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反逆
お命頂戴
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「聖女様!こちらになります!」
ハルトと別れたマーサは、郊外エリアにある礼拝堂に案内された。
神都にはいつでも誰でも祈りが出来るように至る所に礼拝堂が設置されているが、有事の際には避難所としても使われる想定で広く設計されている。
「なんてこと・・・」
マーサが礼拝堂に立ち入ると、そこには負傷者が所せましと横たわっていた。そこかしこで聖職者が回復魔法をかけているが、負傷者の数があまりに多く焼石に水の状態になっていた。
「おぉ、聖女様・・・」
「助けてください・・・」
マーサの存在に気が付いた負傷者たちが助けを乞う。
「すぐに回復をします。もう大丈夫ですよ」
マーサはそう言って負傷者たちに微笑んだ。
負傷者たちは誰もかれもが酷い有様だった。マーサは強い憤りを感じつつも、冷静に回復魔法をかけようと詠唱を開始する。
「おぉ・・・!」
「これは・・・!」
マーサの回復術は並の聖職者の比ではないほどに強力だ。詠唱時間が短い上に、普通の回復術師なら時間がかかるような怪我でも一瞬にして治すことができる。それも広範囲多人数にという別格の回復能力を持っていた。
礼拝堂にいっぱいになっていた負傷者たちは、一瞬にして全員残すことなく傷が回復した。
「急いで次の負傷者を連れてきてください!」
動けるようになった負傷者は外に控えている次の負傷者を搬入しようと、急いでその場を立ち去った。
礼拝堂には一時的にマーサと数名の護衛騎士のみになり、束の間の静寂が訪れる。
だが、そのときだった。
「誰!?」
マーサが礼拝堂の入口に向かって叫ぶ。
「ど、どうされました?」
マーサの様子に、護衛騎士達は戸惑った。
彼女が叫んだその方向には誰の姿もないからである。誰もいない空間に向かって叫ぶマーサを騎士達は訝しんでいたが、やがて誰もいないはずの空間からいつの間にか人間が姿を現した。
「なっ・・・!?」
騎士達は驚き慌てふためくが、姿を現した人間ーー カイはなんとも呑気に笑みを浮かべながら、悠然とマーサ達のほうへ歩み寄ってきた。
「流石聖女サマだ。姿を消す薬も鋭い気を持つ人には効果なしか」
カイはおもむろに鞘から聖剣を抜くと、マーサを見据えて言った。
「お命頂戴するぜ。聖女サマ」
ハルトと別れたマーサは、郊外エリアにある礼拝堂に案内された。
神都にはいつでも誰でも祈りが出来るように至る所に礼拝堂が設置されているが、有事の際には避難所としても使われる想定で広く設計されている。
「なんてこと・・・」
マーサが礼拝堂に立ち入ると、そこには負傷者が所せましと横たわっていた。そこかしこで聖職者が回復魔法をかけているが、負傷者の数があまりに多く焼石に水の状態になっていた。
「おぉ、聖女様・・・」
「助けてください・・・」
マーサの存在に気が付いた負傷者たちが助けを乞う。
「すぐに回復をします。もう大丈夫ですよ」
マーサはそう言って負傷者たちに微笑んだ。
負傷者たちは誰もかれもが酷い有様だった。マーサは強い憤りを感じつつも、冷静に回復魔法をかけようと詠唱を開始する。
「おぉ・・・!」
「これは・・・!」
マーサの回復術は並の聖職者の比ではないほどに強力だ。詠唱時間が短い上に、普通の回復術師なら時間がかかるような怪我でも一瞬にして治すことができる。それも広範囲多人数にという別格の回復能力を持っていた。
礼拝堂にいっぱいになっていた負傷者たちは、一瞬にして全員残すことなく傷が回復した。
「急いで次の負傷者を連れてきてください!」
動けるようになった負傷者は外に控えている次の負傷者を搬入しようと、急いでその場を立ち去った。
礼拝堂には一時的にマーサと数名の護衛騎士のみになり、束の間の静寂が訪れる。
だが、そのときだった。
「誰!?」
マーサが礼拝堂の入口に向かって叫ぶ。
「ど、どうされました?」
マーサの様子に、護衛騎士達は戸惑った。
彼女が叫んだその方向には誰の姿もないからである。誰もいない空間に向かって叫ぶマーサを騎士達は訝しんでいたが、やがて誰もいないはずの空間からいつの間にか人間が姿を現した。
「なっ・・・!?」
騎士達は驚き慌てふためくが、姿を現した人間ーー カイはなんとも呑気に笑みを浮かべながら、悠然とマーサ達のほうへ歩み寄ってきた。
「流石聖女サマだ。姿を消す薬も鋭い気を持つ人には効果なしか」
カイはおもむろに鞘から聖剣を抜くと、マーサを見据えて言った。
「お命頂戴するぜ。聖女サマ」
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