追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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トカゲの世話

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時は十数年前にさかのぼる。
シュウがまだアンドレアに住んでいたときことである。

シュウは当時から魔物じじいの家を訪ねていたが、ある時見たことも無い生き物を見つけてきたと言ってそれを持ってきた。


「魔物じじい。森で捕まえてきたんだが、これは何て魔物だ?」


十代半ば。まだ神官見習いになったばかりのシュウは、悪ガキだった面影も抜けておらず、口調も丁寧語になる前だった。


「ふむ、これは・・・」


シュウが持ってきたのは、手のひらサイズの赤いトカゲのような生き物だった。
トカゲと違うなと思うのは、皮膚の固さ。犬に嚙まれても大丈夫なようにすら見えた。
魔物じじいは顎に手を当て、しばし唸っていたが、やがて生き物をシュウに返して言った。


「トカゲかもしれんし、そうでないかもしれん。シュウ、お前しばらく面倒見てみろ」


意味ありげに笑っている辺り、何かを知っている風に見えたが、魔物じじいはその生物が何であるかを教えることはなかった。


「なんだよ教えてくれないのかよ」


「大体のあたりはついているが、驚くお前の顔が見てみたいのでな。お前の魔物ウォッチングの腕試しも兼ねて世話してみろ」


「いやいや、教会はペット禁止だぞ・・・」


「世話するのはこっちに来ているときだけでええわい。お前が来るまではウチで預かってやる」


「マジかよ・・・」


ちょっと捕まえた生き物がなんであるか聞きたいだけだったシュウは、唐突に生き物の世話をすることになってげんなりした。
魔物じじいはシュウにとって気心の知れた中ではあるが、それ故に魔物が絡むと怖いことも知っている。
「世話をしろ」と言われたならその通りにしないと、彼がどれほど怒り恐ろしい目に遭うかわかったものではなかったシュウは、否応なしにトカゲ(仮)の世話をすることになった。


「よし、お前の名前はジーラだ。何となく」


-----


「おいこら、飯食わせてやんだから暴れるな!」


「おい、お前風呂は初めてか?力を抜けよ」


「フフッ、風呂の気持ちよさを知ったら大人しくなったな。体は正直だ。そら、今度は俺が体を洗ってやるよ」


なんだかんだで世話を始めたら愛情が沸いてきたシュウは、外泊許可の下りた日はそれこそ寝食を共にしてジーラの世話に励んだ。
トカゲ(仮)の正体がなんであるかを調べるのが目的だったはずだが、いつしかそれを忘れてただペットとして愛でるだけの日々を送るようになった。

これに対して当時まだ恋人だったクローザは文句ばかり言っていたが、シュウは謝りつつもジーラに夢中になる。

シュウがアンドレアを離れるそのときまで、その時間は続いた。
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