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終焉
幸と苦しみ
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『あの家に戻ると良いでしょう。彼女はいずれ目を覚まします。あの家は好きなように使っていただいても構いませんよ』
ベルスがそう言うと、そこで強い突風がカイを襲う。
あまりの強風に一瞬視界を奪われたが、視界が戻った次の瞬間にはベルスの姿は無かった。
まるで元々そこには誰もいなかったかのように。
「・・・あれ?俺は・・・どうしていたんだっけか」
ベルスの姿と共に、カイの頭の中から記憶の一部が消えていた。
直前まで誰かと話していたような気がするが、記憶がおぼろげで、まるで夢を見ていたかのように徐々に曖昧になっていく。
「・・・ありがとうございます」
カイは思わず自然とそう口にしていた。
誰に言ったのかはカイ自身にもわかっていない。だが、そう言いたくなってしまったのだ。
そして、カイは愛しの人イリスがいる家へと歩いて行った。
詳しいことはわからないが、何故だかそこにイリスがいるような気がしてならなかったのだ。
ここ最近、サンクレアに対して反逆してから・・・いや、イリスが呪いにかかってからずっと、カイの表情は曇っていた。時折見せる笑顔にも、闇や影が潜んでいた。
だが、今のカイにはそれが無い。心からの晴れやかな笑みが自然に浮かんでいた。
彼が死に物狂いで戦い、掴み取ろうとした幸せがすぐ手元にまで来ている。
そのために斬り捨ててきた者達のことなど、カイの頭からは消えてしまっていた。
これはベルスが神としてカイに与えた褒美の一つであった。
自分がかつての仲間を斬って来た泥臭い記憶を抱えたままでは、イリスと一緒にいても罪悪感を感じるかもしれない。だから今後の幸せな生活のために不必要な記憶を消去したのだ。
地上から姿を消したベルスは、天空からカイのことを見つめて慈愛の笑みを浮かべていた。
「素晴らしき人よ。幸有る人生を」
ベルスはそう言い、フッと顔の向きを変える。
次の瞬間、ベルスの表情は無機質な何の感情もないものに変わっていた。
「愚かなる人よ。終わらぬ苦しみを」
ベルスはそう言いながら手をかざすと、とあるラビス教の拠点に雷が降り注いだ。
ラビス教に対する、神の裁きが始まったのだ。
ベルスがそう言うと、そこで強い突風がカイを襲う。
あまりの強風に一瞬視界を奪われたが、視界が戻った次の瞬間にはベルスの姿は無かった。
まるで元々そこには誰もいなかったかのように。
「・・・あれ?俺は・・・どうしていたんだっけか」
ベルスの姿と共に、カイの頭の中から記憶の一部が消えていた。
直前まで誰かと話していたような気がするが、記憶がおぼろげで、まるで夢を見ていたかのように徐々に曖昧になっていく。
「・・・ありがとうございます」
カイは思わず自然とそう口にしていた。
誰に言ったのかはカイ自身にもわかっていない。だが、そう言いたくなってしまったのだ。
そして、カイは愛しの人イリスがいる家へと歩いて行った。
詳しいことはわからないが、何故だかそこにイリスがいるような気がしてならなかったのだ。
ここ最近、サンクレアに対して反逆してから・・・いや、イリスが呪いにかかってからずっと、カイの表情は曇っていた。時折見せる笑顔にも、闇や影が潜んでいた。
だが、今のカイにはそれが無い。心からの晴れやかな笑みが自然に浮かんでいた。
彼が死に物狂いで戦い、掴み取ろうとした幸せがすぐ手元にまで来ている。
そのために斬り捨ててきた者達のことなど、カイの頭からは消えてしまっていた。
これはベルスが神としてカイに与えた褒美の一つであった。
自分がかつての仲間を斬って来た泥臭い記憶を抱えたままでは、イリスと一緒にいても罪悪感を感じるかもしれない。だから今後の幸せな生活のために不必要な記憶を消去したのだ。
地上から姿を消したベルスは、天空からカイのことを見つめて慈愛の笑みを浮かべていた。
「素晴らしき人よ。幸有る人生を」
ベルスはそう言い、フッと顔の向きを変える。
次の瞬間、ベルスの表情は無機質な何の感情もないものに変わっていた。
「愚かなる人よ。終わらぬ苦しみを」
ベルスはそう言いながら手をかざすと、とあるラビス教の拠点に雷が降り注いだ。
ラビス教に対する、神の裁きが始まったのだ。
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