354 / 504
殺し屋の襲撃
しおりを挟む
「なんてこった。本当に話が早かったな」
ダレウスより依頼を受けた剣士の男・・・トールは、会うなり速攻で依頼を遂行することになったことに半ば呆れつつも目的の場所に向かって歩いていた。
トールは暗殺や誘拐などの仕事を三桁ほどは請け負ってきたが、今回のような街中での衝動買いレベルであっさりと依頼が確定したことはなかった。
しかも聖神教会でそこそこの立場であるというのに、何だか心配になるくらいの短絡さだとトールは思った。
ダレウスくらいの立場なら、普通もう少し依頼する相手の裏を取ったりするべきなのだ。何しろ非道な依頼を出したという事実そのものが、自身の身の破滅を誘う材料になるのだから。
「ま、話が早い分にはいいけどな」
幸いにして、トールは依頼人が誰であろうとそれをネタにして恐喝したりはしない。
非合法な仕事をしていても、矜持だけは確固たるものを持っていた。
それだけの仕事が出来るのがトールだった。
「ここか」
そうしてトールは、魔物じじいの家の前へ到着する。
「・・・え?なにこれ」
魔物じじいの家や周囲に描きこまれた罵詈雑言の落書きは、流石にトールを唖然とさせたが、それでも仕事をするのに支障をきたすことはない。
現在、時間は早朝。
あえて決行を一目につかなそうな深夜にしなかったのは理由がある。
今のトールは行商人の恰好で偽装しており、リアカーに誘拐したシュウを商品に偽装した箱に詰め込め、堂々と運ぶ予定だった。これなら明るい中でシュウを運んで通行人に見られてもどうということはない。
アンドレアは市街地は不夜城と言える繁華街だが、早朝の賑わいも凄い。商人達による朝市があるためだ。
夕方から早朝にかけては立ちんぼで埋め尽くす路地は、早朝から昼前までは市場に変わる。人と物の移動の激しいアンドレアの朝市は相当に盛況なもので、人一人程度荷物に偽装してリアカーに乗せて運んだところで誰も気づかない。
トールは怪しまれずに仕事を完遂するために、あえて早朝を選んだのだ。
コンコン
『研究の邪魔をしたら殺す』という、来訪者に向けた脅迫めいた文言の書かれた張り紙を横目にちょっとヒいてから、トールは扉をノックした。
「はーい」
扉の向こうからは、綺麗な声色の少女の声。返事をしたのはフローラだった。
(可哀想に・・・)
トールは剣の柄に手をかけながらそう思った。
シュウ以外の人間は、もし問題があるようなら殺しても良いとダレウスには言われていたのだ。
マルスの意思に反したことだが、マルス自身まさかダレウスがこうも迅速に勝手に動き出すとは想像していなかっただろう。
(早起きだったのが災いしたな。恨むなよ)
シュウ以外の人間がもしまだ寝ているのなら、トールは何も手を出すつもりはなかった。
だが、姿を見られた以上は口封じをしなければならない。
トールは出会いがしらにフローラに襲い掛かるつもりで、扉が開くその瞬間を待った。
ダレウスより依頼を受けた剣士の男・・・トールは、会うなり速攻で依頼を遂行することになったことに半ば呆れつつも目的の場所に向かって歩いていた。
トールは暗殺や誘拐などの仕事を三桁ほどは請け負ってきたが、今回のような街中での衝動買いレベルであっさりと依頼が確定したことはなかった。
しかも聖神教会でそこそこの立場であるというのに、何だか心配になるくらいの短絡さだとトールは思った。
ダレウスくらいの立場なら、普通もう少し依頼する相手の裏を取ったりするべきなのだ。何しろ非道な依頼を出したという事実そのものが、自身の身の破滅を誘う材料になるのだから。
「ま、話が早い分にはいいけどな」
幸いにして、トールは依頼人が誰であろうとそれをネタにして恐喝したりはしない。
非合法な仕事をしていても、矜持だけは確固たるものを持っていた。
それだけの仕事が出来るのがトールだった。
「ここか」
そうしてトールは、魔物じじいの家の前へ到着する。
「・・・え?なにこれ」
魔物じじいの家や周囲に描きこまれた罵詈雑言の落書きは、流石にトールを唖然とさせたが、それでも仕事をするのに支障をきたすことはない。
現在、時間は早朝。
あえて決行を一目につかなそうな深夜にしなかったのは理由がある。
今のトールは行商人の恰好で偽装しており、リアカーに誘拐したシュウを商品に偽装した箱に詰め込め、堂々と運ぶ予定だった。これなら明るい中でシュウを運んで通行人に見られてもどうということはない。
アンドレアは市街地は不夜城と言える繁華街だが、早朝の賑わいも凄い。商人達による朝市があるためだ。
夕方から早朝にかけては立ちんぼで埋め尽くす路地は、早朝から昼前までは市場に変わる。人と物の移動の激しいアンドレアの朝市は相当に盛況なもので、人一人程度荷物に偽装してリアカーに乗せて運んだところで誰も気づかない。
トールは怪しまれずに仕事を完遂するために、あえて早朝を選んだのだ。
コンコン
『研究の邪魔をしたら殺す』という、来訪者に向けた脅迫めいた文言の書かれた張り紙を横目にちょっとヒいてから、トールは扉をノックした。
「はーい」
扉の向こうからは、綺麗な声色の少女の声。返事をしたのはフローラだった。
(可哀想に・・・)
トールは剣の柄に手をかけながらそう思った。
シュウ以外の人間は、もし問題があるようなら殺しても良いとダレウスには言われていたのだ。
マルスの意思に反したことだが、マルス自身まさかダレウスがこうも迅速に勝手に動き出すとは想像していなかっただろう。
(早起きだったのが災いしたな。恨むなよ)
シュウ以外の人間がもしまだ寝ているのなら、トールは何も手を出すつもりはなかった。
だが、姿を見られた以上は口封じをしなければならない。
トールは出会いがしらにフローラに襲い掛かるつもりで、扉が開くその瞬間を待った。
10
あなたにおすすめの小説
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
モヴはホントにモブですか?
beniyuzuch
ファンタジー
「モヴくん、おいで」「ご主人様は渡しません」「モヴ、カガリは相棒っすよ!」
勇者の戦いが見たい!そう考えたモヴ=ニモツモチ、全力を尽くす。
目標は「勇者の隣」で荷物持ち。孤独な勇者ヒカリとワケアリ少女たちの型破りパーティが陰から世界を救うファンタジー。
カクヨム、アルファポリス、なろうで投稿しています。1話ずつ上げますのでお急ぎの場合はカクヨムでご覧ください。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる