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観察していた者達 その3
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「もう一度、記録を見てくれ」
マート達は建物に侵入して屋根裏部屋からシュウ達の様子を伺い、彼らのやり取りを全て紙に記録している。
「…………ううむ」
記録を読んだグレースが唸る。
それを後ろから覗き込む部下達も、「あぁ…」「うーん…」「いや、これは…」と思い思いに反応を示す。
「熱々の二人としか思えないやり取りだが、注視すべきはこの部分。あいつら『共に地獄へ』なんて誓いを立てたんだってよ。聖神教会じゃ、不義であろうとあらゆる苦境もいとわず愛を貫こうとするときの覚悟を示すときに使う言葉らしいじゃねーか。こんなん誓った二人の間に入り込む余地はねぇんじゃねーか?そもそも国を上げての大捜索に発展しかねねーとわかっててこの駆け落ちするんだから、二人のうちどちらかが…あるいは両方が頭のネジが外れてんだよ。ぶっちゃけていうと、関わるべきじゃねぇわ…お嬢には悪いがな」
マートは周囲の隊員達に聞かせるように言う。
最もな話だが今更ではある。セレスティアのシュウへの想いは、元より略奪愛が前提のものだからだ。
だが、改めてシュウ達のやり取りの記録を見ると、セレスティアの勝機は限りなく0に近いというのがこの場にいるほとんどの隊員達の正直な感想だった。
「……むう…」
グレースは再度唸った。
周囲にいる者達は何となく彼の心中を察する。
元々恋敵であったシュウ。だが観察を続けるうちに、彼のことを狂信するほどに入れ込んでしまったグレースからすると、いろいろと複雑な想いなのだろうと。
「二人の間に入れ込む余地無し。ムリムリ」と辺境伯家に報告上げれば、すぐにでもグレース達には帰還の命令が下る可能性が少なからずあった。
そうなれば観察は終わりである。グレースはシュウに取り憑いて彼の一挙一動を穴が空くほど視ていたい気持ちでいたが、それも終わってしまうのだ。
だが、グレースの恋が成就する可能性は上がる。少なくとも当面の最大のライバルのシュウは排除できるだろう。
崇拝している者と離れる切なさと、セレスティアへの恋慕が、今のグレースの心を複雑なものにしていた。
だが、一人の空気を読まない隊員の呟きが流れを変えた。
「狂喜染みた熱愛を繰り広げている二人にお嬢が割り込む大恋愛劇…観てみたかったなぁ…なんてな」
その一言が発された瞬間…ざわりと隊員達に動揺が広がった。
皆、口には出さないが、考えていることは概ね一致していた。それ絶対面白いやつだ!と。
マート達は建物に侵入して屋根裏部屋からシュウ達の様子を伺い、彼らのやり取りを全て紙に記録している。
「…………ううむ」
記録を読んだグレースが唸る。
それを後ろから覗き込む部下達も、「あぁ…」「うーん…」「いや、これは…」と思い思いに反応を示す。
「熱々の二人としか思えないやり取りだが、注視すべきはこの部分。あいつら『共に地獄へ』なんて誓いを立てたんだってよ。聖神教会じゃ、不義であろうとあらゆる苦境もいとわず愛を貫こうとするときの覚悟を示すときに使う言葉らしいじゃねーか。こんなん誓った二人の間に入り込む余地はねぇんじゃねーか?そもそも国を上げての大捜索に発展しかねねーとわかっててこの駆け落ちするんだから、二人のうちどちらかが…あるいは両方が頭のネジが外れてんだよ。ぶっちゃけていうと、関わるべきじゃねぇわ…お嬢には悪いがな」
マートは周囲の隊員達に聞かせるように言う。
最もな話だが今更ではある。セレスティアのシュウへの想いは、元より略奪愛が前提のものだからだ。
だが、改めてシュウ達のやり取りの記録を見ると、セレスティアの勝機は限りなく0に近いというのがこの場にいるほとんどの隊員達の正直な感想だった。
「……むう…」
グレースは再度唸った。
周囲にいる者達は何となく彼の心中を察する。
元々恋敵であったシュウ。だが観察を続けるうちに、彼のことを狂信するほどに入れ込んでしまったグレースからすると、いろいろと複雑な想いなのだろうと。
「二人の間に入れ込む余地無し。ムリムリ」と辺境伯家に報告上げれば、すぐにでもグレース達には帰還の命令が下る可能性が少なからずあった。
そうなれば観察は終わりである。グレースはシュウに取り憑いて彼の一挙一動を穴が空くほど視ていたい気持ちでいたが、それも終わってしまうのだ。
だが、グレースの恋が成就する可能性は上がる。少なくとも当面の最大のライバルのシュウは排除できるだろう。
崇拝している者と離れる切なさと、セレスティアへの恋慕が、今のグレースの心を複雑なものにしていた。
だが、一人の空気を読まない隊員の呟きが流れを変えた。
「狂喜染みた熱愛を繰り広げている二人にお嬢が割り込む大恋愛劇…観てみたかったなぁ…なんてな」
その一言が発された瞬間…ざわりと隊員達に動揺が広がった。
皆、口には出さないが、考えていることは概ね一致していた。それ絶対面白いやつだ!と。
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