことで馬車を魔物の攻撃で損傷させてしまい、結局再出発までに時間がかかってしまった。
こうした積み重ねで、サーラ達は少しずつシュウ達の追跡速度を遅めてしまうことになった。
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