21 / 92
ルーチェ昔話 その3 ~バリー目線~
しおりを挟む
その日暮らしでいろいろなパーティー渡り歩く生活を続けていた俺の運命を変えたのは、一人の知らないオッサンだった。押しの強いオッサンに言われ、俺はウラエヌスと名乗るとパーティーを組むことになった。
だがこのオッサン、ただの押しの強いやつじゃなかった。
元々は将来有望とされた教団所属の僧侶だったという話で、俺は嘘だとしか思っていなかったのだが、それは事実だったのだろうなとわかるほどには彼の法術は高レベルなものだった。
一度戦闘で俺が無茶をしてドラゴンの炎をもろに浴びて全身を黒焦げに焼いたとき、ウラエヌスの法術は俺の体を大して時間もかけずに完全に再生させた。くしゃくしゃに焼けた体毛までもが再生した。
俺が知る限り、そこまでの法術を使える者は冒険者はおろか、教会にだってそういやしない。
教会の中でも更に高僧の者が使えるかどうかのレベルのものであるし、実際にその治療を受けようとするなら一介の冒険者では到底払うこともできないだろうな高額のお布施を請求されることになる。
それをこのウラエヌスはやってのけた。そこまでの法術を持っているなら教会本部が黙っているはずもないのだが
「私はなまぐさ坊主なのだ」
と適当にはぐらかしていた。きっと何かあったのだろう。だがそれを追究するほど俺は野暮ではない。ウラエヌスは俺の相棒、それだけだ。
俺はウラエヌスとならどんな無茶をしても通せると信じ、とにかく魔王山を突き進んだ。ウラエヌスも全く怯まずついてきた。
冒険者の経験が功を成し、順調に魔王の拠点の攻略は進み、そしてついにーー俺達は魔王を倒した。
攫われたという王妃も連れて帰った。
俺とウラエヌスは国の英雄として祭り上げられることになった。
これまでならず者に近い扱いしてしてもらえなかった(自業自得だが)俺を、とにかく皆が「勇者」と呼び、称えた。俺がこれがたまらなく嬉しく、その声に応えようと助けを求められればなんでもやった。
その都度感謝の言葉を貰い、俺は嬉しくなってまた「勇者」に相応しい者になろうと躍起になった。
そうして数年、私とウラエヌスはいつしか驕るようになっていた。
だがこのオッサン、ただの押しの強いやつじゃなかった。
元々は将来有望とされた教団所属の僧侶だったという話で、俺は嘘だとしか思っていなかったのだが、それは事実だったのだろうなとわかるほどには彼の法術は高レベルなものだった。
一度戦闘で俺が無茶をしてドラゴンの炎をもろに浴びて全身を黒焦げに焼いたとき、ウラエヌスの法術は俺の体を大して時間もかけずに完全に再生させた。くしゃくしゃに焼けた体毛までもが再生した。
俺が知る限り、そこまでの法術を使える者は冒険者はおろか、教会にだってそういやしない。
教会の中でも更に高僧の者が使えるかどうかのレベルのものであるし、実際にその治療を受けようとするなら一介の冒険者では到底払うこともできないだろうな高額のお布施を請求されることになる。
それをこのウラエヌスはやってのけた。そこまでの法術を持っているなら教会本部が黙っているはずもないのだが
「私はなまぐさ坊主なのだ」
と適当にはぐらかしていた。きっと何かあったのだろう。だがそれを追究するほど俺は野暮ではない。ウラエヌスは俺の相棒、それだけだ。
俺はウラエヌスとならどんな無茶をしても通せると信じ、とにかく魔王山を突き進んだ。ウラエヌスも全く怯まずついてきた。
冒険者の経験が功を成し、順調に魔王の拠点の攻略は進み、そしてついにーー俺達は魔王を倒した。
攫われたという王妃も連れて帰った。
俺とウラエヌスは国の英雄として祭り上げられることになった。
これまでならず者に近い扱いしてしてもらえなかった(自業自得だが)俺を、とにかく皆が「勇者」と呼び、称えた。俺がこれがたまらなく嬉しく、その声に応えようと助けを求められればなんでもやった。
その都度感謝の言葉を貰い、俺は嬉しくなってまた「勇者」に相応しい者になろうと躍起になった。
そうして数年、私とウラエヌスはいつしか驕るようになっていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる