追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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平穏の終わり その3

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「いや、実はな。果たして良縁と言えるのか否か、俺には奥さんとは別に養わなければならない女性が二人いて、若気の至りで『もうヤケだから皆面倒みたるわ』って思い切った決断したのがだな・・・いや、まぁ、とにかくいろいろあったんだわ」


「え、待ってください。物凄くその辺が気になるんですが」


「まぁ、俺のことは良いんだよ」


良くない!とシュウは思ったが、トールは頭を振って自分の話を続ける。


「俺が言いたいことは、傍から見れば迷走極まりないことやってたって、なんだかんだのらりくねりやってりゃ、それなりに軌道に乗ったりするもんなのよ。深く考えず、やりたいように直感のまま進んでたってどうにかなるもんさ」


ふぅ、と溜め息をつきながらそう語るトールの顔からは、何やら有無を言わせぬ説得力のようなものが感じられた。シュウはそこそこ苦労人であることを自覚していたが、経験と懐の深さではトールには敵わないのではないかと感じた。


「どうにかなるって・・・結局今は非合法な仕事に身を落として、挙句にターゲットに捕まって生殺与奪を握られてるじゃないですか。どうにかなってませんよ?」


横でフローラが最もなことを言っているが、シュウもトールもながれ的に都合が悪いので何となく聞き流す。


「・・・まぁ、説教臭くなっちまったが、どうもアンタ、俺と同じ匂いがしてなぁ・・・どうも余計なことを言っちまう」


「同じ匂い・・・」


「同じ苦労人みたいな・・・」


「や、やめてください!」


トールの数奇な人生のエピソードには興味はあるが、決してなぞりたいとは思わないシュウは思わず頭を振って後退る。


「いや、俺だって皇族に狙われるところまではいってないから、ある意味アンタのが苦労人なんだけどな・・・」


「その話ですガ、今回シュウとフローラ様を狙ってイルのは、あくまでルドルフだけ・・・独断デのコトのようで、皇室は関係がないようでス」


オーガ君の補足に、トールは悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「良かったじゃないか。皇子様の独断で狙っているというのなら、彼一人をどうにかすれば良い話だから楽かもしれんぞ」


アウトローな世界に生きるトールならではの前向きな発言に、シュウは溜め息をつきたくなる。
だが、殺し屋でこそないだけで、シュウとてトールと同じように日陰者に位置しているのが現状なのは間違いない。トールのメンタルのタフさは見習わなければならないと思った。
元々楽観的な方の性格であったが、より肩の力を抜いて生きていったほうが得なんだろうか?と考える。


「俺もさぁ~ 来年は子供が三人増える予定なんだ。これで17人目だよ・・・どうやって食わしていこうかって、考えるのも馬鹿馬鹿しくなったわ。アハハ・・・」


続くトールの言葉を聞いて、「いや、もう少しくらいはシビアに物事を考えて生きていこう」とシュウは考え直した。


「痛い目に遭うのが怖いくせに、どうして人生ハードモード送るのが当たり前になってるんですか?マゾなんですか?」


ジト目で突きつけるフローラのツッコミに、シュウは内心で「マゾなんだろうなぁ」と思うのだった。
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