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終焉

ラビスらしき者

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「誰だ・・・一体彼女は・・・?」


カイとハルトはしっかりと目を見開いて女を見る。
どこかで見たことはあるが、面識はない気がする・・・二人してそのような感覚を持っていた。


長い髪、整った顔立ち、肌は染み一つないほどに白く、まるで作り物なのではないかと思うほどに非の打ちようないほど美しい女性。

じっくり近づくと、やや俯き加減だったその女が顔を上げてカイ達を見つめた。


「あっ!」


その瞬間、二人は驚愕して声をハモらせる。
はっきりと上げたその顔には、二人して覚えがあった。ないはずがなかった。


「・・・ラビス様・・・?」


鎖で繋がれた女は、神国サンクレアが崇拝する女神ラビスと生き写しであることに気が付いたのだ。


「・・・馬鹿な・・・」


ハルトは震えて膝をつく。
カイは膝こそつかなかったが、冷や汗が止まらなかった。

二人ともラビス教に属してはいたが、当然ながら女神ラビスそのものとの面識はない。降臨の儀の際に浮かび上がった立体映像を見るのみである。
あれはラビス教のプロパガンダのためにこの鎖で繋がれた女をモデルにして、作り上げられた影像である可能性がある。実際カイはそう考えようとした。目の前にいる女はただの人間だと。


しかし、既に神など信じていないと言い切れるカイですら、このラビスによく似た女からは神秘的な何かを感じ取っていた。
思わず平伏したくなるような、絶対に逆らえないような、有無を言わせぬオーラが確かに女から発せられているのだ。


ザッ


ハルトはフラフラの体を支えながら、頭を垂れて跪いた。
敬虔な信徒であるハルトは、鎖に繋がれた女が女神ラビス・・・もしくはそれに準じた存在であることを直感で察し、頭が高いと跪いたのだ。


「・・・カイ、お前も頭を下げろ・・・」


ハルトは棒立ちしたままのカイに言う。
しかしカイはそうしなかった。


「女神様だぁ・・・?ふざけんなよ・・・」


カイはそう言い、頬を引き攣らせながらもゆっくりと女のところへ近づいた。
カイとてハルトと同じく、女からは逆らい難い凄まじい威圧感のようなものを感じていた。既に信徒ではないはずのカイですら、気を抜けば跪いてしまいそうだが、それをどうにか気力で耐え凌いでいた。


「何をするつもりだ・・・!?」


平伏せず、ゆっくりと女に歩み寄るカイをハルトは怪訝な目で見た。


「何をする・・・?俺はその女を殺しに来たんだぜ」


震える手をどうにか落ち着かせながら、カイは聖剣に手をかけた。



「これが俺の反逆の最終目的なんだよ」
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