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終焉
達者でな
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「お?」
ラビスが死んだ瞬間、何か空気が一新したような感覚を、カイは肌で感じていた。
この場に、いや、この国を包んでいた空気が、オーラが、ラビスの死をきっかけに一変したとカイには感じられた。
このラビスへの信仰によって栄えていたサンクレアという国が、核であるラビスを失ったのだ。この国に待つのは崩壊のみである。
「ベルスに頼まれたことは、これで終わりかな?」
これまで忠誠を尽くしてきたサンクレアの崩壊が見えてきた現状においても、カイは特に特別な感情を抱くことはなかった。
カイの頭にあるのは「ベルスに頼まれたことを終わらせた」という達成感、そしてこれから先にある『イリスの救済』のことだけだ。
カイはこれまでずっとイリスを救うために、愛のために心を鬼にして戦ってきた。
その願いを果たせそうになった今、もはや滅びゆく国のことを思うことはない。
「カイ・・・君は・・・!」
床に倒れ伏しながら、ハルトはカイを睨みつけた。
「・・・自分の欲望のために、僕達を、この国を裏切って・・・恥ずかしくはないのか!」
恋人を殺され、信奉していたラビスに裏切られ、心の支えを失ったハルトはカイを糾弾した。
もはやハルトはカイを元凶とし、糾弾することでしか心の均衡を保つことは出来なかった。いや、既に心は半分壊れていると言っても良いが。
「恥ずかしい?そんなことあるわけないだろ。俺は俺の大切な人のためにやっただけだ。他のことなんか知るかよ」
カイは聖剣を鞘に納めると、微笑を浮かべてハルトを蔑んだ目で見た。
「じゃあなハルト。今までいろいろありがとな。達者でやれよ」
カイはそう言って、『サンクレアの心臓』であるこの部屋が出ていこうとする。
致命傷を負ったハルトは、気力を振り絞ってそれを追おうとして、耐性を大きく崩して再び倒れ伏した。
いよいよ体力の限界が来ていたのだ。
「カイ・・・カイィィィィィ!!」
ハルトの叫びを無視し、カイは振り返ることなく部屋を出て行った。
カイがこの部屋に、サンクレアに留まる理由は既にない。
彼は今、求めていたイリスと歩む未来への希望で頭が埋め着くされている。
「目標の障害だった男」が何か喚いたところで、既に終わった者に対して相手をする暇などなかった。
ラビスが死んだ瞬間、何か空気が一新したような感覚を、カイは肌で感じていた。
この場に、いや、この国を包んでいた空気が、オーラが、ラビスの死をきっかけに一変したとカイには感じられた。
このラビスへの信仰によって栄えていたサンクレアという国が、核であるラビスを失ったのだ。この国に待つのは崩壊のみである。
「ベルスに頼まれたことは、これで終わりかな?」
これまで忠誠を尽くしてきたサンクレアの崩壊が見えてきた現状においても、カイは特に特別な感情を抱くことはなかった。
カイの頭にあるのは「ベルスに頼まれたことを終わらせた」という達成感、そしてこれから先にある『イリスの救済』のことだけだ。
カイはこれまでずっとイリスを救うために、愛のために心を鬼にして戦ってきた。
その願いを果たせそうになった今、もはや滅びゆく国のことを思うことはない。
「カイ・・・君は・・・!」
床に倒れ伏しながら、ハルトはカイを睨みつけた。
「・・・自分の欲望のために、僕達を、この国を裏切って・・・恥ずかしくはないのか!」
恋人を殺され、信奉していたラビスに裏切られ、心の支えを失ったハルトはカイを糾弾した。
もはやハルトはカイを元凶とし、糾弾することでしか心の均衡を保つことは出来なかった。いや、既に心は半分壊れていると言っても良いが。
「恥ずかしい?そんなことあるわけないだろ。俺は俺の大切な人のためにやっただけだ。他のことなんか知るかよ」
カイは聖剣を鞘に納めると、微笑を浮かべてハルトを蔑んだ目で見た。
「じゃあなハルト。今までいろいろありがとな。達者でやれよ」
カイはそう言って、『サンクレアの心臓』であるこの部屋が出ていこうとする。
致命傷を負ったハルトは、気力を振り絞ってそれを追おうとして、耐性を大きく崩して再び倒れ伏した。
いよいよ体力の限界が来ていたのだ。
「カイ・・・カイィィィィィ!!」
ハルトの叫びを無視し、カイは振り返ることなく部屋を出て行った。
カイがこの部屋に、サンクレアに留まる理由は既にない。
彼は今、求めていたイリスと歩む未来への希望で頭が埋め着くされている。
「目標の障害だった男」が何か喚いたところで、既に終わった者に対して相手をする暇などなかった。
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